Interview

駒澤大学 白崎勇気選手

2011.09.26

第81回 駒澤大学 白崎勇気選手2011年09月28日


 駒大岩見沢高2年の夏に背番号16をつけてベンチ入りを果たすと、その南北海道大会では全試合を1人で投げ抜いた。さらに3年の夏は、今度はエースとしてフル回転。北北海道大会(※)を制し、チームを甲子園に導いた白崎勇気。高校卒業後は、駒大に進学。1年の春から神宮で登板するなど、順調に結果を残し続けた。この春、チームは6季ぶりに一部復帰し、神宮では自己最速148キロをマーク。

「僕は身体能力が低いけど、ピッチングは力だけじゃない。ようはバランスです」と語る白崎。高校・大学と常にチームの柱として、試合に出続けた白崎だが、もちろん彼なりの考え方や工夫がそこに詰まっていた。

(※この年から駒大岩見沢は北北海道に移る)

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【目次】

背番号16、主戦で投げ続けた高2の夏
レギュラーを勝ち取るための白崎勇気投手の考え方とは?

大学に入ってからは体を強く!

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【目次】

背番号16、主戦で投げ続けた高2の夏
レギュラーを勝ち取るための白崎勇気投手の考え方とは?

大学に入ってからは体を強く!

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背番号16、主戦で投げ続けた高2の夏

“ただ「勝ちたい!」「投げたい!」って気持ちだけ”

――昨年の結果だけをみても、春はノーヒットノーラン達成。秋は東都二部の最優秀投手賞に選出されるなど大きな活躍を残していた白崎投手ですが、高校時代はここまでの自身の成長をイメージされていたのでしょうか?

白崎選手(以下「白」) 全くしてませんね。僕は18.44mしか投げられない選手。体のバネもないし、足も遅い。投げることは出来るけど、取ることも、打つことも苦手。それに高校時代も、投手としては、どこにでもいる普通のピッチャーでしたね。中学の時から、周りにすごいピッチャーがいっぱいいて、全然かなわないなって思ってた。だから、今これだけ投げられることが不思議なんですよ、ホント。

――それでも、高校時代も下級生の頃から、試合に出ていましたね。とくに高校2年の夏は、南北海道大会を1人で投げ抜きました。なぜ毎試合、登板できるほどの投手となったのでしょう?

「白」 当時は正直、まだ高校2年生でしたし、先輩投手もいたので、まさかあんなに試合で投げられるとは思ってもなかったので自分でもビックリでした。それでも、1年の秋からずっと全体練習が終わったあとも、毎日自主練をして、試合に出られるように準備はしていました。

  その頃から常に、全体練習よりも自主練習のほうをきつくしようと思って、夜は街の中を50分くらい走って、腹筋・背筋・腕立ても毎日1000回続けたり。寮にいたらから、やることなくて暇だったっていうのもあるんですけど、ただ「勝ちたい!」「投げたい!」って気持ちだけ。負けず嫌いだったんですよね。先輩にも負けたくないって思っていましたから。

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【目次】

背番号16、たった1人で投げ続けた高2の夏
レギュラーを勝ち取るための白崎勇気投手の考え方とは?

大学に入ってからは体を強く!

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レギュラーを勝ち取るための白崎勇気投手の考え方とは?

“まず自分のパワーアップ、スキルアップ”

――秋季大会で勝ち進んでいるチームの選手、すでに来春を目指して切り替えているチームの選手もいると思いますが、そんな全国の高校球児に向けて、白崎投手からこれから「レギュラーを勝ち取るため」に、10月以降の練習の取り組み方のアドバイスをお願いします。

「白」 平等なんて言葉は、野球にはないですから。実力主義の世界でやってるわけなので、レギュラーを勝ち取るためには、自分が上手くなるしかないんです。

 だからこそ、まずは個人能力のアップがレギュラーになるための一番の秘訣だと思います。
誰かにカバーしてもらうとかそんな考え方ではなくて、自分が打てば勝てるとか、自分がゼロに押さえれば勝てるとか、そういう考え方にしたほうが個人の実力は絶対に上がると思います。

 甲子園行くチームは、ここの能力も高くて、それが合わさるから強いと思うんです。いくら、個々の能力が低い中で、まとまろうとしてもそれはやっぱり上では勝てない。だからこそ、「自分が試合を決めてやる」とか、「自分がゼロに抑えてやるんだ」とか、自分ができることの限界値をどんどん高めていったほうがいい。

――それは具体的に、どんな意識で取り組めばいいのでしょう?

