試合レポート

千葉黎明vs市立船橋

2014.10.08

川口廉、繊細な投球で、市立船橋打線を抑え、初の秋季関東大会出場を導く!

千葉黎明vs市立船橋 | 高校野球ドットコム

2失点も8回まで無安打と好投を見せた遠藤(市立船橋)

 関東大会最後のイスを争う第3代表決定戦。千葉黎明が先制に成功し、勝利をモノにした。
 千葉黎明の先発はエースの川口 廉(1年)。いきなり一死一、三塁のピンチを迎える。打者は4番阿部 雄基(2年)。川口はここからギアを入れて、阿部をスライダーで空振り三振。5番佐藤 虹輝(2年)には135キロのストレートで追い込み、最後は縦スライダーで空振り三振。

 その裏、千葉黎明は1番藤江 康太(1年)が四球で出塁し、藤江は盗塁を仕掛け、盗塁成功。2番加瀬 広樹(2年)の犠打。これを投手・遠藤が三塁に送球したが、野選となり、無死一、三塁。3番大木 浩貴(2年)が遊ゴロを放ち、1点を先制する。

 さらに3回裏も二死二塁から敵失で1点を追加し2対0。なんと無安打で2点を先制。千葉黎明としては思わぬ形での得点である。2失点した市立船橋の先発・遠藤 孝益(2年)だが、その後は好投。

 遠藤もエース望月 大希(2年)に負けない実力を持った投手。右横手から常時125キロ~130キロ(最速131キロ)の直球、スライダー、カーブをコントロール良く投げ分ける投手。制球力も高く、落ち着いたマウンド裁きも魅力だ。

 また魅力なのが上背があること。さらに体力が付けば、135キロ~140キロも期待したい投手である。


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1失点完投勝利を挙げた川口廉(千葉黎明)

 千葉黎明の川口はこの日はやや制球が乱れ、走者を出すことがあったものの、落ち着いて投球を見せていた。ピンチだったのは6回表、無死一、三塁と3番柄澤 侑也(1年)、4番阿部を迎え、市立船橋にとっては反撃するチャンスである。

 だが川口もこの場面でも冷静だった。まず柄澤を空振り三振に打ち取り、4番阿部を投ゴロ併殺に打ち取り、ピンチを切り抜ける。7回表に、秋山 賢太郎(2年)の適時打で1点を還されるが、同点にはさせない。

 9回表、一死一塁、川口は最後の打者を遊ゴロ併殺に打ち取り、試合終了。千葉黎明が関東大会出場を決めた。
 千葉黎明は2点は無安打からの得点。8回裏に、ようやく初安打を放ったが、得点に絡んでいない。適時打なしで、点を奪ったのである。1安打勝利。とても珍しい勝ち方であるが、それでも勝つことが出来たのは、エース川口の粘り強い投球が素晴らしかった。

 今日は走者を出すことも多く、本来の出来とはいえなかった。ただ川口はストレートが走らない代わりに、スライダーを軸に投球を組み立てた。スライダーは低めに決まり、市立船橋打線はスライダーの対応に苦労した。

 準決勝、決勝とみてきて、今、自分が使える球種で、考えながら投球が出来ている。まだ決める時にスライダーが決まらなかったり、ストレートが抜けたりするのが課題だが、ストレートとスライダーともに自分の狙い通りに投げられる「コマンド」が身に付けば、さらに打たれにくい投手になっていくだろう。
千葉黎明にとって秋季関東大会出場は未だなく、これが初出場。まさに歴史に残る勝利となった。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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