試合レポート

日大鶴ヶ丘vs東亜学園

2013.04.06

日大鶴ヶ丘vs東亜学園 | 高校野球ドットコム 

本田君(日大鶴ヶ丘)

あわやノーヒットノーラン、日大鶴ヶ丘が東亜学園を1安打完封

春の嵐が近づいてきているという天気予報が出ている中での試合。試合開始当初の11時54分には、まだ風もそれほどではなかったものの、試合の進行とともに、風の状態があやしくなってきた。それでも、雨も落ちてくることなく試合は何事もなく無事に成立した。

また、風の影響が試合そのものを左右するようなことにもならなかったのもよかった。それに、両校の選手がそんなコンディションの中でも集中を切らすことなく、きちんと一つひとつをこなしていたことに、改めてどちらもよく鍛えられていると思わせるものだった。

試合そのものも、1時間半のスピーディーなものとなったのだが、それは試合を急がされてそうなったというのではない。両投手のテンポがよくてそういうスピーディーな試合になったということである。

東亜学園はサイドスローの中村達君が先発。ちょっと腰を畳んで、アンダースローの投手のようになりながら、腕を立てて途中からサイドになっていくというフォームで、慣れるまではやや面食らう感じだ。初めて対戦すると、タイミングを取りにくいのではないだろうか。

これに対して日大鶴ヶ丘の本田君は、若干2段モーション風になりながらも、一連の流れの中でスイスイと投げてくる。サイドというよりはスリークォーターから、スライダーを中心に自分のリズムを大事にしながら、打者に考える余地を与えないようなテンポで投げ込んでいた。

この二人の投げ合いで始まった試合。初回、2回を見て投手戦になるだろうと予想された。それだけに先制点が大きくモノをいうことになるだろうなと思っていたが、その先制点が3回日大鶴ヶ丘に入った。

この回の日大鶴ヶ丘は1死後8番の本田君が安打で出ると、続く廣瀬君は追い込まれながらもファウルで粘って四球を選んで一二塁。中村投手としては、ちょっと嫌な感じになるところであるが、そこをすかさず狙った伊地知君は左翼線へ運ぶ二塁打で2者を迎え入れた。


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廣瀬君(日大鶴ヶ丘)

 それでも、中村君もその後に崩れることなく、打たせて取っていた。4、5回も安打はされたものの後続を抑えて味方の反撃を待った。

ところが、東亜学園は本田投手の前に安打も出ないまま7回が終わってしまった。東亜学園ベンチからは、毎回のように上田滋監督が選手たちに檄を飛ばしながら気合を入れていたが、期待の片居木君も捉えてはいたのだが、あと一つ打球は外野を抜けきれなかった。こうなってくると、本田君のノーヒットノーランへの興味が強くなっていくものだが、東亜学園は8回に代打緒方君が右前打して何とか意地を示した。

日大鶴ヶ丘は9回にも、リリーした左腕の福山君を攻めて、廣瀬君のバント安打に四球などで満塁として、振り逃げの間に1点を貰うというラッキーで突き放した。
廣瀬君は、昨秋はベンチにも入っていなかった選手だという。こういう、冬の間に大きく伸びた選手が出てくるところにも、日大鶴ヶ丘の層の厚さがある。

試合後、日大鶴ヶ丘の萩生田博美監督は、「計算外のことが起きてしまいましたからね。当然、継投のつもりでいたのですが、(本田投手が)良すぎましたね。一本打たれたところで交代も考えたのですが、その後もすぐに押さえましたから…。ああなると代えられませんね。伊地知はこのところの練習試合では、全然打てていなかったのですが、公式戦では打ちますからね、さすがです」と、投打に指揮官の思惑以上の選手の活躍があったようだ。

この春に、学校から500mほどのところに神宮球場並みの人工芝仕様の専用グラウンドが完成したという。5月4日には関東一東海大望洋を迎えての新球場での初試合が予定されている。それを前に、今大会は3年ぶりの優勝を目指しての好スタートとなった。 

(文=手束仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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