「白」 野手であれば、例えば肩が弱いから思いっきって投げるんじゃなくて、確実にアウトとるためにワンバンで投げるとか、それも自分の技術の1つですよね。決して力が弱いから、体力がないから、打球が飛ばせないから、自分はダメだというのではなくて、自分にできることを増やしていく。

 ピッチャーなら、真っ直ぐで140超えないならコントロール磨くとか。緩急をつけるために変化球を覚えるだとか。バッターを打ちとる方法はいくらでもある。
バッターも、どんな状況でも自分のスイングができるとか、相手投手にインコースを投げにくくさせるとか、ピッチャーを苦しめる方法が色んなところにあると思います。

 バントのスペシャリストでもいい。何か1つ自分に自信が持てる選手になるために、練習に取り組んでみてはどうでしょうか。1つといわず、2つ3つ多ければ多いほどいいと思うので、まず、秋が終わってから、自分の脳力を高めようとする。この時期はチームプレーどうこうじゃなくて、まず自分のパワーアップ、スキルアップを目指してみるのがいいと思います!

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【目次】

背番号16、たった1人で投げ続けた高2の夏
レギュラーを勝ち取るための白崎勇気投手の考え方とは?

大学に入ってからは体を強く!

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大学に入ってからは体を強く!

“自分の意思通りに体がぜんぶ動かせるように”

――駒澤大に入ってから、新たに取り組んだことはありますか?

「白」 体を強くするっていうのを大学1年の秋が終わってからやりはじめました。2年生で抑えで登板して結果を出すうちに、ピッチャーとしてのある程度の自信もついてきて、体と心のバランスが合っていったので、調子もよかったですね。
 高校時代は、そこまで体を意識したことはなくて、ランニングは大事だと分かっていたけど、ウエイトは高校ではやってなかったんです。体重も高校時代は67~68キロ程度でしたね。

――筋力をつけることでピッチング面で変化したことは?

「白」 体のバランスがあがりました。例えば、腹筋をつけることによって体がそらなくなるし、腕をたたむとかそういう動作も筋肉がないとそこに伝わらない。普段からトレーニングしてるから、筋肉を意識してるから自分が動いてほしいときに動いてくれる。
自分が思ったところに腕が出るとか、思ったところに足が出せるとか、自分の意思通りに体がぜんぶ動かせるようになったら、バランスがとれて投げられているんで、無駄な力なしに投げられるんですよね。これは、トレーニングして初めて気付きましたね。

――投球時のバランスを大事にされている白崎投手ですが、グラブもバランスを取りやすくするために何かこだわりはありますか?

「白」 グラブは、小さくて軽いものを選んでいます。今はミズノのグラブを使っていますね。やっぱり、小さくて軽いほうが、自分が思ったところに壁を作りやすくなるので。

――他にもグラブの型付けやメンテンスなどでも、何かこだわりはあるのでしょうか?

「白」 そうですね。僕は新しいグラブは、投げながら握って型を付けています。そのほうが、僕のフォームの握りのまま型がつくので、一番握りやすい形になるんですよね。その型をみて、よく仲間からは「お前、メジャーリーガーみたいだな」って言われるけど、それが僕の形なんです。

――では最後に白崎投手はこれからも上の世界で、野球を続けていくかと思いますが、今後のピッチャーとしての意気込みを教えてください。

「白」 やっぱり真っ直ぐで空振り取れるピッチャーになりたいです!野球は楽しい部分もあるけど、きつい面もある。これからは生活もかかってくるんで、しっかりと結果を残していきたいです。

(インタビュー&構成:安田未由)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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