試合レポート

倉敷商vs作陽

2011.06.06

倉敷商vs作陽 | 高校野球ドットコム

川井雄貴(倉敷商)

夏に向けて

“夏に向けて”

当たり前のことであるが、この時期になると、どのチームからもよく聞かれる言葉である。

夏の岡山大会を3連覇、今夏は史上初の4連覇に挑む倉敷商は、毎年、夏に向けてチームをきっちりと仕上げてくるのはなぜだろうか。

昨秋は岡山県大会1回戦で創志学園に、今春は準決勝で作陽、3位決定戦で岡山学芸館に敗れるなど今チームは主要な県大会で決勝進出を逃している。そんな倉敷商が、今春の中国大会準決勝という舞台で作陽相手に7回コールドでリベンジを果たした。

初回、主砲・川合祐太朗の鮮やかなタイムリースリーベースで倉敷商が先制するなど序盤、中盤、終盤と終始、得点を積み重ね、終わってみれば長打6本を含む計12安打、9得点。]

投げてはエース・川井雄貴、左腕・笠原浩平のリレーで前日、センバツ出場の総合技術から二ケタ安打を放った作陽打線を3安打に抑えた。

「初球からストライクが取れてリズムがよかった」というエース・川井は、前日の石見智翠館戦(2011年06月04日)で6回途中降板し、被安打8の自責点6という満足できない内容であった。だが、公式戦初の2連投というこの日は、別人のようなピッチングをみせた。

「前に突っ込んでいた投球フォームをきっちりと修正した」というだけあってバランスの取れたフォームからストレートとスライダーが面白いように決まり、5回を投げ1安打しか許さなかった。


倉敷商vs作陽 | 高校野球ドットコム

笠原(倉敷商)

新チーム結成後、昨秋に創志学園に負けた悔しさはもちろんのこと、今春の九州遠征で延岡学園柳ヶ浦熊本国府専大玉名ら九州の強豪校と8試合戦って1勝6敗1引き分け。負け続けたことで何かキッカケを掴んでいた。

「九州のチームは1球目からでも積極的にどんどん振ってくる。とことん打たれましたね」(倉敷商・森光淳郎監督)

そんな経験からも「積極的に打つということ」を春からのテーマとし、お家芸の送りバントやスクイズもそうだが、夏に勝ち上がるためには、攻めのバリエーションを増やし、どんな場面にも対応できる能力を上げることを徹底的にやってきた。

さらに今大会が終わってからも夏に向けてチームをさらに仕上げるという意味で毎年恒例の合宿を行う予定だ。

練習方法は基本的に変えていない中で、どんな環境にも対応できるバリエーションの形成、そしてそれを集中して仕上げていくこと。それが倉敷商にとって、夏に向けて取り組んでいることである。

毎年、夏に近づくにつれ、右肩上がりの成長曲線を描いている倉敷商。それは日々の練習はもちろんのこと、実戦の中でも一試合、一試合をいかに噛みしめているかということではないか。
今夏、岡山大会4連覇に挑むためにも明日の決勝戦、しっかりと噛みしめて戦うつもりだ。

(文=アストロ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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