県立今治西高等学校(愛媛)
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「回り道」は「成功」への確かな経路
「なぜに、そこまでして、試練の道を背負うのか」~2012年8月9日・[stadium]阪神甲子園球場[/stadium](第94回全国高校野球選手権大会 1回戦)。一つ・また一つ三振を積み重ねる桐光学園2年生(当時)左腕・松井 裕樹(現:東北楽天)。その前に「IMABARI」のユニフォームがあった。
僅差の投手戦を狙っていたゲームプランを崩される序盤の大量失点。いくら混乱の中にあったとはいえ当てに行けば、かつ今治西のミート力を持ってすれば、三振を回避することは可能だったはず。それでも、彼らは試合後半からあえて強振にいった。その結果、終わってみれば22三振という前人未到の記録が残されたのである。
ただ、1年半が経った今、そんな苦難も今治西にとっては必要な回り道だったと感じている。その部分をあらためて気付かせてくれたのは、エース左腕・神野 靖大(3年)であった。
彼は「勝負どころでしっかり投げきれるように。みなさんの期待も感じているので、その期待に応えられるように。まずは初戦を全力で勝って、その後のことは初戦が終わればみえてくると思う」と抱負を述べた直後、「今治西高の野球について」こう述べる。
「1点を力を合わせて取りにいき、1点をなんとしても守りきる。そして堅実で相手チームにも敬意を払うのは(今治)西高にしかないものだと思う。そこは自信を持ってやっていきたい」
塵1つ落ちていないグラウンド。アップからの全力。整列の速さ。練習中の弛緩を一切許さない大野康哉監督の下、全ての責任を自らに求める彼らの姿はいつ見ても清々しい。それが反作用に働いたのがあの出来事だったのだ。
だからこそ、今治西野球部はさらに自らを鍛えた。
「つないで小技を絡めていく。チーム全員で向っていく」(福原 健太右翼手)
「1つ1つのプレー、1球の競り合いを制する」(越 智樹捕手)
そして主将・田頭 寛至遊撃手が最後に集約してくれた
「朝もグラウンド周辺の掃除をしていますし、高校生として当たり前のことをチーム全員がやる」ことを見直したスタイルは昨秋、四国王者として1つの到達点に達した。
それもあくまで通過点。終わりはない。冬の鍛錬も「心・技・体」。
「体が前に突っ込まないように『割れ』を作って変化球に対応することをやってきました」(福原)、「普段からコミュニケーションを図って投手が投げやすいように心がけている。監督さんからも言われていることを踏まえて、練習でも試合でも内角から攻めていく意識を持っています」(越智)
そして、いよいよやってくる。「あの日」以来の晴れ舞台が。
「去年は先輩たちと一緒に行けず、悔しい思いをした」(田頭)
「自分たちが残した成績で行けるので、秋以降、今までやってきたことを出し切って、1つずつ勝ちを重ねていきたい」(越智)
「緊張を力に変えて、リラックスと緊張のメリハリを持って入りたい」(福原)
「前回ああいう結果に終わったので、この大会で自分がいい野球をして先輩たちの悔しい想いを晴らしたい」(神野)
選手たちの想いを誰よりも感じている大野監督は、
「神野は初戦に一番いい力が出せるように。打撃は冬に取り組んだ『割れ』をできるように、守備では悪い連鎖反応だけ起こさないように、いい流れを持って甲子園に入りたい」
と話し、「寒暖差に気を付けてベストのコンディションを作りたい」とセンバツでの注意点に触れ、そして最後に少しだけ頬をゆるめて、こう言った。。
「高校野球は色々な形があると思いますが、ここでしか伝えられないことをやってきた自負はあります。自分たちが日ごろの練習で培ったものを出しきる中で、そういったことがついてきれば。粘り強く、全部出し切れればいいです」
初戦は、「2014年3月25日」。593日ぶりの舞台で、今治西は全てを出しきりにいく。
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(文・写真 寺下 友徳)
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