小禄vs首里

懸命なグランド整備をする
反撃のチャンスをほぼ与えなかったエースの好投で小禄が30年振り2度目の4強!
今年50周年(1963年創立)を迎える小禄高校。対するは琉球王府が解体され首里中学校として歩みだしてからも132年が経つ古豪首里高校。
そんな両校は同じアイボリーのユニフォーム、胸に英語での校名表記も同じならば、この1年生大会の予選も共に2位通過。
さらに小禄が勝てば30年振りの、首里が勝てば34年振りのベスト4進出となる。
ここまで似通っているならば、さぞかし試合も白熱した好ゲームになるのではないだろうかと期待したが、果たしてその通りの展開を見せてくれた。
と、その前に。朝からの大雨で、グランドコンディションが危ぶまれ月曜へスライドか?との危惧もあったが、小康状態になった9時半頃から沖縄県高野連の先生方と、両校の2年生、さらに地元の嘉手納高校野球部も友情支援として加わり懸命なグランド整備。その甲斐あって外野などは完璧ではないが、何とか試合が出来る状態にまで回復させ2時間遅れての第一試合開始となった。
試合の裏にはこういった影の努力がある。ホントに頭が下がる思いでいっぱいになった。感謝感謝である。
話を試合へ戻そう。先制したのは小禄。1回の裏一死一・二塁から手登根諒介が左中間へ弾き返し二塁走者が生還。頼れる4番のタイムリーに湧く小禄ナイン。その打球にセンターが普段通り回り込むが、雨で濡れた芝生にワンバウンド目で即失速し虚をつかれたセンターは通り抜けてしまう。方や三塁を蹴りホームへ向かう二塁走者も、足を取られバランスを崩しつつ何とか走り抜けるなど、守る側も走る側もやはりいつもとは勝手が違う。その後ニ死一・二塁から6番赤嶺叡汰もセンター前へ運び2点目を加えた。
対する首里も黙ていない。先制された直後の2回。一死二塁から8番小山泰輝がセンター前へタイムリー。その後ニ死三塁としてキャプテン崎間恒之介がしぶとくレフト前へ落とすタイムリーですかさず同点とし、小禄先発の宇根孝介をこの回のみで引きずり下ろした。

首里先発西岡侑亮
首里は3回にもニ死三塁とすると、6番仲島幸宏にレフトオーバーのタイムリー二塁打が飛び出し逆転に成功するが、小禄は4回一死一・三塁から1番金城光紀がレフト前同点タイムリー。さらにニ死一・三塁として、3番比嘉亮貴が三遊間を破り再びリードする逆転タイムリーを放った。
首里の先発西岡侑亮は、昨日の中部商戦で10回完投したチームメイトの小山泰輝と同じ松島中学校出身。3年生に上がる直前の中学校春季県大会でベスト4入りを果たしたときのエース西岡にとって、ライバルであり良き友の小山の前日の力投は、この日のマウンドを託された自分自身にとって何よりのカンフル剤となったはずだ。
力強いストレートに鋭い縦のスライダーなど、見ればどれも一級品の素質ではあったが、この試合はそのストレートが時折真ん中近くに集まってしまい、シャープな振りの小禄打線に捕まってしまった。
対する小禄はサイドスローの宇根孝介と、捕手を務める屋比久侑が共に2イニングずつで降板。那覇南地区第二代表決定戦(詳細は11/3付け観戦レポートより)の2試合で18イニングを投げきったエース島袋洋平を温存しての右の二人に、
「ずっと予選から島袋だったのでここらで経験を積ませたい思いで登板させた。」という小禄・野原潤一監督の親心に、こちらも応えられなかった。
だが5回から島袋が登板すると試合は一変して落ち着く。内外角に制球されたボールに、カーブやスライダーも決まり首里打線を沈黙させる。6回はファーストのエラーで一死一・二塁とピンチを背負うが、顔色一つ変えず淡々と投げ浅いセンターフライに三振と後続を断つと、その後も無難に抑える。終わってみれば5イニング19人の打者に対し、3被安打1奪三振1死球の好投で、優勝した1982年以来となる30年振り2度目のベスト4進出へとチームを導いたのだった。
(文=當山雅通)
首里 | TEAM | 小禄 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
三塁 | 崎間恒之介 | 1番 | 中堅 | 金城光紀 |
二塁 | 新垣宏武 | 2番 | 二塁 | 嘉数大輝 |
捕手 | 仲宗根雄馬 | 3番 | 三塁 | 比嘉亮貴 |
投手 | 西岡侑亮 | 4番 | 遊撃 | 手登根諒介 |
遊撃 | 中真 樹 | 5番 | 捕手 | 屋比久侑 |
中堅 | 仲島幸宏 | 6番 | 一塁 | 赤嶺叡汰 |
一塁 | 宮里宏武 | 7番 | 右翼 | 日高雄大 |
左翼 | 小山泰輝 | 8番 | 左翼 | 上間滉太 |
右翼 | 井上高彰 | 9番 | 投手 | 宇根孝介 |