【和歌山展望】春は智辯和歌山が優勝もこの夏は混戦模様
2年連続の夏を狙う智辯和歌山、2年ぶりの夏の甲子園出場を狙う市立和歌山など、実力校が集結した今年の和歌山。智辯和歌山をはじめとしてどんな学校が、有力候補に挙がるのだろうか。
智辯和歌山は総合力で抜けているも、市立和歌山、紀央館の戦いも見逃せない
髙垣 鋭次(智辯和歌山)
チームの総合力では智辯和歌山の力が抜きん出ている。智辯和歌山は旧チームから主力がごっそり抜け新チームは全く新しいスタートとなり、昨秋の県大会二次予選1回戦で姿を消した。しかし、例年以上に長い冬を過ごして迎えた春に見事優勝。近畿大会でも持ち前の打線が活発で猛打復活を印象付けた。旧チームから残る野口 春樹(3年)と髙垣 鋭次(3年)を中心に据える打線番近畿大会1回戦でタイプの異なる3投手に12安打を浴びせコールド勝ち。
この打線に背番号は17番と18番ながらすでに貫禄のある2人の1年生、林晃 汰(1年)と文元 洸成(1年)が厚みを加える。中学時代から打撃で鳴らしていた逸材が早くもレギュラーを獲得した。他にも1番か2番を打つことが予想される北阪 太志(3年)も左中間への二塁打を放った際、あわよくば三塁を狙おうかというオーバランを見せるなど足が速くタレントが揃う。
エース・橋 祐我(3年)は力みのないフォームからひょうひょうと投げ込み、黒原 拓未(2年)はストレートで押すピッチングが持ち味。どちらも左腕だがタイプの異なる投手を擁する。
春準優勝の紀央館はエース・田中 綜馬(3年)の存在が心強い。プレートの右端から角度をつけて投げ込む本格派右腕で近畿大会1回戦では敗れはしたが選抜覇者の智辯学園打線を6安打に抑え込んだ。好投したが試合後には満足感よりも「悔しい」の一言。どんな相手にも物怖じせず果敢に攻めるマウンド捌きは強いメンタルの表れ。智辯和歌山の強力打線との対決は見物だ。
選抜出場の市立和歌山はやはり怖い存在
赤羽 陸(市立和歌山)
春3位の有田中央は技巧派左腕の仲 竜輝(2年)と手足が長く大きく足を開いたセットポジションが印象的な右腕の中島 悠(2年)が投手陣の要。継投のタイミングも含め点取り合戦よりもロースコアの展開に持ち込みたい。
準決勝、3位決定戦でも敗れ近畿大会出場を逃した日高中津だが、スコアはどちらも1点差。好投手・原 綜冶(2年)は入学直後から公式戦マウンドに上がっており、経験は豊富。1年春の決勝戦では終盤にリリーフするも智辯和歌山にサヨナラ打を浴びておりリベンジに燃える。
選抜に出場した市立和歌山はエース・赤羽 陸(3年)が大舞台を経験し球速も143km/hをマーク。また2番手の栗栖 拓巳も角度ある直球を投げ込む左の本格派だ。市立和歌山といえば、守備。春先まで乱れるところがあったが、しっかりと鍛え直したいところ。打線では、長打力・巧打力を兼ね備えた七野 怜(3年)、長打力のある北 嶋陸(3年)など打力ある選手が揃っている。
また昨秋、近畿大会出場の高野山は主軸を打つ森谷 綜馬(3年)、山本 豪庸(2年)を中心んとした打線はパワフル。投げては、本格派右腕・南中道 脩人のピッチングに期待がかかる。ベスト8で智辯和歌山に敗れたが、1対5と善戦を演じた和歌山日高は、守備力の高さをウリとした好チームだ。また一昨年秋の近畿大会でベスト8入りした箕島も、下級生の時から経験した選手が多く、夏へ向けて浮上するだろう。
智辯和歌山が抜けているとはいえ、近年は各校の実力も伸びてきており、簡単にはいかなそうだ。抽選会ではどんな組み合わせになるか心待ちにしたい。
(文・小中 翔太)
注目記事
・2016年度 春季高校野球大会特集