Column

重心移動~下半身編~(7)

2012.06.10

久保田正一本気の心技体

『運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、重心移動~下半身編~(7)』

 各地では夏の大会前の前哨戦が繰り広げられていますね。あくまでも前哨戦、結果はどうであれ『過程』をしっかり考えられているかで夏の成果に違いがみられます。勝った、負けた、打った、抑えた、捕った、というレベルではなく、『なぜ?』そうなったのかを考えられる選手になりましょう。それが考えられれば、結果を出せている選手は夏まで持続、もしくは更に良くなるでしょうし、結果を出せていない選手も夏には結果が出るはずです!

 今一度、自分自身の状況を(投・攻・守・走・心・体、その他…)見直しましょう!!!


写真(1) 前傾できていないスクワット

 さて下半身の重心移動におけるエクササイズを紹介します。まずはしっかりと股関節を曲げて重心移動することが重要となります。そこで重要なのが『スクワット』です。しかし正しいスクワットができていない選手が多いこと多いこと…まずは基本的なスクワットを身につけましょう!!!

 間違ったスクワットの姿勢を2つ紹介します。写真①がそうなのですが、チェックポイントは『体が前傾していない』ということです。膝を中心に曲げており、股関節がしっかりと曲げられていません。これでは重心は後ろに残ってしまうため、正しい重心移動は難しくなり股関節を使うことはできません…また膝を中心に曲げますので膝にも負担がかかってしまうのです。

[page_break:猫背になっているスクワット]

猫背になっているスクワット


写真(2) 猫背になっているスクワット

 次に間違ったスクワットですが、写真(2)がそれになります。チェックポイントは『猫背になっている』ということです。これは体を前にやろうとしているのですが、背中を丸めて上半身だけ前にやっているため、これも正しい重心移動でのスクワットになりません。

 骨盤は前に傾いていませんので、やはり股関節はうまく使えません。このやり方だと膝だけ曲がることに加えて腰も曲がっていますから、腰にも負担がかかってしまいます。

 ではどのような姿勢でスクワットするのが理想なのか?それはしっかりと股関節を曲げて体を前傾させるスクワットが理想の形になります。写真③がそのスクワットになります。

[page_break:写真(3) 股関節を曲げて体幹が前傾できている正しいスクワット]

 重心を下げるためには膝を曲げるしかありません。すると膝は構造上前にしか曲がりませんから股関節から下の下半身は前方へ動くことになります。しかしここが前にいくならその上は後ろにいってバランスをとらなければなりません。

 そこでポイントとなるのが股関節です。下半身は前に移動するわけですから骨盤は前に移動してはいけません。後ろに移動してバランスをとります。この状態で股関節を曲げない状態が写真①です。重心が後ろのままになってしまうのです。

 その後ろにある重心を前にやろうとするのですが、股関節を曲げるのではなく、背骨だけを曲げてバランスを取ろうとするのが写真(2) となります。これも見た目は前に重心がいきそうなのですが、土台である骨盤の動きは変わっていませんので正しい重心の位置ではありません…

 そこで写真(3) のように、下半身が前に行くのを股関節を曲げることで後ろにバランスをとり、更に股関節を曲げることで上体を前方へ移動させてバランスをとる、という理想の形が必要になるのです。


写真(3) 股関節を曲げて体幹が前傾できている正しいスクワット

 簡単に言うと、膝が前、股関節が後ろ、上体が前、という各部位が調節をし合っている状態が理想のスクワットなのです。

 皆さんも是非この正しいスクワットをまずは身につけましょう。その後の応用動作につながるスクワットはまた違った形になりますが、まずはしっかりと股関節を使えるかどうか。これがポイントとなります。

 さ~~チャレンジしてみてください!!!

 次回は投球動作に繋がるスクワットについて紹介します。

(文・写真:久保田 正一) 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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