東京実vs成立学園
松田決勝弾!東京実、成立学園に守り勝つ
決勝本塁打の松田(東京実)
今年の1次予選は雨に悩まされてきたが、本大会も初日はどんよりとした曇り空。
それでも、本大会は1次予選とは違った緊張感がある。試合開始前、東京実のベンチでは、ベテラン・山下 秀徳監督の怒鳴り声が響き渡る。「普段はあまりそういうことはしませんが、ノックをしていて、選手がガタガタでしたから」と山下監督は言う。
立ち上がりは、両チームとも硬さがみられた。
成立学園の先発は背番号9の小川 慶悟。小川は東京実の1番坂井 将紀を四球で歩かせる。坂井は2番高橋 智浩の二ゴロの間に二塁に進むが、3番松田 虎哲は三振。しかし、4番豊田 琢磨への2球目が暴投。捕手がややボールを見失う間に、俊足の坂井は二塁から一気に生還した。こうした足を使った、抜け目のない攻撃は、いかにも東京実らしい。
一方、東京実の先発は背番号1の栗田 航暉。栗田は1回裏安打2本を許すも、無得点に抑える。
両投手とも変化球主体で制球が良く、硬さのみえる相手打線に連打を許さない。特に東京実は二塁手の高橋らが動きのいいプレーを見せ、試合にリズムを作る。
両チームとも攻撃には決め手を欠く中、1回表の1点が重く、淡々と試合が進んでいったが、それで試合が終わるほど、成立学園は甘くない。
7回裏成立学園の攻撃はあっさり二死になったが、不用意に投げた6番山崎 凌への初球を、山崎が強振すると、打球はレフトフェンスを越え、同点本塁打となった。時おり、雨が降る中、こうなると後攻の成立学園が有利になってくる。
ところが8回表、こちらもあっさり二死になったが、3番松田がやはり初球を叩くと、同じようにレフトフェンスを越え、勝ち越しの本塁打となった。その後豊田のライトオーバーの三塁打も出たが、後続は抑えた。それでもこの1点は大きかった。
栗田は8、9回を三者凡退に抑え、東京実が2対1で成立学園に勝利した。
この試合、栗田は9回を完投して被安打5、失点1、奪三振6と好投したが、中でも光るのは与四死球が0ということ。そのため、投球数も112で抑えられた。「今日は丁寧に投げましたが、あれくらいはやってくれると思っていました」と山下監督。
またこの試合、3、4番に当たりが出ていなかったが、8回に3番の松田が決勝本塁打を放った。「踏ん切りをつけて、思い切りよく振ってくれました」と山下監督。次は修徳と桜美林の勝者との対戦。どちらも伝統校だが、「大物キラー」と言われる東京実らしく、思い切ったプレーを期待したい。
一方成立学園は、先発・小川は好投したが、注目の3番大角 健人、4番奥山 滉大らに当たりが出なかったのが響いた。個々には力のある選手がいるだけに、チームとしての成長を期待したい。
(文=大島裕史)
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