Interview

埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗選手 「目指すはパ・リーグを代表する強打の二塁手」

2015.03.09

 2013年、110打点を挙げ最多打点を獲得し、大ブレイクを果たした浅村 栄斗選手。しかし2014年はケガもあり、出場試合数も118試合にとどまった。結果14本塁打を放ったものの、満足のいく成績を残せなかったと振り返る浅村選手。
それでもオフシーズンでの取り組みや、今シーズンに向けての思い。そして、打撃、守備のこだわりについても伺いました。

瞬発系のメニューを中心に取り組むオフのトレーニング

浅村 栄斗選手(埼玉西武ライオンズ)

  昨シーズンを振り返ると、厳しいシーズンだったと浅村選手は振り返る。

「良かったことは全くないですね。とくに打撃面で。2013年と比べると全部の数字が下回ってしまった。もっとレベルも目標も高いところに置いてやっていかないといけないと思っているので、2014年の成績では全然ダメですね」

 巻き返しを図りたい今シーズン。このオフは何かテーマを設けていたのか。

「このオフは肩の手術もあったので、まずは早く治すことを考えてやっていました。大きいケガは今まで経験したことが無く、手術自体も初めてでした。手術をしたのが肩の部分だったので、ウエイトトレーニングもガッツリは出来ない。器具も持てないから、チューブを使ったトレーニングをドクターに看てもらう、というくらいでした。リハビリはやっぱりしんどいので、もうケガはしたくないというのが一番ですね。やっぱりバット振りたいですよ」

 バットを振りたい。バットマンの本能が出ていた言葉だ。経験したことの無い大きなケガをして、気持ちの面で焦りなどはあったのだろうか。

「当然ありました。でも、その年だけが大事じゃないということを、ケガをして分かったので、そこから先を見据えるようになりました。キャンプに入ってからはとても順調なので、逆に焦らないように抑えながらやっています」

 ケガがなければ、オフの期間はいつもどんなトレーニングをしているのだろうか。

「主にウエイトトレーニングですね。中でも瞬発系のトレーニングを多くやっていました。そんなに重い器具を使わずに、軽い器具で一瞬で力を出す、とか。ウエイトトレーニング以外では中間走のほか、中距離より短距離で思いっきりダッシュすることもやります。1本走るごとに全力で走るので、本数はそれほど多くない。内野手なので守備はもちろん、打撃や走塁、全てにおいて瞬発力が大事かなと思うんです」

 以前のインタビューでは、「パワーが大事」だと思った時期があると語った浅村選手だが、トレーニングメニューの中でも、パワー系と瞬発系は同じくらいの割合なのだろうか。

「最近は、あまりパワーだけが大事というのは思っていないんです。セカンドをやり始めてから、というのも多少はありますね。ファーストをやっていた時期と比べると、動きの面でも全く違いますから」

 守備について話が出たが、二塁手の難しさと面白さ、それぞれ感じた部分はこの1年であったのか。

「難しさは(体の使い方が)逆になるということですかね。ショートやサードとは逆の回り方をしなくちゃいけないので。あと、セカンドは『頭を使って守れ』ってよく言うじゃないですか。僕は感覚でプレーをしているので難しいです」

 去年からセカンドに挑戦している浅村選手。やはり今まで守っていたポジションとは大きな違いを感じているようだ。

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[page_break:タイミングの取り方は基本的に高校時代と変わらない]

タイミングの取り方は基本的に高校時代と変わらない

浅村 栄斗選手(埼玉西武ライオンズ)

 選手によっては、走攻守は全部一緒だと考える人もいるが、浅村選手はそうは思っていない。

「全然違いますね。身体の使い方は投げるのも打つのも似てはいますけど。守備はほとんどエラーが許されないのに対して、バッティングは3割打てばすごいと言われる。そこの難しさというか、感覚が違います」

 打撃面を考えた時、長打を打つために身体作りをしている、ということはあるのだろうか。

「ホームランを打ちたいという気持ちはありますけど、それだけを狙うということはないです。しっかりバットを振れて打てれば飛ぶとは思うので。しっかり打つためにトレーニングをする、というところですね。でも今はシーズンに向けて、とにかく早く、本格的にバッティングが出来るようになりたいです。リハビリも継続しながら、ですけど」

 浅村選手のホームランを見ると、低めの球をホームランにすることが昨年多かった。低めの球を強くしっかり打つにはどうすればいいのか。
「僕の感覚的には、低めの方が飛距離が出ると思うんです。すくい上げる感じになるので」

 タイミングの取り方は?

「身体も力も全然違うので見た感じは違いますけど、感覚的には同じですね。みんな毎年同じフォームでは打ってないと思うんです。僕も感覚的には一緒で、フォームだけが毎年少しずつ変わっているという感じ。今年もまた違う発見があるかもしれないし、その時その時でいろいろ考えていこうかなと思っています」

 自分に合ったフォームを見つけていく中で、さまざまな知識や経験が無いと難しい。浅村選手の場合は、どうやって見つけ出しているのか。

「先輩から言われたことをやってみたり、試合で『こうやって打ったら飛ぶんだな』という発見もあるので、それを練習で取り組んでやっていく、という作業ですね。やってみてダメだったらやめますけど、良かったら、やっていこうかなと」。

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[page_break:打撃でも高い結果を残せる二塁手になりたい]

打撃でも高い結果を残せる二塁手になりたい


浅村 栄斗選手(埼玉西武ライオンズ)

 今シーズンのキャンプでは、地道な反復練習の守備メニューにコツコツと取り組んでいた浅村選手。
「このメニューはキツイですね。慣れはしないです。ただ、基本的な練習が内野手の場合一番大事なので。充実したキャンプを送れていると思います」

 今回、2015年のシーズンへ向けて、浅村選手の用具のこだわりについて聞いてみた。トレーニングと試合の時に着るものの違いはあるのだろうか。

「アンダーウェアに関しては、試合では紺しか使えないのですが、練習の時は何色でも良い。だから、蛍光の黄色とかよく着ていますね。今着ているウェアは、自分の好きな色。バッチリです!」

トレーニングウェアは、機能面をこだわる選手もいるが、浅村選手はデザインで選ぶ。
「機能面よりも、僕はどちらかと言ったらデザインで選びます」

 それはシューズやスパイクに関しても、デザインへのこだわりは変わらない。
「やっぱりカッコよさは重視します。とはいっても、機能がしっかりしているのは大前提ですから。スパイクだったら走塁を考えて極力軽いものを使いたいですね」

 最低限の機能が備わって、そして自分がカッコいいと思うデザインを選ぶのが浅村流なのだ。最後に今シーズンの目標を聞くと、
「打つ方は、3割打ってホームランは20本以上。打点も80以上は挙げないと優勝できないと思うので、それぐらいを目標に置いてやっています。去年の数字はクリアできると思います。守備でも、チームになるべく迷惑をかけないように頑張ります」

 最後に今年は、打撃と守備のどちらの自分を見てほしいのかを聞くと、
「どちらかというと打撃ですが、セカンドの僕も見てほしいです」

 2013年、27本塁打、110打点と23歳ながら最多打点を獲得した浅村選手。二塁手として、2013年並みの成績を残すことができれば、パ・リーグで打撃タイトルを狙える唯一の強打の二塁手として輝きを放つことが出来るはずだ。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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