Column

野球ノートに書いた甲子園 高校野球ドットコム編集部 KKベストセラーズ

2013.09.19

読書のすすめ


■ Amazon.co.jpで購入する


■ 楽天ブックスで購入する


■ セブンネットショッピング

書評

野球ノートに書いた甲子園 高校野球ドットコム編集部著

 
記憶は時とともに風化してしまいますが、記録は残すことができます。野球選手として日々練習を積み重ねている皆さんの中には、野球ノートをつけている人もいることでしょう。今回ご紹介する本「野球ノートに書いた甲子園」にはそれぞれのノートに、それぞれの思いが綴られており、ノートを書くことで野球選手としてだけではなく、人間的な成長を促す大事な存在であることがリアルに描かれています。

野球ノートには練習内容や反省点だけではなく、「チームとしてどうやったら強くなれるのか」「どうしたら上手くなれるのか」「それには何が足りないのか」といった自分の内面を見つめ直す選手たちの姿がありました。神奈川ではここ数年上位に食い込む実力をみせている県立弥栄高校も野球ノートを活用するチーム。野球ノートが義務的なものになっていないか、チーム内で話し合いを持ったときの高橋選手のノートには、その日考えたことが素直に書かれていました。野球ノートはなぜ書くのかという問いに対し、試合で勝つため、勝つためには上手くなること、そして上手くなるためには自分を知らなくてはならない、と高橋選手は考えます。

「そして、それを逆転の発想で自分を知る → 長所・短所を成長させられる → 上手くなれる → 勝つ!というようになる。だから野球ノートは他人に書かされてやるものではない」(P92より引用)

また日本一練習時間が短い都立小山台高校の「日本一、心を持った野球日誌」、新潟・日本文理高校の「自分だけの『野球の教科書』」、山口・高川学園高校の「野球ノートに書いた甲子園」など、選手たち、監督をはじめとする指導者のノートを通じたコミュニケーションには、グッと胸を打たれることもしばしば。

ノートを書くこと、書き続けることで以前の自分を振り返ることもできるし、成長の足跡を残すことができるということを、実際に目の前で見せてもらったような気がします。私もトレーナー日誌を書いているのですが、以前書いたものを読み返してみると「顔から火が出るほど恥ずかしい」内容が多く、知識や技術の未熟さにほとほと情けなくなります・・・。でもこれが以前の自分からの成長の証だと思えば、やはり書き続けていこうという気持ちになりますよね! 記録にない去年の「今日」は思い出せなくても、記録に残した去年の「今日」は鮮やかによみがえります。この本を読んで改めて記録することの大切さ、素晴らしさを実感し、身の引き締まる思いがしました。

(書評:西村典子)

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?