Column

長野県岡谷工業高等学校(長野)

2015.07.08

 今年で、創部100周年を迎えた長野県岡谷市の県立岡谷工業高等学校。
選手たちも、
「創部100周年目ということで、今年はとくに周りの方々も期待してくださっています。その力で1つでも多く勝てるように頑張りたいです!」
と、今月11日開幕となる長野大会に向けて、大会直前まで9泊10日の強化合宿に励んでいる。

岡谷工業で野球がやりたい!

ノック中に声を出す岡谷工業ナイン(長野県岡谷工業高等学校)

 長野県内では、通称・岡工(おかこう)と呼ばれ、「部活が盛んな工業高校」として注目を集めてきた。現在は、硬式野球部は甲子園から遠ざかっているものの、1915年創部以降、過去に5回(春1回、夏4回)の甲子園出場を誇る。

 1930年には、第16回全国中等学校優勝野球大会で準優勝を収めた。決勝の相手は、広島商で、2対2の同点で迎えた9回に、6点を失って2対8で敗戦。惜しくも深紅の優勝旗を逃したが、その後も1968年1981年に甲子園に出場している。

 他にも、男子バレーボール部は、春高バレーで1998年から2000年まで三連覇を成し遂げ、ラグビー部もまた、全国高校ラグビー大会(花園)に27回の出場を果たしている。

卒業生は、過去にプロ野球選手を5人輩出した他、バレーボールでは、北京オリンピックに出場した越川 優選手や松本 慶彦選手も同校出身だ。

 そんな岡谷工業も、時代の移り変わりとともに、工業校に進学を希望する生徒数が減ってきたことから、一昔前のような工業校独特の雰囲気は薄れたものの、それでも野球部には、「ここで野球がやりたい!」という思いを持って入学してくる生徒も多い。

 そのうちの一人が、1年生夏からベンチ入りしている遊撃手・保科 翔(2年生)だ。
3人兄弟の一番末っ子。兄2人も岡谷工業の硬式野球部出身で、2番目の兄・大樹は現在、信濃グランセローズの練習生としてプレーしている。


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[page_break:古豪復活を目指して]

保科 翔選手(長野県岡谷工業高等学校)

「兄たちから岡谷工業野球部の話をずっと聞いていて、自分も、高校生になったら岡谷工業で野球がしたいと思っていました。実は、創部100周年というのは、入学するずっと前から知っていて、そんな記念の年に自分が在学できるというのが、嬉しかったのを覚えています。高校野球も100周年を迎えるというのは、後から知ったんですけど、こんなに重なることは珍しいことなので、自分はまだ2年生ですけど、今年は、100周年という力も借りて、勝ち進みたいです」
と語ってくれた保科。

 一番上の兄・謙一郎の最後のはベスト16。エースピッチャーとして、初戦から投げ続けて、4回戦では強豪私立校相手に立ち向かっていった兄の姿が、今でも忘れられない。当時の様子を誇らしく話す保科にとって、2人の兄は憧れの存在だ。

 そんな保科のもとに、春の大会が終わってから、2番目の兄・大樹からメールが届いた。

「お前が、チームを引っ張っていけ」
3年生に遠慮せず、自分らしいプレーを。そんな思いがこもった兄の言葉を力に、この夏もショートストッパーとして、チームに貢献していくことを誓った。

古豪復活を目指して

ノックを打つ神田勇一監督(長野県岡谷工業高等学校))

 今年のチームは、ともに南信予選敗退となったが、チームは夏直前の9泊10日の強化合宿を行い、実践だけでなく、最後に基礎基本の見直しも図った。取材のこの日は、放課後の練習時間の大半がバント練習。
「バントは集中して一発で決めろよ」
就任9年目となる神田 勇一監督の声が飛ぶ。

 神田監督自身、同校OB(1994年卒業生)で、現役時代は、県大会ベスト4、ベスト8と上位進出の常連だった。勝ち進むことが出来るチームの状態がわかるからこそ、選手たちへの要求は厳しくなる。そんな神田監督の指導のもと、この春に力を伸ばしてきたのが、エースで4番の後藤 昇(3年)。さらに、キャプテン・小口 晃弘(3年・外野手)を中心に夏に臨む。

 キャプテンの小口は、夏の大会に向けて、
「秋も春も粘り強さが足りなかったので、この夏は、これまでの練習で身につけた粘り強さを大切にしていきたい。バッティングでは、野手の間を抜くような粘り強いバッティングで得点を重ねたいです。自分たちの野球を最後まで貫きます!」と意気込みを語った。

 3年ぶりの初戦突破を目指して、岡谷工業は14日、まずは野沢南戦に挑む。

(取材・写真:安田 未由


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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