越谷北vs大宮
注目右腕・小松、不調も…
昨春の時点ですでに140km近いストレートを投げるなど埼玉で注目されてきた越谷北・小松準(3年)。彼にとって最後の夏が始まった。
小松に対し、左の猪熊大介(3年)、右の金森耕(3年)を擁する埼玉大宮は左腕の猪熊が先発した。
「この1週間左の子に投げさせたりして左対策はしてきたのだが」と越谷北・宮幸次監督は嘆いたが、猪熊は目測120km台のストレートに変化球を交え序盤からテンポ良く投げ込み、3回までは越谷北打線を寄せ付けない。
一方の小松は、この日の悪天候や2週間前に太ももの裏を痛めた影響からか、ストレートが走らず制球が定まらない。
3回表一死一,二塁から、小松のワイルドピッチで二,三塁とすると、さらにもう一度ワイルドピッチで埼玉大宮に1点を与えてしまう。このあたりは小松の一人相撲だった。
だが、続く二死三塁のピンチをセンターのファインプレーで乗り切ると、今度は打線が小松を援護する。
4回裏、越谷北打線はこれまで攻めあぐねていた猪熊を攻め立て、二死一,二塁とチャンスを作ると、8番・斉藤恵太(3年)がフルカウントからのストレートを叩きレフトへ逆転3ラン本塁打を放った。
実は斉藤は新チーム当初は4番を打っていたそうだ。だが、バットが下から出る癖が抜けきれず調子を落とし打順を8番まで下げていた。それだけに
「あのホームランは大きい。これで斉藤も大丈夫でしょう」と越谷北・宮監督も試合後胸を撫で下ろした。
これで一気に流れを掴んだ越谷北は5回裏に猛攻を仕掛ける。
この回先頭の虎谷翔(3年)がセンター前ヒットで出塁すると越谷北打線が3巡目を迎えたということもあり埼玉大宮ベンチは猪熊を諦め金森への継投を決めた。
代わった金森だが、2番日名子瑞穂(3年)と4番下出幸一(3年)を歩かせ一死満塁とすると、自らが三塁へのけん制悪送球で1点を失う。
さらに一死二,三塁のピンチで5番・小松にレフトオーバーの2点タイムリー二塁打を浴びると、7番近藤裕介(3年)に死球を与えた所で降板する。
三番手の島田泰地(3年)も流れを変えられず9番駒井陽平(3年)に左中間へ2点タイムリー二塁打を浴びるなどこの回6失点を喫し試合の体勢は決まった。
埼玉大宮打線は6回表に上原勇斗(3年)の犠牲フライで1点を返すが、結局9対2で7回コールドゲームが成立した。
試合後の小松は、「今日は野手に助けられた。春の大会では良かったのですけど、今大会はまだまだコントロールが…。下半身をうまく使えていない」と反省しきりだったが、初戦で調子が万全ではないということもありまずは長いイニングを無事に投げれてホッとしたようだった。
(文=南英博)