試合レポート

健大高崎vs千葉英和

2011.11.02

健大高崎vs千葉英和 | 高校野球ドットコム

完封した健大高崎三木君

攻守に充実の健大高崎、自信のベスト4進出

この夏に悲願の甲子園初出場を果たした健大高崎。それが、目に見えない自信となっていることは、間違いない。
「自分たちがやってきたことを出すことが出来れば、負けないんだ」という、そんな選手たちの自信に溢れた気持ちが伝わって来そうな、この日の健大高崎の試合運びだった。

エースナンバーを付けた左腕三木君は、7回を内野安打1本のみに抑えるという完封勝利だったが、これで2試合連続のシャットアウトである。もっとも、新チームがスタートした時点では、健大高崎の青栁博文監督も、「他に投手として任せられるものがいなかったから、投げさせていた」という程度で、それほど期待が対価という存在ではなかった。
それが、県大会1回戦の前橋商戦で10四球を与えて、散々の内容ながらも、何とか負け仲去ったことで意識が変わった。

実は、その後エースナンバーを剥奪されていたのだが、三木君自身も「速い球を投げる投手ではなくて、勝てる投手になりたい」という意識の切り替えをして、「勝てる投手になるには、どうしたらいいのか」ということを、コーチらとも試行錯誤しながら、チェンジアップをマスターと、スライダーのキレを磨いた。そして、県大会優勝、堂々の出場となった関東大会でも連続完封である。

攻めても健大高崎は、この大会でも屈指の好投手の一人に挙げられている千葉英和の艫居君に対して、積極的に打っていき、塁に出れば、アウトもOKというくらいの意識で攻めていっていた。その姿勢が、結果として功を奏した。

初回は内野安打で出ていた2番中山君が二塁盗塁失敗して3人で終わったものの、2回、4番内田君が左前打で出塁して牽制球で刺されながらも、連続死四球を得て一二塁とすると、「何かやってくるかもしれない」という意識でバッテリーが探りを入れてきた初球を7番三木君が叩いて、これが右中間を破る三塁打となって2者が帰った。

さらに、続く秋山君の犠飛で1点を加えてこの回3点。3回にも、1死一二塁から4番内田君にあえてバンドエンドランで二三塁として、大澤君の中前打で2者が帰るという、青栁監督としては、読み通りの試合運びとなった。


健大高崎vs千葉英和 | 高校野球ドットコム

好投手の評判高い千葉英和の艫居君

勢いづいた健大高崎は、5回にも長坂君と内田君の連続長打、6回には二塁打の三木君が三塁盗塁を仕掛けると、捕手の悪送球を招いて7点目。まさに、意図したとおりの、快勝という内容だった。

それでも、青栁監督は、「勝っても負けても、2対1かそれくらいのロースコアの試合になると思っていましたから、まったく予想していない展開になりました。艫居君はコントロールのいい投手なので、追い込まれたらだめだと思っていましたから、積極的にインコースの球は開かないで右方向へ持っていくようにということだけを伝えていたのですが、その指示通りに打ってくれました」と、選手たちがベンチの指示に応えてくれたことを喜んだ。

千葉県1位で今大会出場を果たした千葉英和は、好投手艫居君がいるだけに、赴任13年目、監督就任7年目の伊藤修次監督としても、甲子園出場へ千載一遇のチャンスという思いもあったであろうが、来春へのその思いはいささか遠のいてしまったというのは正直なところかもしれない。

それでも、この秋の戦いぶりは、選手たちにとっても確かな自信となったとともに、鮮やかなイエローのユニホームは、多くの関東の高校野球ファンに強く印象付けたことは間違いない。

そのエースで、打者としても5番に入っている大黒柱の艫居君は、「自分の決め球で勝負する前に、どんどん打ってこられました。相手の振りは鋭く、強かったです」と、8安打を浴びたことは、相手の力を認めていた。しかし、この敗戦をバネに、さらに来春以降の成長を期待したい投手である。

(文=手束仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実がコールド勝ち!川内商工は終盤に力尽きる

2024.05.31

夏の愛知大会は6月28日から開幕!決勝戦は7月28日【愛知大会要項】

2024.05.31

【北信越】富山県勢4校が12年ぶりの県勢V狙う、茨木擁する帝京長岡にも注目<地区大会>

2024.05.31

【鹿児島NHK選抜大会】鹿屋農が"強気の勝負"で勝機を引き寄せ4強入り

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.26

【春季関東大会】白鷗大足利が初優勝!最後はタイブレークの末サヨナラ死球で幕切れ!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】実力派監督就任で進化した奈良の名門・天理。超高校級の逸材3人を擁し、緻密な攻守で全国クラスのチームに!

2024.05.26

【近畿大会注目チーム紹介】エース頼み脱却を目指してきた京都国際。「素質はプロ入り左腕と同等」の2年生左腕の台頭と打線強化で京都の大本命に成長!

2024.05.28

交流戦開幕、初戦の注目は髙橋宏斗vs.今井達也の初対決!

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