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運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、真っ直ぐ立つ(1)

2011.08.10

久保田正一本気の心技体

運動学・解剖学的観点から考えた投球フォーム、真っ直ぐ立つ(1)2011年08月10日

 今回からは私が専門とさせて頂いております投球動作のメカニズムに関して説明させて頂きます。

 そこで重要なのは、投球動作のメカニズムを説明していく『目的』です。それは『自分自身を知る』ということです。私は『このような投げ方で投げなさい』というようなことは言いません。人間の体、解剖学、運動学的観点から考えた原理原則、守らなければならないところは指摘しますが、それ以外には非常に幅があるのです。ですから指導しても同じフォームになることなんかありません。よくこう言われる方がおられます。『フォームを指導すると同じフォームになってしまうから指導しない』と…それは押し付けたフォームをしているからですよね。

 ですから自分がどのようなフォームで投げているのか、まずはしっかり把握しましょう。そして自分はどのようなフォームで投げると自分の投球の『目的』が達成できるのか?最終的に決めるのは選手自身、あなたなのです。

 ではまずは真っ直ぐ立つことから始めましょう。

 投球の際には必ず片方の足を上げて軸足に体重をかけると思います。右投げであれば左足を、左投げであれば右足を上げますね。投手であればこの時に何と言われたことがありますか!?

“ヒザを高く上げすぎなケース”

 『膝を高く上げろって言われたことがあります』

 という選手が多いのです…皆さんも言われたことがありませんか?

 そのような選手はどのような立ち方になり易いのか?それは写真のように体が後ろに傾いたような姿勢となり易いのです。または後ろに倒れないように猫背になる選手もいます。

 そもそもなぜ膝を高く上げないといけないのか?一般的に言われているのは『位置エネルギーを利用して投げるから』です。

  『位置エネルギー』とは、高さを利用するエネルギーのことで、重力がある地球上であれば、高くなればなるほど下がったときのエネルギーが大きくなるんです。

 しかし、実際の投球で本当に『位置エネルギー』を利用して投げている選手はほとんどいません。高く膝を上げてもその高さを利用して重心移動をすることは非常に難しい動作となり、ほとんどの選手ができていないのです。

 膝を高く上げたとしても、その後に下ろしてから前方へ重心移動する場合がほとんどです。もしくは後に説明しますが、重心が高いまま前方へ早く重心を移動してしまう場合もあるのです。

 だから膝の高さは高く上げることが目的ではなく、いかに軸がブレることなく真っ直ぐ立つことができるかが大事なのです。


 ではどのくらいの高さまで上げればいいのか?これは選手によって違うのです。自分がどれくらいの膝の高さを上げればいいのか?これはしっかりと知っておかなければなりません。自分自身を知る。目的ですね!

 皆さん骨盤は分かりますか?腰に手を当てたときに出っ張っている骨がありますよね?これが骨盤です。その骨盤の前方を人差し指で、後方を親指で挟むように把持して下さい。これをしっかりと触りながら膝を上げていきます。

 そうするとあるポイントから骨盤が後ろに傾くポイントがあります。後ろに傾くとは、親指側よりも人差し指側が高くなってくる状態のことです。この骨盤が後ろに傾く動きがでてしまうと、先ほど指摘した、体が後ろに傾くか、猫背になってしまいます。

 ですから膝を上げる高さがこの骨盤が後ろに傾かないところまでなのです。

 皆さん分かりました?自分自身がどれくらいまで膝を上げるべきか?

 『え~~これくらいしか上げられない~~』と思っている選手がいるかもしれません…しかし現実はそうなのです!それ以上上げると体の軸は崩れ、真っ直ぐ立つことができず、その後のスムースな重心移動ができないのです。

 しかし中にはいるでしょう…『もっと高く膝を上げて投げたい!』その気持ちは間違いではないのです。感覚、気持ち、想いは非常に重要です。

 ではもっと高く上げるためには何をしなければならないのか?これを次回説明させて頂きます。それまではチェックした高さで練習して下さいね!!!

真っ直ぐ立つときの注意点
・膝は高く上げればいいわけではない。
・自分がどれくらい膝を上げればいいか知ろう!!!

 さ~~夏の高校野球シーズン開幕!!!毎日球場へ向かいます!!!焼けるぞ!!!

(文・久保田 正一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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