板野vs名西
「素材型」板野と「努力型」名西の演じた好勝負
板野先発・森井 紘斗
両校の特徴が鮮明に出た好勝負だった。
1985年センバツ・徳島池田ベスト4時の三塁手である和田 哲幸監督の下、毎年身体能力に優れた「素材」を輩出する板野は、この試合でも持ち味を発揮。打っては2番・八木 紳吾(2年・右翼手・右投左打・173センチ61キロ・北島町立北島中出身)の俊足を駆った中越ランニングアーチはじめ5回まで毎回の8得点。投げては「3年生と140キロを投げる約束をして、下半身を鍛えるランジ系のトレーニングをした」今夏徳島大会で早くも最速140キロをマークした1年生右腕・森井 絃斗(右投右打・183センチ86キロ・徳島中央リトルシニア出身)が、この日も最速138キロのストレートを中心に8回10奪三振をマークした。
その一方、8回142球8四死球2暴投で自責点0にもかかわらず6失点は大きな課題。「中京大中京(愛知)の上野 翔太郎(3年)さんを参考にしている」バランスや、「馬力はある。ただ、河野(竜生・鳴門2年)の投球術をもっと参考にしてほしい」と和田監督も評する討ち取る術をさらに学び、1年半後は真に世間を騒がす豪腕に成長してほしい。
逆にいえば、森井をはじめとする板野に課題を与えたのは、名西の「努力」があったからこそである。6回までに四球や相手のミス、さらに4盗塁を絡め無安打で4点を奪うと、森井のスタミナが落ちた7回裏には3安打を集中させさらに2点。しかも無失策で試合を終えた。これはいずれも練習での集中力がなければ為し得ないことである。
「守備が乱れなかったことはよかった。この冬に投手を作ったらいいチームになれる」と振り返った名西・田村 仁監督。人数確保にすら苦心していた数年前から着実に前進を続ける徳島の紫紺軍団が、春にどのような姿を見せるかにも期待したいところだ。
(文=寺下 友徳)