Column

ウォームアップを左右する要因

2014.02.28

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 ようやく気温も少しずつ上がり、球春が待ち遠しい季節となりました。グランドが使える環境では、そろそろオフシーズンのトレーニング期から実践的な練習へと移行している学校も多いのではないでしょうか。皆さんは必ずウォームアップを行っていると思いますが、毎回同じパターンを繰り返していませんか? 今回はウォームアップを左右する要因季節ごとの工夫などについてお話をしたいと思います。

ウォームアップを左右する要因

 ウォームアップの目的としては、メインの練習や試合のときに最大のパフォーマンスが発揮できるように、そしてプレーによってケガをしないよう事前に身体を動かして準備しておくことが挙げられます(参考コラム「ウォームアップとストレッチ」)。これは寒い時期と暑い時期ではかける時間も変わってきますし、その他さまざまな要因によってその都度変えていく必要があります。ウォームアップを左右する要因を考えてみましょう。

ウォームアップは季節や天候などによって変化する

1:内的(個人的)要因
・その日の体調、体温、ケガをしている部位があるかどうかなど

2:外的(環境)要因
・季節、天候、気温、風などの自然環境
・ウォームアップを行う場所
・試合開始までの時間 等

3:チーム要因
・試合前・オフシーズンといった時期的なもの
・人数 等

1:内的(個人的)要因について

 これは選手個人の内面にある問題と考えてもらえばよいでしょう。特に以前ケガをして不安部位を抱えている場合などは、より入念にウォームアップを行い、準備をすることが不可欠です。ストレッチをより多く取り入れる、身体のキレを出すために短いダッシュを多く行う等、チーム全体としてまとまってウォームアップをする前に、個人で取り組むことも必要になってきます。体温が高い場合は短い時間で体内から温まりますが、起床後まもないときや気温の低い日などは体温が低めです。こうした体調・体温なども考慮に入れて行うことも大切です。

[page_break:外的(環境)要因について、チーム要因について]

2:外的(環境)要因について

 これは天候などの自然環境や使用する路面の状態など、主に個人以外の環境要因になります。特に寒い時期と暑い時期ではウォームアップにかける時間も変わってきますし、行う内容も変化します。一般的に寒い時期ではウォームアップにかける時間が長く、暖かくなれば自然と短くなってきます。特に真夏などの立っていても汗をかくほどの暑い時期は、じっくりランニングに時間をかけるのではなく、敏捷性などを養うドリルなどを数多く行うほうが、暑さによるスタミナ消耗を防ぐことにもつながります。

 逆に寒い時期にいきなり急激な反応ドリルなどを行うと、ウォームアップによってケガをしてしまうということにもなりかねませんので、ロング走などでじっくり身体を温めてから行うようにするとよいでしょう。

3:チーム要因について

全体で行うウォームアップの前に各自で準備する

 チームの期分けにもよってもウォームアップは変化します。試合前であれば持てる力をしっかりと発揮できるよう、専門的な動きを取り入れた内容になりますし、オフシーズンであればトレーニング要素を取り入れつつ行うことも一つの方法です。また人数の多い少ないによっても時間的な制約が出てくるため、対応しなければならないところだと思います。

 こうしていろんな要因を考えてみると、ウォームアップは型どおりに行うものではなく、それぞれの要因にあわせて柔軟に対応していくことが大切です。特にチーム全体でウォームアップをする場合、個人的なコンディションは考慮されないため、「もう少し身体が温まるまで走りたい」と思っても出来ない場合もあるでしょう。チームとしてシーズンごとにウォームアップの内容を見直し、必要に応じて前もって個人個人でもウォームアップに取り組むことも、結果の出る準備につながると思います!

ウォームアップを左右する要因

●ウォームアップは季節や時期などに応じて変化させる必要がある
●内的要因は個人のコンディションのこと
●外的要因は天候や路面など環境によるもののこと
●チーム要因は個人コンディションを考慮しない
●全体でウォームアップを行う前に個人で準備することも大切

 (文=西村 典子

次回、第88回公開は3月15日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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