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【記録トリビア 優勝回数編】優勝の回数だけドラマがある

2015.08.22

 毎年1校のみが優勝という栄光を手にすることができる夏の風物詩、甲子園。今年は東海大相模が2度目の夏の甲子園優勝となった。夏優勝2回の学校はこれまで12校あるが、東海大相模は13校目となる。これほど、2度の優勝経験があるチームがあるのかと驚くかもしれないが、実は東海大相模以上に優勝している学校はなんと6校ある。今回は優勝にちなんで甲子園での『優勝回数トップ3』の高校を紹介。優勝の数だけドラマがあった!

1位 中京大中京(7回)~優勝旗が盗まれる事件~

優勝回数が最も多い中京大中京のエース上野 翔太郎投手

 出場回数27回(歴代6位)、勝利数78(歴代1位)を誇り、優勝回数7回は堂々歴代1位!高校野球界の名門中の名門中京大中京。7度の優勝の中で、最も記憶に新しいのは2009年日本文理との激闘(関連記事)である。9回2アウトから、日本文理が5点を奪う猛攻を見せるも、なんとか逃げ切り優勝を飾る。当時の、「つないだ!つないだ!日本文理の夏はまだ終わらない!」という実況は今でも語り継がれる伝説となっている。当時のエース、堂林 翔太は現在、広島東洋カープにて活躍中である。

 さらに、中京大中京の優勝をさかのぼってみる。中京大中京が2009年以前に優勝したのは、今から49年前の1966年。余談にはなるが、中京大中京は1995年に中京高等学校から、中京大学附属中京高等学校、通称中京大中京に変更。その中京高校も更にさかのぼること1967年に中京商業高等学校から名称を変更している。よって、1966年に優勝した際には中京商の名だった訳だが、この年、中京商は1962年に作新学院が達成して以来の春夏連覇を達成した。ちなみに、同年、甲子園出場こそ叶わなかったものの、大阪大会にて、大阪学院投手江夏 豊が6試合81奪三振を記録していた。

 それ以前に優勝した年となると、1954年の第36回大会と戦前に4回(31年32年33年37年)となっている。ちなみに、1954年に甲子園を制した際には珍事件が起こっている。この年、優勝した中京大中京は、深紅の優勝旗を持ち帰ったのだが、この優勝旗が校長室から忽然と姿を消してしまった。生徒や警察を動員して捜索を行うも、見つからず。結局、85日後に近くの小学校の床下から見つかったが、未だに犯人がわからない不思議な事件となっている。そしてこの事件以降、優勝旗は銀行に預ける高校が多くなったとのこと。


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[page_break:2位 広島商(6回) / 3位 松山商(5回)]

2位 広島商(6回)~バントで勝ち取る優勝旗~

元・広島商の監督を務めた如水館・迫田 穆成監督

 優勝回数6回、2位として名前が挙がったのが広島商である。過去22回出場を果たし、甲子園43勝という成績を残している。広島商から排出されたプロ野球選手としては、柳田 悠岐が挙げられ、石本 秀一氏、三村 敏之氏、達川 光男氏の3名の広島東洋カープ監督を排出する、広島の名門校である。

 この広島商が直近で優勝したのが、1988年の第70回大会、それ以前となると、1973年1957年1930年1929年1924年となる。広島商は、伝統的にバントを大切にしており、88年優勝の際には、当時の大会新記録26犠打での優勝、73年優勝の際には、サヨナラ3バントスクイズでの優勝を飾っている。また、1973年春の選抜では、予選から準々決勝までの10試合、139イニング無失点の作新学院江川 卓から、わずか2安打ながら機動力とバントで2点をもぎ取り、勝ち上がるという伝説の試合もやってのけている。

3位 松山商(5回)~奇跡のバックホーム~

北条の澤田 勝彦監督は元松山商監督

 優勝回数3位となる松山商は、過去5回の優勝を経験。松山商として最も有名な優勝は、1996年の「奇跡のバックホーム」である。10回裏、一死満塁の場面で、ライトに上がった犠飛を松山商矢野がノーバウンド返球でホーム併殺にし、ピンチを脱するという伝説のシーンが有名である。しかし、もちろんこのシーンも奇跡ではあるが、その前後にも様々なドラマが隠れていた。

 決勝戦、熊本工松山商の一戦であるが、9回裏二死無塁まで3対2と熊本工リードの展開であった。この絶体絶命の状況から、松山商沢村が同点本塁打を放つことで土壇場で追いつき、延長戦へ。延長10回裏には、前述の有名な奇跡のバックホームがあり、その裏の11回表には、そのバックホームをした矢野が二塁打を放ちチャンスメイクをすることで3点を追加。結果として6対3で松山商の優勝が決まった。

 これ以前の松山商の優勝は、史上初の決勝引き分け再試合となった1969年、またしても決勝9回二死から同点に追いつき、延長の末に優勝を決めた1953年、決勝が乱打戦となった1950年(出場時チーム名:松山東)、堅守好打で優勝を決めた1935年の4回。奇跡のバックホームも含めると、5度の優勝のうち、決勝が延長戦までもつれ込んだ回数が3回ということで、波乱に満ちた優勝を経験しているチームである。


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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