大宮東vs立教新座
福田(大宮東)
災い転じて…
少しづつではあるが大宮東の伝統である強打が復活しつつある。この試合を見た方はそんな印象を受けたのではなかろうか。
私は秋の時点で大宮東の強化ポイントが4番高山に続く存在だと指摘した。
実際に公式戦で4番が健在ならば、もちろん出場しどうしても結果を期待するのでそんな選手を育てるのは難しい。だが、その4番高山が怪我から調子を落とし、監督と話し合った結果、高山は今大会は治療に専念することとなりメンバーから外れてしまう。本来ならば夏に向けてやや不安な状況だが、幸か不幸かこのことがきっかけとなり打線一人一人に自覚が産まれ、全員で点を取ろうという意識が高まり事態は好転しているようにみえる。
もちろん、そのためにはチーム全体の攻撃力を強化することが大前提である。大宮東・吉本監督はそんなことは百も承知であり、
「まずは体力作りと振り込みを徹底させた。甲子園に行くには打ち勝たないと勝ち進めない。そのためにもっと攻撃力を高めないと。
段階を踏んで食生活から見直すよう保護者に協力を求め、合宿では選手に食事をたくさん食べれるように意識付けさせた。そして、それを継続するようにプランを立てて体を作りながらトレーナーの方と相談しウエイトや体幹を鍛えるトレーニングをしたり、実際にバットを振ることを1年を通じて積み重ねてやってきた」
と冬場に選手たちを徹底的に鍛え上げた。
今川(大宮東)
その成果が1-0と大宮東1点リードで迎えた6回に形となって表れる。それまで攻めあぐんでいた立教新座のエース小寺に対し、2番中田、3番今川、そして、高山に代わり4番に座る福田が3長短打を浴びせKOすると、代わった2番手・藤本に対しても5番松本がライト前タイムリーで続き3-0とする。なかなか打線がつながらなかった秋が嘘のようだ。
これで流れを一気に大宮東に呼び寄せるとその後継投のタイミングもズバリ当たり、吉嶺、佐藤のリレーで失点はエラーによる1点のみと最小失点に抑えた。
特にこの日先発の左腕吉嶺は秋の頃と違いテンポが見違えるように良くなった。やや飛ばし過ぎたか6回に捕まったが、あのテンポなら野手も守備、攻撃のリズムを作りやすいはずだ。
一方の立教新座はややアンラッキーな部分もあったが、チャンスを作りながらとにかく打線が最後までつながらなかった。9回裏の攻撃などはその典型であろう。無死1,2塁と大宮東・2番手佐藤を攻め立てるが続く山本の打球はいい当たりながら1塁正面のライナーで併殺となってしまう。結局、打線のつながりがこの試合の勝敗を分け4-1で大宮東が勝利を収めた。
高山はほぼ怪我は完治し既に普通に練習にも参加しているそうだが、うかうかしてはいられないであろう。それほど大宮東の上位打線は充実している。4番不在ながらも一冬越え力強さを増した大宮東打線は果たして本物か?次戦秋のベスト4進出チームである浦和実業戦で真価が問われる。
(文=南 英博)