光星学院 強打の秘密/田村・北條を生み出した練習法(3)
強打者を育てた打撃練習法 3回連載の最終回をお届けします!
光星学院の素振り (1)リターン
《ポイント》
・リストターンの練習
・左右、同じ軌道で振る
▲(写真1)リターン
光星学院の素振り (2)早振り
《ポイント》
ティー打撃の素振りバージョン。理論は同じ。
光星学院の素振り (3)バックステップ
《ポイント》
・体重を股関節に乗せる練習→疲れてくると右打者は右股関節にタメがなくなる。スイングも鈍くなり、ポイントが前になってしまう
・右打者は右側にジャンプし、右股関節に体重を乗せてスイングする
▲(写真2)バックステップ
▲(写真3)ものを飛ぶように
光星学院の素振り (4)コース別
《ポイント》
ストライクゾーンを9分割し、アウトコース低めからインコース高めまで、それぞれ10スイング。
サンドバッグを使った練習法
光星学院では近距離バッティング(フリー打撃)の合間に各自行っている。
《ポイント》
・バットとボールが当たった後の押し込む感覚を覚える
・ボールの軌道にバットのスイングの軌道を入れる「ラインで打つ」ため、押し込む力が必要
※タイヤだと当たってから弾き返されるが、サンドバックは軟らかいため、押し込みの感覚がはっきりと分かる
▲(写真4)サンドバッグ
[page_break:試合で力を発揮する]試合で力を発揮する(仲井監督談)
バッティングで大切なことは、「タイミング」、ボールを点ではなく線で捉える「ポイント」、そして、「スイングスピード」です。スイングスピードは基礎体力と振り込みで養います。できるだけボールを長くみたいけれども、振り遅れてはいけない。そのためには速いスイングが求められます。とにかく、バットを振らないと速くはならないので、強化スイングや強化ティーを行っています。
調子には必ず、波があります。ずっと調子がいいということはない。でも、みんな、調子がいい時に大事な大会が当たったらいいじゃないですか。うちは、調子の波を作っています。強化スイングや強化ティーをやる期間があって、ランニング(ダッシュする距離と本数を期間によって変える)で体を落とし込みます。すべて、大会に合わせて逆算しています。どれくらいやって、どれくらい追い込めば合ってくるか、つかめるようになってきました。指導者は選手の調子をつかむことが大切だと思います。
バッティングは受け身です。ピッチャーの投げるボールに対して受動的。能動的にするためには、配球を決めていかないといけない。頭の駆け引きも必要です。夏は実戦経験を積んでいますが、春は実戦感覚がないから、バッターの読みが浅い。実戦感覚は、実戦でしか養えません。2011年センバツで、光星学院としてセンバツ初勝利を挙げた時は過去の反省を踏まえ、大会までに練習試合の数を増やしました。
いくらバッティングがよくても、点が入らなければ勝てません。点を取るためにはつながりが大事になってきます。そのため、うちは打順をコロコロ変えません。たとえ、打たなくても役割があるからです。
バッティングはメンタルの要素も大きいため、怒らないことも大切です。見逃し三振など、消極的なことやボーンヘッドに対しては言いますし、「ここは言っておかないと」という時はあります。でも、技術的なミスは怒っても仕方がない。逆にちょっと褒めるとヒットが出て、きっかけをつかむことがあります。
目標と目的を持って、とくかく振ることが大切です。そして、怪我をしない体作りをすることと食事、睡眠が大事。また、実戦が足りなければ実戦を、バッティング練習が足りなければバッティング練習、エラーが多ければ守備練習と課題に取り組む。毎日、同じ練習をしていても仕方がありません。
(文=高橋 昌江)