体重管理(1)
11月になりました。既に冬トレを行っているチームが多いのではないでしょうか。
様々な目標・目的を持って、冬トレに取り組んでいると思います。トレーニングの量を目標にしている選手もいるでしょう。同じように、体重を目標の一つに掲げている選手もいるでしょう。
私のところでも、この時期になると特に「体重」についてのご相談が増えます。その内容は様々ですが、ほとんどが「増量」についてですが、中にはやはり「減量」と言われる方もいらっしゃいます。一般的なダイエットとは違う、選手の「減量」。今月と来月の2回シリーズで減量を中心とした「体重管理」についてお話します。
「減量」は必要か?今の体を見直そう。
▲タニタ体脂肪計 TF-206
野球は、階級別競技(柔道やレスリングなど)ではないため制限体重と戦う必要もありませんし、審美系競技(新体操やシンクロなど)でもないためプロポーションを重視する必要もありません。
それでも「減量したい」「体を絞りたい」そう思っている選手も少なくありません。でも、本当に「減量」が必要なのか、一度見直す必要があります。
「体重」というと重さ(数字)を重視しがちですが、中身(身体組成:何で構成されているか)の方が大切です。一般的に知られているのが体脂肪。体重から体脂肪量を差し引くと、筋肉・骨・内臓、そして水分が残りますがこれを除脂肪体重と言います。
つまり、同じ体重であっても体脂肪量が多いのか除脂肪体重が多いのか、また体重の増減があってもどちらが増減しているのかで、パフォーマンスにも差が出てくるということです。
まずは、体脂肪率の測れる体重計に乗ってみましょう。
「体脂肪率」はどのくらいがいいのか。
▲「体脂肪率」はどのくらいがいいのか。
今までの総括をすると「体脂肪は少ない方がいいのね」との声も聞こえてきそうな気がします。
体脂肪は多すぎるとパフォーマンスは低下します。では少なければいいのか?いいえ、違います。
体脂肪は、長時間の運動の際のエネルギー源になるだけでなく、体温を保持したり、ホルモンの構成成分になったり、衝撃に対するクッションの役割を果たしたりします。ですから「体脂肪は、生きる上で全く必要のないもの」ではありません。
では、どれくらいの体脂肪が必要なのか。生きていく上で最低限必要な体脂肪率は男子で3~4%、女子で9~12%とされています。野球をしている男子選手の至適体脂肪率(パフォーマンスの向上に適している体脂肪率)は8~14%とされています。
さて、あなたの体脂肪率はどれくらいでしたか?この範囲に入っているでしょうか。もちろん、ポジションやその特性により多少前後する場合もあるでしょう。今まで体脂肪率を漠然と見ていた選手は、もう一度見直してみましょうね。
「体脂肪」減らすためには?
数字を見た上で「やはり少し絞りたいな、減量したいな」と思ったら、正しい知識をもって減量に取り組みましょう。
<減量のためのポイント>
3kg以上の減量には、1か月以上の時間をかける。
欠食をしない。
バランスのいい食事を心がける。
調理法を工夫する
まず大切なのは、急激に減量しないこと。
急激な減量は、ストレスになるだけでなく体力や競技力まで落とす危険性があります。無理なく減量するためにも、長期的に取り組みましょう。
先に挙げたとおり、食事ももちろん大きなポイントになります。
来月は、残りの3つの食事にまつわる話をしたいと思います。
まずは、体重計に乗り自分の体重がどうか見直してみましょう。もちろん、問題ない人は今のまま、また増量も考えて冬トレに取り組んでくださいね。
■ 次回の栄養学一口コラムの公開は2012年12月01日予定です。お楽しみに!