イメージトレーニングの重要性~メンタルモデルを作ろう~
イメージトレーニングの重要性~メンタルモデルを作ろう~2012年12月11日
外から見るのではなく、内から見るイメージって何?
選手にとって重要なイメージトレーニングの一つは自身の「メンタルモデル」を作り上げることである。それぞれの選手が理想的なテクニック、試合に対する姿勢、メンタルコンディションを持っている。イメージでこれらを組み合わせ練習することにより、試合に向けて強力な武器を持つことが出来る。
ここで、ある選手の事例を紹介しよう。その選手はいつも周囲の期待にうまく応えられないピッチャーだった。特に大きな大会では、監督やチームメイトからの期待がプレッシャーとなってしまい、さまざまな不安がわき上がり良いパフォーマンスが出来なかった。試合中、不安感がわき上がると頭が真っ白になってしまい、マウンド上で自分を見失うことがたびたびあった。
適切なメンタルモデルを作り上げるために、最初に行ったのは自分が最高のパフォーマンスでピッチングを行っている所をイメージすることであった。しかしながら、他人や自分が「ビデオの中」で投げているのはイメージできるが、実際に「マウンド上から」自分がバッターに投げているのをイメージできなかった。
つまり『外側から見たイメージ』はできるが通常マウンドで、打者と対戦しピッチングを行っている目線でのイメージ=『内側から見たイメージ』がうまく出来なかったのだ。
試合中に自分を見失うようなことがおこらないために、まずは、この目線をうまく使い分けるトレーニングが必要となる。
フォームの改造などでは、最初は客観的な外側からの目線使いをトレーニングする場合もあるが、メンタルモデルを作る場合は、主観的な『内』から『外』を見る目線のイメージを使う。
きみは、筋感覚をイメージできているか?
▲試合で感じる感情を鮮明にイメージしよう
うまく内側からの目線でイメージをトレーニングしていると、その選手はあることに気がついた。
『だんだん内側の視線でイメージできるようになってきたんですが、何ていうか・・・自分がうまく投げた時に何をしているか今までよくわかってなかったなと気がついたんです』
さらに、
『いい球が行った時は、自分の身体をすごく意識できてるんです。身体を意識しているというか、そうですね、ある感覚があるんですよ』
ある感覚とは何だろうか?
それは、筋感覚である。(筋感覚=筋肉の収縮や緊張の状況を知覚する感覚)
イメージトレーニングにおいて重要なのは視覚よりも「筋感覚」のイメージなのだ。
この選手は、メンタルモデルを作るステップを、専門家であるスポーツ心理コンサルタントと適切に踏むことによって、自分の内面にある感覚を表出させることが出来た。
この筋感覚を意識できないと、いくらピッチング練習を行ってもフォームに再現性がなくバラバラで安定しない状態が続くのだ。
このように「筋感覚」のイメージをつかめるかどうか、これがイメージトレーニングを効果的に行えたかどうかの判断になるであろう。文字にするとなかなか分かりづらいことがあるのは確かであるが、内側の目線がうまく使いこなせた上手くトレーングが出来ているのであれば、この感覚はきっと自然と脳が感じてくれるはずである。
(文・布施努)