【新潟展望】実力伯仲の新潟を制するのは?話題校、注目投手を一挙に紹介!
新潟明訓の劇的なサヨナラ勝ちで幕を閉じた第134回北信越地区高等学校野球新潟県大会。昨秋の大会のベスト4(第4シードまで)の中の3校が3回戦までに姿を消す波乱の展開となった今大会。例年以上に群雄割拠、激しい戦いが予想されるこの夏の新潟大会をどこよりも早く占ってみよう。
復活傾向の新潟明訓、追う北越の状況
新潟明訓ナイン
春の大会で優勝した新潟明訓は、粘り強さが魅力。今春も、6試合中4試合を2点差以内でものにするなど接戦に強い。準決勝で長岡工を完封するなどエース格の働きだった大藪 祐司(3年)、決勝で好リリーフを見せた廣田 祥一朗(3年)、決勝の先発・遠藤 龍一(3年)らで形成される投手陣に、前チームから登板機会に恵まれていた経験豊富なエース左腕・梶山 駿介(3年)がケガから復帰するとより厚さを増す。
打撃陣は、不振だった主将の栗山 謙(3年)が最後にサヨナラ打を放つなど復調の傾向。4番・秋葉 悠(3年)の状態が良く、勝負強い打撃を見せていただけに、その前を打つ栗山の復調はチームが勝ち進む上で必要不可欠。リードオフマン・部田 隼平(2年)も下級生ながら積極的なバッティングを見せているだけに注目したい。
決勝では最大7点差を守りきれず準優勝となった北越は、内野陣の整備が必要。何気ないエラーから失点につながるケースが多く、守備に課題を残した。一方、打撃陣は絶好調。中越戦を除いた全試合で5得点以上挙げている。3番・阿部 辰一郎(3年)、4番・小杉 瑞樹(3年)、5番・岡村 郁哉(3年)のクリーンナップはもちろん、6番・岡元 佑起(3年)も思いきりのいい打撃で長打を連発。どこからでもつながり、ビッグイニングを作れる打線が魅力だ。日本文理、中越相手に完投勝利を収めた県内ナンバー1左腕・江村 伊吹(3年)、右の本格派・玉木 葵(3年)が中心の投手陣も安定感がある。
ケガから復帰し、決勝でリリーフ登板した小林 太郎(3年)がここに入り、江村、玉木の負担を軽減できれば、初の甲子園もグッと近づく。決勝での逆転負けからのリベンジに燃える江村の成長にも期待したい。
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上村 直也(長岡大手)
その北越をあと一歩のところまで追い込んだ3位の長岡大手は、背番号1・南田 大輝(3年)、橘 昴宏(3年)の2人を中心に4投手による継投で勝ち進んだ。4投手ともランナーを出しながらも粘り強いピッチングを見せるだけに、先制点を奪って逃げ切りたい。打撃陣はというと、4番・上村 直也(3年)の驚異的な勝負強さが際立つ。チームとしても「上村の前にランナーを」という意識が芽生え、打線のつながりを生んでいる。捕手の浅野 柊平(2年)、クリーンナップも経験した山谷 侑平(2年)、下位打線ながら勝負強い位下 航太朗(2年)ら2年生も良い働きを見せているので要チェックだ。
4位の長岡工は、エース左腕の黒坂 啓太(3年)、背番号10の藤塚 祥吾(3年)の2枚看板に安定感がある。この2枚を中心に、3番手以降の投手を育成できれば、3位決定戦のような逆転負けは避けられるだろう。4番・丸山 裕紀(3年)、捕手で主将の5番・小川 亮太(3年)を中心とする打線は破壊力抜群。中でも春は3番に起用されたスーパールーキー・太刀 川郁(1年)は、上背はないもののバッティングセンスは光るものがあり、すっかり打線の核となっている。このクリーンナップの前にいかにランナーを出せるかが、勝敗の鍵を握りそうだ。
一方で、春はその実力を出し切れなかった高校も多数存在する。日本文理は、3回戦で北越に敗れたものの選手層では他校を圧倒。昨年から投げていた稲垣豪人(2年)、北越戦で好リリーフを見せた西村 勇輝(2年)、スーパールーキー・日本文理鈴木 裕太(1年)、新谷 晴(1年)以外にも、ベンチ外だった昨夏のエース格・藤塚 光二郎(3年)ら投手陣もベンチ入りをかけ熱い戦いを繰り広げている。
野手に目を向けると、昨秋から、ポジションも打順も一新。1番・荒木 陵太(3年)、主砲の3番・川村 啓真(2年)の2人が打線をけん引する。昨秋大活躍するも、今春はベンチ外だったリードオフマン・齋藤 輝一(3年)が復調すると打線にさらに厚みが増しそうだ。
見逃せない有力選手たち
左から 山田 天斗、長谷川 誉(村上桜ヶ丘)
村上桜ヶ丘は県内屈指と言われる打線が本領発揮する前に、足をすくわれた。ケガから復帰した西野 護(3年)、須貝 裕次郎(3年)、長谷川 誉(3年)らで形成する打線は県内屈指。エース・山田 天斗(3年)、稻垣 健太(3年)ら投手陣の踏ん張りにも期待したい。
ほか有力校は以下の通り。
秋ベスト4の東京学館新潟は、エース・山田 佳偉(3年)がどこまで粘れるか。打線の奮起に期待したい。秋ベスト4、春ベスト16の五泉は、エース・廣瀬 生成(3年)のケガが響いた。川﨑 諒(2年)、成田 仁(2年)、江口 涼(3年)ら強力打線も魅力だ。春ベスト8の新発田南は、技巧派左腕・八幡 蓮(3年)が面白いが、2番手以降の育成が急務となる。
春ベスト8の加茂暁星は下級生主体のチーム。速球派のエース・宮島 拓斗(2年)、スーパールーキー・竹林 楓也(1年)ら能力の高い投手陣を擁する。同じく春ベスト8の帝京長岡はバンゴーゼムゲレック高(3年)がチーム浮沈の鍵を握る。恵まれた体格を生かして投打の中心として活躍できるか。また春ベスト8の新津は、4連投でチームをベスト8に導いた2年生エース・中村 佑斗(2年)の出来が重要。
昨秋巻に勝ち、新潟明訓を追い詰めたエース・土田 拓(3年)擁する新津工。接戦をものにし、春ベスト16で自信を付けた見附、同じく春ベスト16の中越や新潟県央工も実力校だけに、虎視眈々と夏の頂点を狙う。エース・小鷹 樹(3年)、好打者・関田 悠満(3年)擁する巻。また新潟明訓に惜敗したエース・松澤 寛人(3年)擁する糸魚川。昨秋北越の江村に投げ勝った藤崎 千広(3年)擁する新潟商。共に強力打線が魅力の開志学園と新潟青陵といったところが有力校といえるだろう。
例年にも増して激戦が予想される今夏の新潟大会。最後に笑うのはどの高校か。楽しみだ。
(文・町井 敬史)
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