帝京vs駿台学園
帝京の4番・渡邊君
旋風巻き起こした駿台学園、ついに力尽きる
この秋季大会、学校としても初の4強進出を果たした駿台学園。その勢いに乗って、強豪帝京に対して、どこまで食い下がるのかという点も注目されたのだが、帝京打線に序盤に掴まって、ついに力尽きた。しかし、その健闘は高く評価されるとともに、21世紀枠の推薦校候補という声も上がってきている。
その駿台学園は初回、振り逃げとバント野選で思わぬ無死一二塁の好機を得て、しっかりバントで送って1死一二塁。先制機を迎えたのだが、あと一本が出なかった。
そしてその裏、帝京は2死走者なしから阿部君、渡邊君、石倉君、高山君の4連打で1点をもぎ取る。さらに、2回には、四球とバント失策の後、1番田中将君が左翼へ3ランで4点をリード。駿台学園としては、自滅気味に好機を与えてしまい、その後に一発という一番いけないパターンで追加点を許してしまった。
エース北川君が帝京相手にどこまで通用するのだろうか、という期待半分と不安半分だった駿台学園サイドだったが、序盤は不安の方が当たってしまった形になった。
それでも、3回以降は北川君も抜き球を巧みに使いながら、帝京打線を抑えていった。
そして、7回には尾形君、松本君の連続二塁打で1点を返して反撃モードになっていったのだが、いくらか遅かった。結果的には、初回に貰った好機を生かせなかったことが、最後まで効いてしまった。
帝京・田中将也君が3ランして、ホームインしてはいタッチ
それにしても、何だかんだ言われつつも、やはり帝京は力強い。
この夏の甲子園では、八幡商にまさかの9回逆転満塁弾を浴びて、2回戦で涙を飲んだが、あれから2ヵ月。
新チームも、当初はいくらか、ちぐはぐだったところもあったようだが、日大三や国士舘といった強豪校がブロック予選で姿を消していく波乱含みの中で、しっかりと決勝進出を果たしたのはさすがといっていい。
しかも、大会序盤では、思わぬ苦戦をして、朋優学院には、中盤に一発を浴びてリードを許すという展開もあった。
それでも、試合をしていきながら、投打にまとまってきたあたりは、帝京選手のポテンシャルの高さといってもいいであろう。準決勝を勝ち上がれば、翌春のセンバツもかなり具体的に見えてくるところでもある。
それだけに、帝京の前田三夫監督も、「秋の大会は、ここが一番硬くなる場面」ということを承知で、3人の投手の中で、エースナンバーを背負っている石倉君に託した。
その石倉君に対しては、「これは、監督としての希望もあるのかなぁ。石倉はもっといけると思っていますから、不満もあるけれど、今日はよく投げたと言っていいんでしょうね」と、語っていたが、振り逃げ二つを含めて15奪三振で5安打1失点は十分の出来といっていいものである。
悲願の決勝進出はならなかった、駿台学園の三角裕監督は、「打順が試合ごとに変わることでもわかるように、まだまだ未完成のチームです。夏休みの練習試合で負け越しているようなチームがここまで来られたのですから…」と、4強という結果に対しては、チームとしての評価をしていた。
そして、北川君に対しては、「こうして、打たれながら、また投球を覚えていってもらえればいいと思っています」と、期待を込めていた。
ひと冬越えた、駿台学園は間違いなく楽しみだ。
(文=手束仁)