試合レポート

川島vs徳島商

2013.04.01

川島vs徳島商 | 高校野球ドットコム 

上田優介(川島)

「ごっつぁん」に至る過程の踏み方

3月28日(金)にセントラルリーグ、パシィフィックリーグ同時開幕を迎えたプロ野球(NPB)。伊東勤新監督を迎えた千葉ロッテは、開幕戦は角中勝也、2戦目は福浦和也と殊勲者こそ違えど、2試合連続・延長12回犠飛サヨナラ勝ちという珍しい記録を打ち立てたが、その裏ではもう1つの記録が達成されていた。

開幕戦勝利投手は打者1人3球で駒沢大からトヨタ自動車を経て、2007年ドラフト1位入団のサウスポー服部泰卓。2戦目の勝利投手は最終回を11球3人で片付けたJR四国から入団後7年目のシーズンを迎える中郷大樹。ちなみに出身高校は服部が川島、中郷は那賀。すなわち、徳島県高校出身選手が2試合連続で同一チームから開幕から2試合連続勝利投手。もちろんそのようなデータを備えたサイトはないが、これもなかなかない珍記録だ。

中でも服部にとっては、苦節6年目、悲願のプロ1勝。これを聞いて千葉ロッテ入団時にピッチングマシンの寄贈を受けるなど「勇気を与えてもらった」川島・北谷監督の意気はさらに上がった。

そんな指揮官の意気込みは選手たちにも見事に伝播する。先発サウスポーの上田優介は、7回表は一死満塁から徳島商業先発・坂本温基(3年)に押し出し四球を与え、先制点こそ許したものの、センバツで感動的な活躍を見せた藤田凌司(県立岐阜商業)と同じチェンジアップを決め球に12回で10奪三振。昨秋四国大会ベスト4の実力者相手に互角以上の投球内容をみせた。


川島vs徳島商 | 高校野球ドットコム

同点スクイズを決めた宮田圭輔(川島)

一方、8回まで昨秋より制球力が増した坂本に封じられていた打線も最終回、突破口を開く。無死一塁から「投手戦になると思っていたので粘り強くいこうと思っていた」4番・藤川翼(3年・主将)が「一か八かで仕掛けた」(北谷監督)バスターエンドランに応え、一死一・三塁から6番・宮田圭輔(3年)がスクイズ。3年前の21世紀枠センバツ出場以後、川島の代名詞ともなっている「スモールベースボール」が決まり、土壇場で同点に追い付く。

こうなれば運も味方だ。迎えた12回裏・二死二塁から1番・藤村友也(3年)が打ち上げた打球は、左翼手・遊撃手・三塁手の間、レフト線にポトリと落ちサヨナラ勝ち。川島は2年連続3度目の決勝戦へと駒を進めた。

かくして、昨秋準々決勝で鳴門に終盤突き放された課題を冬場の基礎練習・体幹トレーニングで克服し、春徳島連覇へ王手をかけた川島。北谷監督が服部投手に送ったお祝いメールの返信は「ごっつぁんです」だったそうだが、昨年1軍登板なしにあっても地道な努力を重ねてきた服部同様、「ごっつぁん」に至る過程を彼らは正しく踏んでいる。

(文=寺下友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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