試合レポート

享栄vs中京大中京

2016.05.04

享栄が何とか逃げ切って10年ぶりの春季東海大会進出

享栄vs中京大中京 | 高校野球ドットコム

好投を見せる二宮(享栄)選手

 強い風が吹いている[stadium]岡崎市民球場[/stadium]での試合となった。先発はともに背番号10で、享栄の二宮君はやや身体が立った感じだが、低めに球を集めると角度があって打ちにくそう。ベテランの柴垣旭延監督は、「春日丘との試合でも好投したし、この前の試合に大府に勝てたら、準決勝は二宮でいこうと決めていた」という期待の投手だ。

また、中京大中京はこのところ成長が著しいので、試合を任せてみたいと高橋源一郎監督が評価していた初祖(ういそ)君。ゆったりとしたフォームからコーナーを突いていくのが持ち味だが初回、ちょっと狙い過ぎて先頭に四球を与え、この走者が失策で帰り、享栄が先制する。

 その後やや膠着状態が続いたが5回、享栄は先頭の7番飯田君が右中間二塁打で出ると、前田君のバントは、一塁へ大悪送球となり、飯田君は一気にホームインし、前田君自身も三塁へ進んだ。二宮君は死球で一、三塁となり、一死後早川君の遊撃内野安打でさらに1点が入った。
 3点を追う形になった中京大中京の反撃は7回からだった。

 7回は先頭の7番諸橋君が失策で出ると、暴投で進み、代打鳥居君の内野安打で一三塁。ここで、1番伊藤康祐君が右犠飛を放って1点を返す。7回に打順が回ってきて代打の関係で、享栄は8回から、右サイド気味のエースナンバーをつけた成田君を送り出したが、いきなり内藤君に死球を与えてしまう。さらに失策も絡んで一死満塁となったところで、諸橋君が逆風の中、大きな左犠飛を放って、これで1点差。「相手は中京の強打線ですから、正直、逆転されるかなとも思っていました」という柴垣監督だったが、そのあとは何とか成田君が締めた。9回も、二死から2番杉井君が風で押し戻される、左前二塁打を放ったが、成田君が踏ん張って、享栄は10年ぶりの春季東海大会出場となった。


享栄vs中京大中京 | 高校野球ドットコム

杉井(中京大中京)選手

 柴垣監督は、「今のウチは、どういう大会でも勝って行かないといかん。選手たちも、上の大会でやれることは勉強になりますし、今日の勝ちは大きいですよ」と、喜んでいた。そして、7回まで1失点でこらえた二宮君に関しても、「よく投げてくれました。これで、夏へ向けては、少しは投手も回していけるかなという感じになりました。あの子には、入ってきた時から、3年の夏までには試合で投げられるようになっていきなさいと期待していたんですが、ようやくここまで来ました」と、二宮君の成長を評価していた。東海大会という上の部隊で戦うことで、チームとしても、また新たに成長していく期待もあるだろう。

 中京大中京としては、チャンスを作りながらも、あと一本が出ず、いくらかもどかしいというか、じれったい展開となってしまった。高橋監督は、「この大会は夏を見据えてということで言えば、収穫と課題と両方がありました。収穫としては、起用した選手がそれなりに結果を出してくれたことですが、課題としては今日のように振り回しに行って角度のある投手を打ちきれなかったことと、こうしてミスが出て負けてしまうということですね。野手と投手のリズムが悪くて、ミスが出てしまっています。これも課題でした。ここで一区切りつけて、これからは1年生もメンバーに入ってくるかもしれませんけれども、それぞれがもう一度競争していってくれればと思います」。
中京大中京は、これから6月にかけては全体に負荷をかけていきながら、ハードな練習を重ねていく強化月間となる。そして、6月の3週目には東海大相模日大三などと試合を重ねる、関東遠征を控えている。

 試合としては、随所に好プレーもあったが、ことごとく失策が得点に絡むという試合で、お互いに反省材料の多い試合だったとも言えよう。

 (文=手束 仁

享栄vs中京大中京 | 高校野球ドットコム
注目記事
2016年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.20

【秋田】横手清陵と本荘が8強入り、夏のシード獲得<春季大会>

2024.05.21

国際武道大の新入生に、作新学院、東海大相模の主力、東海大甲府の本格派右腕、銚子商エースなどが加入!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?