試合レポート

札幌第一vs関東一

2015.11.13

札幌第一逃げ切り2回戦へ、9番兼村4安打の活躍

札幌第一vs関東一 | 高校野球ドットコム

4安打で大当たりの兼村(札幌第一)

 札幌第一は全道大会が終わりほぼ1か月ぶりの公式戦である。菊池雄人監督は、「試合感覚の面では、厳しいです。その間、修学旅行などの学校行事などもありましたし、今の時期、北海道では外で練習できませんですから」と語る。
対する関東第一は、4日前に同じ[stadium]神宮球場[/stadium]で、二松学舎大付と死闘の末、優勝を決めたばかり。米澤貴光監督は、「選手たちを集めて、二松学舎大付の分も、神宮枠をとるため、しっかりやらないといけないと言ってきました」と語る。ただ、劇的な優勝を決めたばかりで、選手の気持ちの中に、ほっとした部分があるのも否定できないだろう。

 関東一の先発は秋季都大会の準々決勝以来の先発になる竹井丈人札幌第一は2回表、5番銭目悠之介の二塁打と8番上出拓真の四球などで二死一、三塁のチャンスを迎える。ここで打席には9番の兼村京佑が入る。竹井はボールが先行し、ノーストライクスリーボール。9番打者だけに、次の球は当然見送ると思えたが、打ちに出て、打球は中堅手を超える二塁打に。2人が還って札幌第一が2点を先取する。

「思いっきりのいい子なんで。でもあそこで打ってくれるとは思っていませんでした」と、札幌第一の菊池監督は語る。本来は上位を打つ力があるものの、上位に据えると結果が出ないために、9番で起用しているという。一方、関東第一の米澤監督は、「9番の子にノースリーから打たれたのは誤算でした」と語る。

 その裏、今度は関東第一がチャンスを迎える。札幌第一の先発は、絶対的なエースである上出。「都大会の映像を観て、二松学舎大付の大江君の速球に対応していましたから。僕はそんなスピードはないですから」と上出は語る。二松学舎大付の大江は、都大会の決勝で最速148キロをマークしているが、上出はそれより10キロ以上遅い。それだけに、丁寧な投球をしていた。

 2回裏も11球を投げて二死となっていたが、6番竹井は三塁手の失策で出塁。続く村瀬佑斗の左前安打で一、二塁。8番石塚大樹は右前安打。二塁走者竹井は、三塁を回ったところでストップ。しかし村瀬は二塁を回り三塁に向かっており、押し出される形で竹井も本塁を狙うが、挟まれてアウトになった。都大会では見られなかった走塁ミスであった。実は竹井は足を痛めており、三塁コーチャーはそれを考えて止めたようだが、ちぐはぐになってしまった。関東第一としては、ここで点が入らなかったのは痛かった。


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チームを引っ張った村瀬主将(関東一)

 4回表、札幌第一は、兼村と2番の辻陸人の安打に3番長門功の四球で二死満塁となったところで、関東第一は投手を竹井からエースの河合海斗に交代した。本来であれば、打撃のいい竹井は左翼の位置につくはずだが、足の状態も考慮して、ベンチに退いた。
しかし河合は4番高階成雲に四球。押し出しで、札幌第一は1点を追加した。
この日は河合の状態が良くなく、5回表には上出、兼村、宮澤晃汰、辻の4者連続安打で札幌第一は2点を追加。
5回裏、関東一は遊撃手への内野安打で出塁した9番本橋慶人が、上出の暴投2つで一気に生還し、1点を返したものの、6回表札幌第一は関東第一の3番手佐藤 奨真から上出の左前安打などで1点を追加した。

 
 札幌第一が試合を優勢に進めていたが、上出の投球数は6回で既に100球を超えており、徐々に疲れも出てきた。6回裏、関東第一は山室勇輝の二塁打、途中から二塁の守備に入っている森川瑶平の右前安打、7番村瀬の四球で無死満塁とし、内野ゴロ2つで2点を返し6-3と3点差に迫った。さらに関東一は8回裏にも山川新太の三塁内野安打で1点を入れ、2点差とする。

 9回表、札幌第一はこの日4安打目となる二塁打を放った兼村を、辻が犠飛で還し再びリードを3点差にしたが、9回裏はエースの上出に代えて、冨樫颯大をマウンドに送る。関東一はこの回先頭の佐藤佑亮が右前安打、続く山室と代打の溝渕龍之介が四球で出て、無死満塁のチャンスをつかむ。札幌第一の菊池監督は、「ボール自体は悪くありませんでした。でもフォアボールを出した時は、『頼むよ~』という思いでした」と語る。
確かに冨樫の球には威力があり、後続の打者を三振、三振、中飛に打ち取り、札幌第一が関東一の反撃をかわして逃げ切り、2回戦に進んだ。
試合後米澤監督はセンバツに向け、「投手で、誰か1人出てくれないと」と語った。ヒーローなく、全員で勝ち取った都大会の優勝であるが、全国のさらに厳しい戦いを考えれば、柱が欲しいのは確かだ。
勝った札幌第一の上出も、8回で四死球7と、問題がある内容ではある。それでも1試合粘り勝ったことで、次はどのような試合をするか、注目したい。

(文=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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