Column

ウエイトコントロールについて

2013.01.15

年末年始はどうしても外食や食べる量が多くなりがち

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

2013年も「セルフコンディショニングのススメ」をどうぞよろしくお願いいたします!
さて年末年始においしいものを食べ過ぎて、体重が増えてしまった・・・という選手はいませんか。トレーニングで身体を鍛えて大きくすることと、たくさん食べ過ぎて体重が増えてしまったこと。同じようにみえても身体を構成する中身が変われば、競技にも大きく影響してきます。今回は適切なウエイトコントロール、特に減量について考えてみたいと思います。

体重がいきなり増えてしまったときアスリートとして求められるのは、いかに力を発揮する筋肉を落とさずに、身体の「おもり」となる脂肪を燃焼させて体重を落とすかということです。野球は体重によるクラス別階級などはありませんが、柔道やレスリングなど体重別クラスのある競技では、ウエイトコントロールは非常にむずかしい問題となることがあります。食べ過ぎた分を減らせばいいという安易な考えで、何も食べず絶食状態で過ごすことは、成長期である皆さんの身体によい影響を与えません。むしろ、身体がより飢餓感を覚えて脂肪を蓄えようと働くため、「あまり食べていないのに体重が減らない」という逆転現象が起こることもあります。

筋肉と脂肪の比重は資料によって多少の違いはありますが、筋肉は脂肪よりおよそ1.2倍重いと言われています。脂肪の比率が多くなってしまった身体(=体脂肪率の高い身体)は見た目にもぽっちゃりとした印象を与えるばかりでなく、脂肪は力を発揮しないため、スポーツを行う際に「身体が重く感じられる」といったことが起こります。選手の皆さんには、普段から体重を計測する習慣をつけること、そしてスタミナを切らさずに身体がよく動く体重(適正体重)を把握することをオススメします。


アスファルトでのランニングは荷重関節により大きな負担がかかる

急激に体重が増えてしまうとどのような変化が見られるでしょうか。適切にトレーニングを行って筋力をつけた状態であれば、競技力の向上に結びつきますが、トレーニングの成果ではなく食べ過ぎなどが原因の場合はケガのリスクが大きくなってしまいます。体重が重くなることで身体を支える荷重関節(足関節、膝関節、腰椎など)にはより大きな負担がかかり、運動量の増加や疲労の蓄積などによって関節を痛めてしまうことがあります。特にアスファルトなど固い地面を走るときには顕著にその傾向がみられます。またプレーにおいては「おもり」を背負っている状態と考えてもらうと、俊敏な動作が鈍くなったり、今まで出来ていたプレーが出来なくなったりといったことが考えられます。

体重減量を目的としたウエイトコントロールで気をつけることは、ムリな目標を立てるのではなく1ヶ月に1~2kg程度を目安にゆっくりと体重を減らしていくようにすることです。水分や食事を抜くことは極力さけ、食事ではたんぱく質を含む食材を減らすことなく、脂肪分を少し控えめにします。

皆さんがすぐに取りかかれることとしては、
●食事はよく噛んで食べる(たくさん噛むことで満腹感がアップする)
●間食を控える(ただしトレーニング前などに必要な補食はとる)
●海草類、きのこ類、野菜類などを意識的に多く取る
●バランスの良い食事を心がける
●運動量を減らさない(急激に増やすのではなく、少しずつ増やす)

などがあげられます。
また「体脂肪燃焼には20分以上の継続した有酸素運動が必要」と誤解されがちですが、身体を動かすと体脂肪は燃焼されます。細切れの時間を使っても体脂肪は燃焼されますので、運動量を減らさずに過ごすことも大切な要因です。

参考ページ
20分以上の有酸素運動でなければ脂肪は燃えない?」(オールアバウト「運動と健康」)

【ウエイトコントロールについて】
●筋肉を落とさずに体脂肪を落とすことがポイント
●脂肪は力を発揮しないため、身体の「おもり」となる
●筋肉は脂肪よりおよそ1.2倍重い
●体重が急激に増えると荷重関節に負担がかかる
●細切れの時間を使って身体を動かしても体脂肪は燃焼する

(文=西村 典子

次回、第61回公開は01月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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