試合レポート

関東一vs都立保谷

2014.10.13

都保谷・左腕エース浦川、力投及ばず。関東一、4対0で勝利!

関東一vs都立保谷 | 高校野球ドットコム

都立保谷の左腕エース・浦川將右衛門

 「関東一打線には、とにかくインコースをどんどん攻めていこうと試合前から決めていました」
都立保谷の左腕エース・浦川將右衛門(2年)は、その言葉通り、強気のピッチングでこの試合、関東一の前に立ちはだかった。

それでも、立ち上がりを関東一の3番オコエ瑠偉(2年)に捉えられる。1番井橋俊貴(2年)を内野ゴロ、2番長嶋亮磨(2年)を空振り三振で打ち取るも、二死から3番オコエに、レフトへの三塁打を浴びる。
続く4番伊藤雅人(2年)、5番森山 将(2年)にも連続四球を与え、二死満塁とすると、6番五十嵐滉希(2年)のライトへの適時打で1点を先制される。

2回には、関東一の先頭の8番鈴木大智(2年)に二塁打を打たれるも、ここは粘りの投球で、追加点は与えない。3回、4回も無失点でしのいだ浦川。
しかし、5回裏。
関東一の先頭打者・オコエは、「中々、相手の投球を捉えきれなかった」と言いながらも、ここでも左前打を放ってチャンスメイク。オコエは、すかさず二盗を決めると、4番伊藤がセンターへの犠飛を放って、一死三塁。さらに、7番眞田嵩大(2年)の打ち上げた飛球が、ファースト後方にポトリと落ちて、その間に、三走のオコエが生還。

2点を追いかける展開となった都立保谷は、7回。
先頭の1番川原遼太(2年)が、チーム初のヒットをセンター前に放つ。2番大宮 舜(2年)のショートゴロが野選となり、一死一塁となるも、3番柿田大輔(2年)が右前打で、チャンスを広げる。
ここで、タイムを取る関東一ベンチ。
この時間で関東一の先発・田邉 廉(2年)は、5秒ほど目を閉じて、気持ちを切り替えたと話す。
「タイムを取ったあの場面で気合いを入れ直しました。ここで切り替えないといけないって。三振を取れたら流れも戻ってくると思って、狙っていきました」
田邉は、4番佐藤遼河(2年)にカウント1―3から死球を与えて満塁とするも、5番林 耕陽(2年)を三振。6番中川泰介(2年)も2ストライクまで追い込むとシンカーで落として空振り三振に斬って取る。この試合、一番のピンチを凌いだ。


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完封勝利をあげた関東一の田邉

 一方で、ここまで、被安打4、2失点と粘投を続けてきた都立保谷の浦川だったが、7回裏。コントロールが乱れはじめたところを関東一打線に攻め立てられる。
一死から5番森山が死球で出塁すると、6番五十嵐がセンターフライに倒れるも、7番眞田の左前打で、二死一、二塁とランナーをためる。
続く、8番鈴木のショートへの打球は、イレギュラーバウンドとなり、ボールがレフトに転がる間に、二走の森山が3点目のホームイン。さらに、9番田邉も左前打で続いて、4対0とリードを広げる。
その後も、1番井橋の犠打が安打となって、二死満塁とするも、浦川の気持ちは切れなかった。
「これ以上、点を離されたら、チームの雰囲気が悪くなる。もう1点を与えたくなかった」と、2番代打・佐藤佑亮(1年)をサードゴロに打ち取って、大量点は許さなかった。

しかし、都立保谷は、8回、9回と、関東一の田邉を攻略できず。試合は4対0で関東一都立保谷を下し、3回戦進出を決めた。

この試合、9回を投げ、被安打2、四死球3。奪三振13をマークし、完封勝利をあげた関東一の田邉は、試合後、
「今日はテンポよく投げることができました。次の試合でも今日以上のピッチングができるように頑張りたいです」と晴れやかな笑顔で語った。
また、関東一の米澤貴光監督は、次戦に向けて、
「勝つことによって、チームの課題が見つかって、それを次の試合までにクリアしていくことで、チームの力を高めていけるので、今の実力の中で、次もしっかりと戦っていくだけです」と、19日(土)国士舘とベスト8をかけた3回戦へ向けての思いを語った。

都立保谷は、関東一の前に敗れたものの、長岡秀二監督は今大会の収穫として、
「粘り強く、ギリギリのところでしぶとく戦うことが出来ました。また、浦川もいつもより緩い球を多めに放って、相手を崩すピッチングをみせてくれたことも大きかったですね」とエースの力投、そしてチームとしての粘り強さを称えた。
オフシーズンは、2月までグラウンドの改修工事で、ボールを使った練習はほとんど出来なくなる。それでも、この秋季大会で見つけた個々の課題をトレーニングなど通じて、さらにレベルアップしていくつもりだ。

(文=安田未由

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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