今年の兵庫の主役になるか?神戸国際大附の平内 龍太、東郷 太亮の二枚看板!
今年の兵庫県は好投手が多いが、その中で下級生から注目を浴びていたのが神戸国際大附の東郷太亮、平内龍太の2人である。そんな2人のこれまでの活躍について振り返っていきたい。
才能開花の兆しを見せた平内 龍太
平内 龍太(神戸国際大附)
実戦デビューが早かったのは平内だ。しかし1年秋の近畿大会・立命館宇治戦で2番手としてリリーフ登板した平内は逆転を許してしまい、敗戦。そして一冬を超えて迎えた2年春は、同級生の東郷が目立つ形となった。夏の大会も、ベンチ入りしていたものの腰痛の影響で戦力になれなかったと振り返る平内。だが秋の県大会で復活を果たす。初戦の須磨学園戦で4対3の1点リードの3回裏から登板。平内は130キロ後半の速球とキレのあるスライダーを武器に5イニングを投げて7奪三振の快投を披露した。さらに2回戦の兵庫滝川戦も7回無失点に抑え、復活の兆しを見せた。
そして冬のトレーニングで大きく成長した平内は、春の神戸地区予の市立神港戦で15三振を奪い、完封勝利。直球の最速は145キロを計測した。この登板を機に徐々に評判が高まる平内は、県大会初登場となった須磨学園戦では4回1失点、最速142キロを計測した。
平内は打者から出所が見えにくくするために、昨秋からフォームを変えたという。左足を踏み込む際に体を半身にして、左腕を高く掲げながら、テイクバックは小さく取って、さらに頭の後ろで取ることで、打者から極力見えにくい形となった。
平内はテイクバックを小さく取ったところから、一気に真上から振り下ろすオーバーハンドなので、角度のある球となり、またコンスタントに140キロ前後を計測しているので、打者からするとタイミングが取りにくい。さらに縦横2種類のスライダーの切れも非常に良く、特に横に曲がるスライダーにはかなり自信を持っていて、高確率で三振を奪うことができていた。毎年、好投手を輩出する神戸国際大附だが、潜在能力はピカイチだ。
県大会での投球を見ると、まだ出来は7割~8割ぐらいで、もっと良くなる余地がある。最後の夏へ向けて、球速、コントロール、変化球の精度、投球術など全てがレベルアップした時、2年ぶりの夏の甲子園出場へ一歩近づくことになるだろう。
新たな一面を見せた東郷 太亮
東郷 太亮(神戸国際大附)
入学時から注目されていた東郷太亮がブレイクしたのは昨春だった。春の県大会で、宿敵ともいえる報徳学園と対戦。先発した東郷は5回まで無安打に抑えるなど、7回途中まで1失点の好投を見せ、報徳学園を破りベスト4進出に貢献。さらに準決勝でも先発したのだが、この時の東郷は、まさに鬼気迫るピッチングを披露した。全身をバランス良く使ったダイナミックな投球フォームから投げ込み、最速140キロを計測した伸びのあるストレートを武器に10回無失点で完封勝利を果たしたのだ。この大会で優勝した神戸国際大附は近畿大会に出場。
東郷は近畿大会でも快投を披露する。まず奈良高田商戦(試合レポート)で6回無失点。さらに準決勝の智辯和歌山戦でも好投を見せる。この時の智辯和歌山打線は山本龍河(現・青山学院大)、春野航輝と多くの強打者が揃った打線だったが、その相手にも6回10奪三振の好投を見せた。決勝の北大津戦では打ち込まれてしまったものの、この春のピッチングは今後に期待を持たせる内容だった。
夏でもさらなる飛躍を期待されたが、2回戦の尼崎小田戦では135キロ前後で最速138キロと、140キロ越えは1球もなかった。また球速表示よりも早く感じるような、打者の手元まで迫って来るようなストレートがなく、ストライクゾーンに揃い過ぎていて痛打を浴び、3.2回を投げて被安打5と東郷らしい投球ではなかった。実は東郷は大会前に腰を痛めており、そのため彼らしい躍動感あるピッチングができなかったのだ。そしてこの試合以降、東郷の登板はなかった。
昨秋は、初登板の試合となった六甲アイランド戦では4回途中まで7三振を奪いながらも2失点。選抜を逃し悔しい敗戦となった。そして一冬越えた東郷は昨年とは投球スタイルを変えた。昨年はテイクバックはコンパクトながら真っ向から振り下ろす本格派スタイルだったが、今年もオーバースローであることは変わりないが、インステップから一気に振り下ろすフォームに変更し、より出所が見難いフォームとなった。
これは左打者からすれば打ち難いボールだ。130キロ後半を計測していたストレートも、かつてのような迫力あるボールに戻りつつあった。さらにスライダー、カーブ、フォークのキレも昨年よりも向上し、投手としてのレベルは着実に上がっている。
あとはどこまで自分の状態を上げることができるか。4月29日、誕生日を迎え、三田松聖戦(試合レポート)でバースデー登板を迎えた東郷。5月1日の宿敵・報徳学園戦(試合レポート)では、5回まで無失点に抑えていたが、6回表に一挙6点を失い、敗戦。課題が残る大会となった。この敗戦を糧に、最後の夏へ向けて、ぜひピークに持っていけるように調整をして、今年の兵庫県を熱くさせる快投を見せてほしい。
(文=河嶋 宗一)
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