不測の事態への対処法
不測の事態への対処法2012年10月10日
U18世界野球選手権大会で、この夏 甲子園を沸かせた高校球児たちが苦戦した。今までの親善試合とは違う「本気」になった世界のベースボールを体感した大会であったように思われる。
この大会での苦戦の一つの要因は、不測の事態への対応である。アメリカ戦でホームでのクロスプレーで、ランナーが捕手に身体ごとぶち当たり弾き飛ばされる。その後、いつも通りのプレーが出来なくなり敗戦へと繋がった。
自分たちの常識では考えられないプレーが国際大会では起こる。
このような不測の事態に対処できる選手になるにはどうしたらよいか。
心のフィルター「セルフコンセプト」とは
U18世界野球選手権大会 コロンビア戦より
人はそれぞれ独自の心のフィルターである「セルフコンセプト」を持っている。そして自分の「セルフコンセプト」にあった思考や行動を取ろうとする習性がある。そして、いままでの経験がメンタルモデルとして形成される。
『練習のように試合で出来ない。』という選手がたくさんいる。技術的な問題もあるかもしれない。しかし、監督・コーチから『あの選手は十分に力があるんだけど試合で・・・』という声もよく聞く。このタイプの選手は自分自身が練習で形成したメンタルモデルがそのまま試合で通用すると考えているのだ。つまり、いつも通りの基準は「練習」なのである。
ところが試合では想定外のことがたくさん起こる。
自分のメンタルモデルが基準になっているので当然と言えば当然なのだが、多くの選手はこのことに気づかない。『いつもと違う』、『思うようにいかない』と動揺してしまうのだ。
大会で勝ちたいと思うのなら、いつも通りの基準は「公式戦」に置くべきだ。そして試合では、不測の事態、つまり自分のメンタルモデルに当てはまらないことはたくさん起こると認識しておくのだ。
まず、この認識を練習でも徹底する。ともすると練習では単に“自分のメンタルモデル通り”に満足して終わってしまう。練習中にゲームノックなどを通じて不測の事態に対処する練習も大切だ。
そして、試合中に不測の事態が起きた時に意識をどこに向けるかを練習しておくのだ。意識を向ける方向は“自分がコントロールできること”だ。試合中には自分のコントロールできることから意識をそらす要因がたくさん存在する。
相手の選手、審判、グラウンド状況、天候、点差、観客、過去のできごと、結果への不安・・・。
不測の事態への対処力をつけるには、『今自分が使える武器を使って、今起こっていることに意識を向ける』トレーニングを通常の練習から「公式戦」を意識してやっておくことが大切だ。
(文・布施努)