試合レポート

常総学院vs佐野日大

2014.10.27

白熱!接戦!投手戦!常総学院が辛勝!

常総学院vs佐野日大 | 高校野球ドットコム

制球力が光った鈴木昭汰(常総学院)

 秋季茨城大会を制した名門常総学院とこの夏惜しくも甲子園出場を逃し秋季栃木大会準優勝で関東大会に駒を進めてきた佐野日大の一戦。
両チーム共に相手投手を打ち崩すことができない。実力が拮抗するチーム同士の接戦となった。

 常総学院先発は、左腕鈴木昭汰(1年)。中学時代にはU15日本代表に選ばれるほどの剛腕である。その鈴木が佐野日大打線に与えた安打はわずか5。相手打者が仰け反るほどの鋭い直球をインコースに投げ込み、打者が手を出せずに見逃しする姿が印象的であった。
制球力が光る投球であったゆえに、無四球完投かと思われた最終9回表に一つ四球を与えてしまったことが唯一の心残りである。

 対する、佐野日大先発は同じく左腕小林快(2年)。こちらも、鋭い直球が持ち味ではあるが、変化球を織り交ぜて相手打者を翻弄する投球で、鈴木同様に常総学院打線に与えた安打はわずか5。
しかし、立ち上がりの1回から3回は毎回四死球を与えるなど、この試合に与えた四死球は5つと制球に苦しんだ。

 この好投手同士の対決、先に均衡を破ったのは常総学院であった。

 三回表の常総学院の攻撃。先頭打者1番宇草孔基(2年)が死球で出塁。宇草は果敢に盗塁を試み、佐野日大の送球ミスの間に一気に三塁まで到達。その後、3番荒原祐貴(2年)が四球で出塁し、一死一、三塁とチャンスを作る。ここで打席には、4番石井大貴(2年)。石井は秋季茨城大会で満塁本塁打を放つ勝負強さと長打力を持っている。その4番の一打が適時打となることを誰もが期待した。
しかし、石井がバットを振ることはなかった。石井はバントの構えを取り、打球を三塁線に転がす。その間に三塁走者宇草が生還。見事なスクイズで常総学院が先制に成功し、1対0となった。


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堅い守備で本塁を守った高瀬将太郎捕手(常総学院)

 常総学院に先制され、佐野日大も黙ってはいない。
直後の四回表、3番石山 諒(1年)が左中間を破る三塁打を放ち、反撃の狼煙を挙げる。ここで打席には、4番柿澤郁也(2年)。柿崎は左方向に痛烈な適時打を放ち、すぐさま佐野日大が1対1の同点とし、試合を振り出しに戻した。

 そして1対1の同点で迎えた五回裏の常総学院の攻撃。
先頭打者9番竹内 諒(2年)は死球で出塁。続く1番宇草が犠打を決め、チャンスを一死二塁とする。打席には第一打席で内野安打を放っている2番和田慎吾(2年)。和田の打球は高いバウンドのゴロとなり、見事三塁手の頭上を越えていき、その間に二塁走者は生還。常総学院は1点の追加点を得て、2対1。またしても1点をリードした。

 なんとか追いつきたい佐野日大は、6回7回と三塁まで走者を進めるも、常総学院エース鈴木からあと1本を奪うことができない。
そして迎えた最終9回表。先頭打者6406(2年)が、常総学院鈴木からこの日初めての四球をもぎ取る。続く、3番石山が犠打を決め、4番柿澤が凡退。

 二死二塁。最後のチャンスとなったところで、5番鈴木歩(2年)の打球は中前安打となる。二塁走者坂田は三塁を蹴って本塁を目指すが、わずかに常総学院センター竹内の送球が速い。本塁は常総学院捕手高瀬将太郎のブロックに遮られ、生還失敗。勝負あり。
劇的な幕切れで、常総学院佐野日大を2対1で下し、準々決勝への切符を手にした。

 この試合では、投手力、特に制球力が明暗を分けた。
とはいえ、まだまだ発展途上の秋である。今秋に見つかった課題をどれだけ修正できるかが来年夏の明暗を分けるだろう。

 勝った常総学院は27日、神奈川大会優勝の平塚学園と戦う。神奈川と茨城の優勝校同士の一戦ということでさらなるハイレベルな試合を期待したい。

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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