ワインドアップとノーワインドアップの本当の意味
ドラフト会議も終わり、各地区秋季大会も終了。このコラムがアップされる日に明治神宮大会が開幕ですね。私は昼過ぎまで[stadium]神宮球場[/stadium]で観戦予定です。
私が中学時代指導していた選手が来春の選抜甲子園に出場できるかどうかの微妙なところに…という状態です。去年もそうだったのですが、1月末まで首を長くして待つしかないですね。彼のピッチングは是非甲子園で見て欲しいです。
さて先月皆さんに質問した話題。ワインドアップとノーワイドアップの違い。これにははっきりした答えはないのかもしれませんが、私の考えを述べさせてもらいます。
『ワインドアップ』の意味
そもそも『ワインドアップ』とは『巻き上げる』という意味があるのです。そう、正しく軸脚の後方から踏み出し脚を巻き上げるように片脚立ちになる様を『ワインドアップ』というのです。(下図参照)
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▲図(1)ワインドアップ
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よく『ノーワインドアップ』という言葉を『振りかぶらないで投げる』時に用いますが、果たしてそれは本当に意味があっているのだろうか?と思ってしまいます。
英語での説明を読んでも『ワインドアップ』は『振りかぶる』かどうかではなく踏み出し脚を巻き上げるかどうかなのです。
だから私の見解では『ノーワインドアップ』は『セットポジション』と同じ動作になるのです。『ワインドアップ』ではないのですから。
『振りかぶる』か『振りかぶらない』かは動作自体にあまり影響がないと私は考えています。技術的な観点では使い分けることがあるかもしれませんが。
重要なのは脚の状態です。『ワインドアップ』と『セットポジション』では支持している足の位置と、重心の位置が全く異なるのです。
[page_break:ワインドアップの重心移動]ワインドアップの重心移動
では『ワインドアップ』とはそもそも何なのか?『ワインドアップ』とは踏み出し脚にかけた体重を軸脚に乗せ変えて片脚立ちになります。もし軸脚よりも後方に踏み出し脚があるなら、片脚立ちで支持する軸脚よりも後方に重心を置いた状態で、前方へ重心を移動させ、軸脚に重心を乗せてバランスを保ち、そこから更に前方へ重心移動する、という非常に難しい動きなのです。(下図参照)
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▲図(2) ワインドアップの重心移動
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最近セットで投球する投手がいますが、セットは重心を軸脚方向である後方へ移動させ、そこから軸脚で片脚立ちとなりバランスを保ってから前方へ重心移動できるため、安定した重心移動ができるために増えているのではないかと考えています。(下図参照)
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▲図(3)セットポジションの重心移動
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実際、指導している投手もワインドアップよりもセットの方が、安定して重心移動できる、という選手も少なくありません。
どちらであっても軸脚に重心をかけて、安定した始動(前方へ重心を移動させる)ができれば良い訳で、後は選手がどちらの重心移動が良いのか、という『投げ易さ』で決定すれば良いかと思われます。
さて皆さんは安定した重心移動で始動するには『ワインドアップ』と『セットポジション』どちらが良いですか?来月はオフシーズン真っ只中ですね!!!そして上半身編へと移行していきます!!!
(文・写真:久保田 正一)