【侍ジャパンU-18代表コラム】勝ちに徹する究極の「守備の人」津田 翔希
8月30日(日)「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」第3戦では、オーストラリアに10対1で快勝。対戦成績3勝0敗として、スーパーラウンド進出へ大きく前進した侍ジャパンU-18代表。今回はここまで25イニングで1失点、1失策のチームを支える内野手。西谷 浩一監督も「守備のキーマン」と推す津田 翔希(浦和学院<埼玉>3年)を取り上げる。
本職外でも守備を「魅せる」
三塁の守備に就く津田翔希(浦和学院)
津田 翔希が浦和学院で普段守っているポジションは遊撃手。1年夏では二塁手で甲子園に出場したが、それ以降は不動の遊撃手として活躍してきた。
が、今大会は二塁手、三塁手を務めている。その理由を西谷 浩一監督は「彼は守備の選手。どこでも任せることができる」と語る。
自身、二塁手は経験があったので、すんなりと入ることができたが、三塁手は初体験。打球速度が格段に違う。津田はホットコーナーの難しさをこう語る。
「海外の打者は打球が速いだけではなく、打球の跳ね方も不規則で難しいですね」
だが津田はそういう打球に対しても処理することができる。
そこには1年秋からの約2年間、猛練習の末に築き挙げた前後左右自在に動けるフットワーク、急なバウンド変化に対応できるグラブ捌き、球際の強さ、スローイングがあるからだ。
例えばアメリカ戦。8番・セカンドで先発出場した津田は5回表、一死満塁のピンチで、捕球前にバウンドが変わり、手元に入りすぎた二ゴロを身体で吸収しながら遊撃手の平沢 大河(仙台育英<宮城>3年)の胸に優しくスロー。併殺を演出。このオーストラリア戦でも三塁手からはじまり、二塁手、最後は遊撃手と3ポジションを無難にこなした。
が、津田は涼しい顔でこう話す。「どこでも守れるところを見せるのが僕の役割なので」。ベンチ入りは20人しかできない今大会。そこでこのように複数ポジションをハイレベルで守れる彼の存在は「侍ジャパンU-18」の大きな強みになっている。
対戦国はどんな国?!
組み合わせと応援メッセージは下記リンクから!
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自己分析から球筋を見切る「右打ち」
リラックスした表情で練習を行う津田翔希(浦和学院)
そんな守備の一方で津田 翔希は今大会、打撃面でもしぶとさを披露している。アメリカ戦では、5回裏に先発左腕・ギャレットの独特の角度、かつ球威ある直球に食らいついきながらの貴重な先制タイムリー。
2番に打順を上げたオーストラリア戦でも6回一死満塁から5対0と試合を決める2点タイムリーに、9回も5得点を呼ぶ安打を放つ。その方向は全て右打者の津田から見れば逆方向のライト側。いわゆる「右打ち」である。そこには冷静な自己分析があった。
浦和学院では3番を打ち長打にも魅力がある津田。だが、木製バット使用の今大会においては「自分は長打を打てる選手ではない」と己を捨てた。
「状況に応じて右打ちができる選手、しぶとい打撃ができる選手にならないとチームに貢献ができない」。そこは甲子園優勝を常に目指し、グラウンド内外で妥協のなさを実践する浦和学院野球部で培ったものである。
打席では球筋への的確な判断が加わる。オーストラリア戦6回表一死満塁の場面では3番手・ローリンソンの右サイドからシュートする球筋を見て、「強引に引っ張らず、いかに真ん中に入ってくるボールを流し打ちができるか」を考え、初球、アウトコースから真ん中寄りにシュート回転したボールを見事に右前へ。その残像が9回表、初球のカーブを捉えての右前安打にもつながった。
世代世界一の「守備の人」へ
西谷監督は侍ジャパンU-18代表での津田をこう端的に称する。「守備の人」。
ただ、そこには上に様々なキーワードが隠れているように感じる。「様々なポジションをできる」はもちろん、「守備につなげる打撃ができる」「侍ジャパンU-18代表にムードを作る」「役割に徹することができる」などなど・・・・・・。
では、本人はどんな意識を持っているのだろうか。1stラウンド2つ目の山、オーストラリア戦を10対1と快勝した中での4打数2安打2打点1得点含め、3試合で8打数4安打3打点と文句なしの活躍を披露している津田に改めて意気込みを聞くと、浦和学院のユニフォームを着ている時と同じ答えが返ってきた。
「僕のよさはどこでもしっかりと守れること、今日の様に右打ちに徹してチャンスを作ったり、適時打を打つことだと思うので、チームの勝利につながるプレーを見せていきたいです」
津田 翔希。そんな彼が活躍を重ねれば重ねるほど、侍ジャパンU-18はさらなる推進力を得るはずだ。そして津田自身も指揮官が最後に言いたいであろうキーワード「世代世界一の」守備の人へ向け、残り6試合を疾走する。
(文=河嶋 宗一)
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