Column

埼玉栄高校相撲部が実践している 強靭さ・柔軟さを高める足裏基礎トレーニング 後編

2013.10.18

埼玉栄高校相撲部が実践している 強靭さ・柔軟さを高める足裏基礎トレーニング

野球にも取り入れられる「相撲的トレーニング」法

 では、相撲のトレーニング法で野球にもすぐ取り入れられるものはあるのだろうか?山田監督は「じゃあ、道場を出ましょうか」と私たちを外へと案内する。

 整理整頓された用具が並ぶ道場外の通路。そこには、どこにでもあるタイヤがアスファルトの上に置かれていた。シューズを履いてそれを押さんとしている1人の選手。

 「脂肪を減らして、筋肉量を増やすためのトレーニングですね」(山田監督)

 このときばかりはさすがの選手も思いっきり踏ん張って、アスファルト上のタイヤを20mほど押す。

[pc]

[/pc]

 「誰か押してみてください」

 監督から指名を受けた野球経験ありの若手スタッフが押してみるが・・・びくともしない。

 「グラウンドの上でタイヤ押しやタイヤ引きをする野球部はあると思うんですが、アスファルトの上だと摩擦力が違う。アスファルトの上で押すからこそ意味があるんです」

 もちろん選手の状態を見計らう必要はあるだろうが、このトレーニング法も一考の余地があるだろう。

[page_break:足指を開くエクササイズを]

足裏は「強靭さ・柔軟さ」を出す原動力

 それにしても稽古は基礎であっても厳しい。部員の中には今年2月に国民栄誉賞を受賞した第48代横綱・大鵬(2013年1月没)、佐渡ヶ嶽親方としても名力士を次々と輩出した第53代横綱・琴櫻(2007年8月没)のお孫さんたちも在籍しているが、ここでは「サラブレッド」などという肩書きは一切関係ない。時に顔をしかめながら、土俵に汗を流す彼らの懸命さには、見ている我々も心を打たれてしまう。

 「すり足」に続いては相撲で必須となる突き、押しのパワーを作るため「鉄砲柱」といわれる木の柱に向かって突っ張る「鉄砲」へ。ここでも「足裏」が大事なキーワードになっていた。

[pc]

[/pc]

 軽い「パン」でなく思い「ドン」という音。様々なパターンの鉄砲を見せて頂いた中でも足裏をしっかり使い、踏み込んでの鉄砲は明らかにそうでないものと打撃力が異なっていた。

 いざ、土俵に入り押し稽古やぶつかり稽古に入る選手たち。かかとが浮いていれば押し込めず、土俵に転がされる。かかとがしっかり付いていれば、押し込め、相手を押し出せる。すなわち足裏のバランスが崩れた方が負け。足裏は相撲の勝敗を分ける生命線となっていることが如実にわかる光景である。ほとんどが100キロ以上にもかかわらず強靭、かつ柔軟な動きができる力士たち。その奥義はこのように全て「足裏」から始まっている。

 ここ最近、スポーツ界では今まで見落としがちだった「足裏」の重要性を見直す動きが増えている。当然、野球界も例外ではない。トレーニングも然ることながら、「足裏」に特化した用具にも注目が集まっている。日頃から鍛えるためには、NIKE FREEなど足裏の強化を考えたソールの屈曲性が高いシューズなど発売されているため、トレーニング用具も上手に活用していきたいところだ。

 日本古来の伝統競技・相撲が教えてくれる「足裏」の大切さ。球児の皆さんも参考にしてもらえば幸いだ。

文=寺下友徳

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.02

【茨城】常総学院、鹿島学園、水戸一、つくば秀英が4強入り<春季県大会>

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.02

激戦必至の春季千葉準決勝!関東大会出場をかけた2試合の見所を徹底紹介!

2024.05.02

【長野】松商学園、長野日大、東海大諏訪などが県大会出場へ<春季県大会支部予選>

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【長野】上田西、東海大諏訪、東京都市大塩尻が初戦突破<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?