試合レポート

つくば国際大高vs下妻一

2014.09.28

注目投手・福田海人を擁するつくば国際大高が秋季県大会初勝利!

つくば国際大高vs下妻一 | 高校野球ドットコム

クラシックスタイルの下妻一・応援団

 強風のなか行われた秋季茨城県大会の開幕日の第2試合は、県南地区代表のつくば国際大高と、県西地区代表の下妻一の対戦となった。

 つくば国際大高は、創部以来初となる秋の県大会出場だ。その原動力となったのが、昨秋からのエースを任されており、マウンド経験豊富な福田海人(2年、筑西田宮ボーイズ)だ。福田は身長174センチとさほど大柄ではないが、分厚い体躯から放つ最速140キロに迫るストレートには非常に威力があり、茨城でも指折りの好投手として注目される。

 対する下妻一は、地区予選ではノーシードから、2試合ともに先発の清水翔(1年、小絹中、右オーバースロー)と後を任される上野真聖(1年、境一中、右サイドスロー)の、2人の1年生投手の継投で勝ち上がってきた。この日の先発も、地区予選と同様に背番号10の清水が任された。なお、平日開催にもかかわらず、下妻一のスタンドには応援団の姿があった。

 1回表、下妻一は先頭の1番・渡辺知也(2年、下妻中)が初球をセンター前ヒットとし、2番・中野大夢(2年、下館南中)が送り、3番・泉邦明(2年、桃山中、県西選抜)の右中間への犠牲フライで二死三塁とする。しかし、4番・根本俊太郎(1年、下妻中)はレフトフライに倒れる。

 1回裏、つくば国際大高打線が、下妻一先発・清水をいきなり捉える。一死から、2番・佐々木優作(2年、守谷愛宕中)がレフト前ヒットで出塁すると、3番・福田海はセンター前ヒット、さらに4番・飯島省汰(2年、下館中)は適時ライト前ヒットと続き、三連打で1点を先制する。続く5番・野口拓真(2年、坂東東中)は初球で送って一死二、三塁としたところで、下妻一ベンチはマウンドへ上野を送る。しかし、7番・福田聖也(1年、筑西田宮ボーイズ、ボーイズ茨城選抜、福田海の弟)は、代わり端の初球をレフト前に運び、さらに1点を追加。つくば国際大高がこの回2点を先制する。
下妻一0対2つくば国際大高


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二番手・上野真聖(下妻一)

 2回裏、つくば国際大高は一死から9番・飯田山人(2年、城西中、県南選抜)が四球で出塁すると、1番・石原裕也(1年、新宿シニア)が送って二死二塁のチャンスを迎える。ここで2番・佐々木は強烈なレフト前ヒットを放つも、当たりが強すぎて本塁は狙えない。二死一、三塁から打者は3番・福田。一走・佐々木は1ボールから二盗を試みるも、下妻一捕手・佐藤大地(1年、石下中)の矢のような送球に刺され、この回は無得点に終わる。

 4回裏、つくば国際大高は一死から8番・三瓶友幸(2年、桜中)がセンター前ヒットで出塁すると、9番・飯田が送って二死二塁とする。しかし、1番・石原はショートゴロに倒れる。
下妻一は5回表を終えて、ヒットは2本(うち内野安打1本)。スコアリングポジションには、初回の1度しか進められていない。

 5回裏、つくば国際大高は一死から3番・福田海がサード強襲ヒットで出塁する。4番・飯島が凡退し、二死一塁から、5番・野口がう右中間寄りに落ちるシングルヒットでつなぎ、一走・福田海は一気に三塁を落とし入れる。この後、打者走者・野口のオーバーランが大きいと見た二塁手・渡辺は、一塁へ送球するもこれが大暴投となり、三走・福田海が生還。つくば国際大高が1点を追加する。
下妻一0対3つくば国際大高

 6回表、下妻一は先頭の8番・寺田貴洋(2年、下妻中)が四球で出塁すると、9番・上野が送って一死二塁とする。続く1番・渡辺のカウント1-1のときに、二走・寺田が牽制で飛び出し二塁・三塁間で挟まれる。しかし、つくば国際大高の挟殺プレーが上手くいかない。送球がランナーの背中に当たり、ボールは三塁ファールゾーンへ。ランナーが一気に生還し、下妻一が1点を返す。
下妻一1対3つくば国際大高


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3安打の佐々木優作(つくば国際大高)

 6回裏、つくば国際大高は二死から9番・飯田がライト前ヒットで出塁すると、すかさず盗塁。二塁への送球が逸れる間に一気に三塁を落とし入れ、二死三塁とする。しかし、1番・石原はショートゴロに倒れる。

 7回裏、つくば国際大高は先頭の2番・佐々木がこの日3本目のレフト前ヒットで出塁するも、3番・福田海はエンドランをセンターフライ、4番・飯島のサードゴロは二塁封殺でランナーを進められない。二死一塁から、5番・野口はサードエラーで出塁し、二死一、二塁とする。しかし、7番・中島健太(2年、関城中)はセンターフライに倒れる。

 8回表、下妻一は先頭の7番代打・石山航史郎(1年、石下中)が四球で出塁すると、代走・池沢雄之介が送られる。8番・寺田は空振り三振に倒れるが、一走・池沢はパスボールと盗塁で一死三塁とする。ここで9番・上野は高いバウンドのショートゴロを放ち、池沢は抜群のスタートで生還。代走起用が見事に的中し、下妻一が1点を返す。
下妻一2対3つくば国際大高

 8回裏、1点差に迫られたつくば国際大高は、一死から8番・三瓶が内野安打で出塁。9番・飯田が送って二死二塁とし、1番・石原にこの日3度目の得点圏の打席が訪れる。しかし、石原はライトファールフライに倒れる。


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下妻一を3安打に抑えた福田海人(つくば国際大高)

 9回表、1点を追う下妻一は、一死から3番・泉が逆風のなか、レフトフェンスにワンバウンドで到達する二塁打で出塁し、同点のランナーを出す。しかし、4番・根本はショートフライ、5番・佐藤はセンターフライに倒れ試合終了。

 つくば国際大高が3対2で下妻一を下し、秋季県大会初勝利。二回戦進出を決めた。つくば国際大高は二回戦で第4シード・水城と対戦する。

 敗れた下妻一は、先発の清水が連打を浴び、後を受けた上野がロングリリーフする形となったが、ランナーを背負いながらも粘り、試合を作った。打撃はつくば国際大高・福田海の前に3安打と、快音が聞けなかったが、少ないチャンスに足と小技を絡めて得点に結びつけるという下妻一らしさは発揮できたように思う。
主将の泉邦明は、ショートの身のこなしが軽快で、9回に放ったレフト越え二塁打からも潜在能力の高さを感じた。

 勝ったつくば国際大高は、12安打を放ちスコアリングポジションにランナーを進めるものの、あと一本が出ず残塁10、得点3と苦しい試合運びだった。先発の福田海人は被安打3、奪三振4、与四球2とまとまった投球内容だったが、四球で出したランナーは2つとも先頭バッターで、その全てが失点に結びついている。終始つくば国際大高ペースで進んだ試合だったが、決め手に欠く薄氷の勝利であった。

(文=伊達 康

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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