試合レポート

種子島vs霧島

2014.07.06

心技体、人間の安定・種子島

 出場各チームへのアンケートに「夏までに克服すべきこと」という項目がある。

 「心技体の安定。特に人間の安定。自分自身をコントロールすること」

 種子島のエース西田力人(3年)の課題はそう書かれていた。思い返せば昨秋鹿児島実戦、今春鹿児島工戦、いずれも先制点を挙げ、鹿工戦(2014年3月27日)に至ってはあわやコールドかというところまで追い詰めながら、制球難で自滅した悔しい過去があった。大事な夏の初戦は、先発して3イニングで無安打1四球6奪三振と成長の跡をみせた。

 初回はボールが高めに浮き「自分で抑えてやろう」という力みが出た。無失点に抑えてブルペンに戻ってきたときは「手が震えていた」(日高慎一郎監督)という。

 そこをしっかり修正できるようになったのが成長だ。抑えようと力むのではなく、周りを信じて打たせる。そう切り替えて、丁寧な投球ができたことが6奪三振にもつながった。「自分をしっかりコントロールできた」手応えを西田は感じることができた。

 技術的には、身体の軸がぶれて安定したフォームで投げられなかったのを、下半身を鍛えて軸の移動だけで投げるフォームを徹底して身につけた。「心の安定」のために取り組んだのは「日々の生活の見直し」だ。地域の人にもあいさつする、決められた課題を期日までに提出する…日々の生活の中でおろそかにしていたことを大事にするようになった。「良いプレーがあっても調子に乗らない。悪いプレーがあっても引きずらずに切り替える」(日高監督)ことを日々の練習で心掛けた。

 持ち味の打線は、上位から下位までムラなく球質の良い打球を放ち、バントを使うことなく14安打16得点と効率よく得点を重ねることができた。投手陣も西田、野手投手の宇辰大紀(3年)、アンダースローの鎌田貴久(3年)とつないで1失点で切り抜けた。チームの掲げる「全戦力で戦う」(日高監督)野球で初戦を突破できた。

 2回戦の相手は昨秋に苦杯をなめた鹿実。「自分たちから崩れないこと」を日高監督は戦いのカギに挙げていた。

(文=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?