市立川越vs大宮西
綿貫(市立川越)
7安打vs14安打勝ったのは?
チーム7安打vsチーム14安打であれば普通14本のチームが有利に試合を運ぶはずである。だが、結果は違った。
これが野球の単純にはいかない難しい所であろう。とにかく市立川越の試合巧者ぶりが目立った試合だった。市立川越はヒットがことごとく得点に結びつく。
大宮西の先発はエース安本だ。右サイドから勢いのある直球にスライダーとシンカーをコーナーにテンポ良く投げ分ける。だが、時折コースが甘くなる球を市立川越打線は見逃さない。1回表も簡単に2者が凡退するが3番冨岡がフォアボールで出塁すると、4番早川は甘い球を見逃さず左中間にタイムリー3ベースを放ち市立川越が先制する。
一方、市立川越の先発はこの日もエースの左腕大岩根ではなく右腕の綿貫だ。どうやらベンチは今大会綿貫を一本立ちさせることに重きを置いているようだ。本来綿貫はやや太めの体格を活かした重そうな直球にスライダーと落ちる球が武器の投手なのだが、好調な大宮西打線は振り負けない。1回裏に3安打を浴びせすぐさま同点とする。
2回も市立川越がこの回先頭の畑野の3塁打をきっかけに2点を奪えば、大宮西も大志田のタイムリーで1点を返す。その後、チャンスを広げ2死1,2塁で3番関根が左中間へ大飛球を放つが市立川越外野陣のファインプレーに阻まれ追加点は奪えない。
3回以降は両投手のがんばりもありゲームが落ち着く。
その後、両チーム1点づつ加え4-3と市立川越の1点リードで迎えた7回裏、大宮西が勝負をかける。2死2,3塁でエースの安本に代え代打斎藤を送る。斎藤は3球目をジャストミートしたが打球はショート正面のゴロで大宮西はチャンスを物にできない。
草薙(大宮西)
一方の市立川越は8回表、この回からマウンドに上がった左腕草薙の不安定な立ち上がりに乗じ、先頭の野瀬がフォアボールを選ぶと次の冨岡の送りバントを大宮西・キャッチャー黒田が微妙なタイミングの2塁に投げてしまう。これが悪送球となり結果はオールセーフで無死1,2塁となる。ここでベンチは4番の早川に送りバントのサインを出す。早川はきっちりバントを決めると大宮西バッテリーは次の今村を敬遠気味のフォアボールで歩かせ、1死満塁で6番畑野との勝負を選択する。畑野はカーブにタイミングがまったく合わずあっさりと追い込まれるが、勝負球のカーブが甘く入った所を見逃さず強振した打球はセンターの頭を越えるタイムリーヒットでついに市立川越が5-4と勝ち越す。次の江原もセンター前2点タイムリーヒットで続き、この回2本のヒットで3点を奪い勝負を決めた。
結局、9回裏の大宮西の猛反撃をショートゴロの間の1点に抑えた市立川越が7-4で勝利した。
この日の綿貫は14安打を浴びたのは反省材料だが、すべて単打に留めとにかくよく粘った。そして、市立川越打線は7安打で7点と非常に効率が良い。チャンスを確実に物にしている証拠であろう。あとは、現在は調子を崩しているのかスタメンを外れているが秋4番を打っていた丹羽待ちか。
7安打vs14安打の対決は7安打の市立川越が勝利した。
(文=南 英博)