Interview

広島東洋カープ 丸 佳浩選手(千葉経済大学附属高出身)

2014.05.12

 広島東洋カープ入団6年目。今シーズン、持ち前の打撃力で長短打量産し、チームの勝利に大きく貢献している丸佳浩。
 また、丸の魅力は打撃力だけではない。相手の隙を逃さない走塁だ。
 丸は持ち前の俊足と千葉経大附時代に培った観察力により、次の塁を果敢に狙いにいく攻撃的な走塁技術を作り上げた。プロに入ってからも丸の走塁はさらに磨かれ、2013年、初の盗塁王を獲得した。
 今回は、そんな丸が、『走塁』をテーマに、盗塁成功の秘訣やプロ入り後の成長の理由などをたっぷりと教えてくれた。

千葉経大附 松本監督は、当時をこう語る

 入学当初、身体能力は非常に高い選手でした。
 肩は強くて、打てば飛ばしますし、足もかなり速かったです。
 昨年は、盗塁王を獲得しましたが、高校時代は投手をやらせていたので、走らせて故障させるのも怖い部分もあって、高校時代は盗塁はしていなかったと思います。
 丸の魅力は何事にも動じない精神力の強さ、負けん気の強さです。
 そういう気持ちの強さが、厳しいプロの世界でも生き残ることが出来ていると思いますし、高校時代の厳しい練習に歯を食いしばってやってきた結果が、今の丸につながっている部分もあるのではないでしょうか。

盗塁王、そして走塁の技術

広島東洋カープの丸選手

――盗塁王を獲れた理由――

丸 佳浩選手(以下「丸」) 2013年は、盗塁王を獲ることが出来ましたが、自分の中では、盗塁技術は“まだまだ”だと思っています。というのも、千葉経大附高時代は、2年生の秋からは投手に専念したので、盗塁練習はほとんどやっていなくて。

 でもプロに入ってからは、高信二コーチと石井琢朗コーチからも「どんどん走れ」と言われているので、去年は自分の中でも積極的に走ることが出来ました。

 僕が、昨シーズンもそうですが試合で走る上で大切にしていたのは、思いっきりの良さと強い気持ちです。どんな場面でも、迷わずスタートを切れた部分があったので、それで29盗塁につながったのかなと思っています。
 メンタルの部分が強いですが、やはりこれが、盗塁を成功させる上で一番重要だと考えています。行くと決めたら、躊躇(ちゅうちょ)しないで走る勇気がやはり大切ですね。

 あとは、相手投手のクセも研究して、配球を読みながら、変化球を投げるタイミングを見つけて走るようにしていますね。とくに、セ・リーグの場合は、クイックの上手い投手が多いんです。だからこそ、走塁の技術というのは、練習もそうですが、僕は実戦の中で積んでいったほうが、成長が早いと思っています。

――丸選手が語る走塁の技術――

 まず、走る、走らないの判断に関しては、ベンチから『なんで走ったんだ?』と聞かれた時、その根拠をしっかり答えられるようにしています。
 ただ高校生の場合、プロと違って何度も同じ相手と対戦しないので、それは難しいかもしれません。例えば、けん制が遅いタイプならリードは大きくとか、投手のタイプに応じた準備、練習をするといいと思います。

 また、僕の場合、スタートを切るときは、いつも右足からです。歩数は、二塁ベースまで11歩くらいですね。
 僕が走る上で意識しているポイントの一つとして、盗塁をする際に、本来は低い姿勢で走りたいんですけど、体が硬いので、あまりそれにこだわると走り方が窮屈になってしまうんです。そのため、3歩目あたりからは、50mを走るのと同じ姿勢で走るようにしています。

 実際の塁間タイムというのは計ったことはないですが、高校時代よりも足が速くなった感覚があるんです。スタートを切った後、まず打者を見るようにしていますが、その後に二塁ベースを見た時に、1年目より2年目、2年目より3年目と、徐々に近くになっている感じがしています。また、オフシーズンのウエイトトレーニングの成果もあり、今は3歩目くらいで、トップスピードに入れるようにもなりました。

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[page_break:目で盗む盗塁とは?]

目で盗む盗塁とは?

広島東洋カープの丸選手

――目で盗む盗塁とは?――

 走塁について、1年目より2年目、2年目より3年目と速くなってきたと話しましたが、入団してからの1年目と2年目というのは、とにかく練習でも実践でも、勉強の毎日でした。高校の時は、ほとんど練習をしていなかったので、最後に足が浮いてしまい、間一髪セーフの場面でアウトになることが多かったんです。

 もともと、脚力はある程度(50m6秒1)ある方でしたが、走塁技術はまだ磨いていませんでした。それが、少しずつ成果が出始めたのは、3年目の時(※ウエスタン・リーグで21盗塁を記録)。

 どうすれば、今までアウトになっていた走塁がセーフになるのかと思い悩んでいた時、2年目の春季キャンプで初めて1軍メンバーに選ばれて、その時に、赤松真人さんと梵英心さんの走塁を間近でみたんです。
 赤松さんからは、スタート、中間走、スライディングの盗塁技術。梵さんからは、走塁時の打球判断を、“見て”学びました。

 高い実績のある2人の走りから、どうすればセーフになるのか、どうすれば先の塁に行けるのかを学ぶことができました。あんなふうに走りたいというイメージを持つことができたことで、僕の盗塁や走塁に対する意識が大きく変わっていきましたね。

――走塁をサポートするスパイクへのこだわり――

 まず、スパイクについては、僕が一年間で使うスパイクは2、3足ほどです。ほかの選手に比べると、少ない数だと思います。
 今はアシックスのスパイクを履いていますが、中学まではチームメイトのスパイクを履きあって、どんなスパイクが自分に合うのかなど試していた時期もありました。
 それでも、高校からはアシックスを選んだのは、アシックスのスパイクは、疲れにくく、柔らかくて、また歯の突き上げによる衝撃が少なかったからです。

 スパイクのお手入れは、練習や試合後に必ず汚れ落としで磨いています。メッシュの部分はブラシで磨いて、歯の部分についた土は、さび防止のために毎回きちんと取り除くようにしています。

 丸選手、貴重なお話をありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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