試したいという心
来季に向けて、秋から冬にかけての時間は大事になっていきます。競争の季節なので時間は無駄にできません。
ミスを恐れてプレーをしても得られることは少ない
ミスを恐れない姿勢が成長を生む(写真はイメージ)
「シーズンじゃないのでやる気が・・」
こういった選手はたくさんいるので、冬の時期に頑張ればライバルを追い抜くことも可能です。今秋、数チームの指導をしましたが、選手の消極さが目立ちました。11月いっぱいまでは練習試合ができるのでアピール機会があるのですが、そこで「結果を求める姿」が自分の動きを悪くします。
・ランナー二塁で相手投手と内野手がノーマーク、余裕で三盗できる空気なのにスタートする気がない走者。
・ピンチで相手打者に打ち込まれ、もうインコースに大胆に投げ込むしかないのに無難に外に逃げる投手。
・前に出れば簡単に捕球できるのに、びびって前に出られないで失策する内野手。
失うものがない挑戦者なのに、「失敗をしないように」とプレーをしている控え選手。積極性や大胆さがないので、指導者の目にも止まりません。年内に行われる試合でどのような印象を指導者やチームメイトにつけるのか、重要な試合になります。試合だけじゃなく、練習での動きも同じです。
・ダメでも仕方がない
・失敗を恐れない
成功は失敗と隣り合わせにあります。ミスを恐れては身体が動きません。無難に80点の動きをしようとすれば50点にも満たない結果で終わります。120点以上の動きを大胆にしようとしてようやく80点以上の力を発揮します。80点が指導者の評価の対象か分かりませんが、無難に(ミスをしないように)と思ってプレーして得られることは少ないのです。
徹底的にやった選手だけに湧く「試したい」という感覚
チャンスで大胆に動けるようになるために、どのような準備が必要なのか・・
濃厚な自主練習を誰も見ていないところで徹底的に行っている選手は自信がみなぎります。揺るぎない自信があるので、合同練習や練習試合で思い切って動くことに躊躇しません。
徹底的にやりきる!(写真はイメージ)
失敗を意識するよりも「試したい」という思考になります。徹底的にやった選手だけが自然に湧き出てくる【試したい】という感覚。
指導者に自主練習をやれと言われて仕方がなく形式的に行っている選手。その動きを理解もせず中途半端にやる自主練習。やらされているような感覚、面倒くさいと己の意思が入っていない練習では試したいという境地までは行き着きません。
全力で試してミスをすれば、「そうか、じゃ、こうかな」という次のアイディアも浮かびます。全力で試してうまくいけば「だよね」と大きな自信に繋がります。全力で試すためには試すまでの準備が必要です。
エントモ著書「準備力」に、“準備なくして成果なし”と書かれていますが、自信がみなぎるまでの準備をしていく選手が伸びていくのです。
私は「選手向け野球講演」を冬にだけ行っていますが、自主練習の大切さを選手たちに話します。私も選手生活が34才までと長かったので選手の心はよく分かります。
ちょっとのミスで指導者から使われなくなるのではないかという恐怖感。ミスを怖がるばかりにいつものプレーができなくなります。ミスを描くような準備ではいけません。
「これだけやったのだからミスをしても仕方がない」
「よし!思い切ってやってやる!!」
11月までは勝負の時間です。それ以降の冬の時期も積極的に自分を出してアピールしていくべきです。試して試して、試しまくるのです。
・ランナー二塁で相手投手と内野手がノーマークであれば、相手の隙をみて思い切って三盗を仕掛けてみる!
・ピンチになったら、玉砕覚悟でインコースに腕を振って投げ込む!
・打球が飛んで来れば、即座に足を前に出して打球と勝負していく!
勇気ある判断と決断が道を切り開いていきます。積極的に動きながら修正し、できることを増やしていくのが秋冬のシーズンなのです。
思い切って試してみる・・大事なことです!
(文=遠藤 友彦)