Column

勉強・マネージャー業務・アナウンスの三刀流! 常磐大学高等学校

2017.02.24

 茨城県水戸市にある常磐大学高等学校は、1922年に水戸常磐女学校として開校。2000年に男女共学化となり、現在の校名になった。2008年には現在東北楽天ゴールデンイーグルスに所属している菊池 保則選手を輩出。野球部は昨秋の県大会科学技術学園日立常総学院水戸葵陵を下しベスト4入りを果たした。さらなる飛躍を目指して練習に励む常磐大高のマネージャーに話を聞いた。

今日のご飯おいしかったよ!」の一言が嬉しい!

勉強、マネージャー業務、アナウンスの三刀流(常磐大高)

 野球部の練習を覗くと、グラウンドには「10分経過、残り4分です!」と元気な声が響き渡る。普段の練習では練習時間の管理を徹底して行っている常磐大高マネージャー。月の始めに配られる練習メニューをもとに、1年生のマネージャーがメインで時間のアナウンスをしている。

 アナウンスの他にもノックの補助、マシンのボール出し、ボール拾い、スコアの集計と管理、遠征準備、グランド周りの掃除、洗濯など、仕事内容は多岐に渡る。その中でも重要なのが選手の補食作りだ。

 1日になんと50合のご飯を炊くのだが、全てマネージャーが釜でガス炊きをしている。「このガス炊きでおいしく炊くのが本当に難しいんです!」と言う通り、最初のうちはご飯が固くなってしまったりして苦労したそう。しかし段々と上手に炊けるようになり、選手に「今日のご飯おいしかったよ!」と言われることが何より嬉しいと言う。

 マネージャーの一人である黒澤梨花さんに、マネージャーになったきっかけを聞いてみると「もともと野球が好きで、中学校の野球部のメンバーと凄く仲が良く、その姿を見てマネージャーをやってみたいと思ったことがきっかけでした。」と返ってきた。「自分もスポーツ(テニス)をやってきたのですが、スポーツをする上で辛いことが分かっていたので、それを分かった上で選手たちをサポートしたくて入部を決心しました。」と語る黒澤さん。

 そんな黒澤さんを含み、現在は計8人で活動しているマネージャー。しかし、8人全員が集合するのは土日のみ。平日は6人が参加し、2人ずつ交代で休みを取っている。休みの日は、将来、保育士資格を取るために必要なピアノのレッスンに通ったり、学習塾に行くなどそれぞれが有効に使う。

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マネージャー活動を通しておもてなし精神が身についた

マネージャーのみなさん(常磐大高)

 海老澤監督はマネージャー活動について、花嫁修業の一環にもなっているのではないかと話す。お茶の入れ方一つにしても、相手を気遣う心を持つことで、喉が渇いているお客さんにはぬる過ぎない程度の熱さのお茶を出し、そこから徐々に熱くして、長時間飲めるようにするのだ。このように、マネージャー活動を通してお客様を迎える態度も変わってきた。

 選手のサポートをするにも、選手のことを第一に考えて、何か持ってきて欲しいと言われたらすぐに持っていけるように準備しておいたり、常に選手のことを考えて取り組んでいる。

 黒澤さんにこれまでの活動の中で特に印象に残った試合について聞いてみると、昨秋の県大会常総学院を破った試合のことを話してくれた。「もうドキドキの試合ですね。序盤に手を取ったのですが、何回もピンチになり、満塁のピンチも何度かあって。でも先発の川野邊一眞が抑えて1点を入れられなかったところがドキドキしましたね。勝ったときは本当に喜んでしまいました。」と振り返る黒澤さん。また思わず選手たちの胸キュンする仕草を聞くと、「ピンチの場面になると投手が焦ってくるじゃないですか。捕手が走り寄って話すじゃないですか。そこに主将の益子 佳大がいつも投手へ向かって『頑張れよ』とジェスチャーをするんです。あれがかっこいんですよ!!いやー男らしいですよ!」と興奮気味に答えてくれた。

 黒澤さんは選手に対して思っている事があると言う。それは、「仲間と一緒に最後までやって欲しい」ということだ。「野球が好きでやっていると思うので、野球を好きでいて欲しいですね。」と語る。照れくさいからか、選手から何か言ってくれるということは少ないようだが、試合のアナウンスや記録員としてベンチ入りしてスコアを書いているときが楽しいと話す。

 そんなマネージャーについて、主将の益子 佳大選手は「みんなサポートして頂いているので。怪我をしたときもテーピングしてくれますし、掃除もしっかりやってくれます。うちのマネージャーは見てないところでしっかりとやってくれているので、本当に感謝しています。」と話す。照れくさくて直接は言えなくとも、感謝の気持ちは忘れない。

 あと一歩のところで関東大会を逃した昨秋。その悔しさを晴らし、全員で喜ぶためにも、選手、マネージャーが一つになって夏の勝利を目指す。

 常磐大学高等学校野球部の皆さん、ありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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