試合レポート

酒田南vs日大東北

2013.10.14

酒田南が接戦を制す

酒田南vs日大東北 | 高校野球ドットコム

力投する大和田啓亮(日大東北)

 10月13日の東北大会、この日の最後の試合は酒田南vs日大東北

 近年、福島は聖光学院が際立っているが、それ以前は学法石川日大東北がリードしていた。日大東北は地元では「ニチコウ」と呼ばれている。2003年夏を最後に甲子園出場はないが、今でも根強いファンは多く、ニチコウの試合は人が集まる。学法石川との対戦となれば、ファンも対立するくらいの勢いだ。

 聖光学院は斎藤智也監督の就任以降、メキメキと力を付けた。だから、全国的には福島=聖光学院というイメージがあるだろう。そして、2008年夏から聖光学院は県内の公式戦で負けなかった。2007年から現在まで夏は7連覇。この秋、公式戦の連勝は95にまで伸びた。

 聖光学院の96勝目がかかった準決勝で対戦したのが日大東北。そして、「ストップ・ザ・聖光」を達成した。この試合で投げていたのが、147キロ右腕・大和田 啓亮である。

 大和田はこの夏の、聖光学院との決勝でも投げている。6回途中からリリーフし、9回に同点打を浴びた。そして延長10回サヨナラ負け。そのマウンド

にいた。今秋の準決勝は聖光学院打線を8安打1失点に抑えてリベンジ。決勝も制し、チームを10年ぶりの優勝に導いた。今大会注目の投手とあって、[stadium]花巻球場[/stadium]には複数球団のスカウトも姿を見せていた。

 酒田南の先発は相澤 良。前チームから投げており、経験値の高いピッチャーだ。先攻の日大東北は1回表をすべてフライアウトで三者凡退に終わった。

 その裏、大和田がマウンドに向かったが、思わぬ展開が待っていた。

 酒田南の1番・土田 一希がレフト前にヒットを放った。その打球をレフトがトンネル。土田は三塁に到達した。2番・佐藤 哲大はセカンドゴロに倒れたが、3番・清水 敬太がセカンド内野安打を放って三走・土田がホームイン。酒田南が先制した。とはいえ、大和田は清水への初球でボールになったが145キロをマークするなど、140キロ台を連発した。

 日大東北の打線は3回、8番・落合 滉樹がチーム初ヒットとなる右前打を放つと、9番・目黒 将が犠打。1番・真部 航大への初球が暴投となり、落合は三塁へ。真部は四球で一死一、三塁とし、2番・遠藤 拓夢のバントの打球は一塁線上で止まり、三走・落合はホームを駆け抜けた。


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粘りの投球で完投勝利をあげた相澤(酒田南)

 ここからは1試合目同様、投手戦になった。

 酒田南・相澤は130キロ後半の直球と110キロ台の変化球で粘り強く投げた。

 日大東北の大和田は、130キロ後半の直球が数える程度でほとんどが140キロ台。それにスライダーと90キロ台のカーブをたまに混ぜて三振と凡打の山を築いていった。

 140キロのストレートも、それが続けば目は慣れる。さらに、酒田南は対戦が決まってからマシンの球速を上げ、打撃投手も前にして速球対策をしてきたという。直球で空振り三振を奪われはしたが、タイミングはあってきていた。

 そして、8回裏。きっかけはまたもエラーだった。3番・清水がショートゴロを打ったが、日大東北のショート・深谷 浩太の送球が浮き、ファースト・永山健太がジャンプしている間に一塁を駆け抜けてセーフ。4番・三浦 颯大が141キロの直球をファウル、142キロを見逃しストライク、143キロのボールの後の141キロをショートの右を抜けるレフト前ヒットにして無死一、二塁。5番・菅井 達也は140キロの直球をライト前に弾き返し、二走・清水が勝ち越しのホームを踏んだ。

 大和田のギアが上がり、6番・阿部 秀平は142キロに空振り三振。途中出場の7番・前川 大地から143キロで空振り三振を奪った大和田は「オリャー」と叫んだ。そして、8番・青木 将人を144キロでセカンドゴロに打ち取った。

 9回表、日大東北は二死から代打・山岡 辰煕がレフト前ヒットで意地を見せ、9番・目黒 将がカウント2—1から2球ファウルで粘ったが最後はセカンドゴロに打ち取られてゲームセット。2対1で酒田南が勝利した。

 この時、[stadium]岩手県営球場[/stadium]では八戸学院光星仙台育英が試合をしていた。この勝者と酒田南は対戦することになっている。

 昨年、酒田南は東北大会準々決勝で光星と対戦。0対7と一方的なコールドもあり得る展開から14対7の8回コールドと大逆転劇を演じた。準決勝では仙台育英に1対10の7回コールド負け。酒田南にとっては、次の対戦相手は気になるところだった。結果は10対7で八戸学院光星が勝利。準々決勝の相手は昨年同様、光星に決まった。

(文=高橋 昌江)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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