Column

済美高等学校 / 県立松山北高等学校(愛媛)

2010.07.07

「野球部訪問」

第6回 済美高等学校 / 県立松山北高等学校 
2010年07月07日

加盟校4132校。
全国の高野連の加盟校数である。(2009年5月時点)
様々な環境の下、全国でこれだけの高校で球児達が毎日白球を追いかけている。
今月から新企画・「野球部訪問」は、全国津々浦々、様々な野球部を訪問。
頑張っている球児や指導者の高校野球への取り組みを紹介していく。
第6回は愛媛の済美高等学校と県立松山北の3年生送別試合をレポートします。

ここも「僕らが輝く舞台」

元気一杯の済美3年生たち

夕闇迫る坊ちゃんスタジアムのカクテル光線に照らされ、ホームベース前に集合した済美、松山北の選手たち。そして背中には真新しい背番号も付けられている。

ただしこれは公式戦でも、夏の大会を目前にした練習試合ではない。試合に出場したのは「高校で野球は終わりかもしれないので、思い切って投げた」済美・石井裕介をはじめとする主力選手ではない3年生がほとんど。すなわちこのゲームは「3年生送別試合」と銘打たれた両校にとって特別な試合である。

中京大中京大府が3年生の送別試合をやっているという話を聞いて感銘を受けた」済美・上甲正典監督が済美同様に多くの野球部員を擁し、野澤善浩校長の出身校という縁もある松山北に声をかけてスタートしたのが昨年。今年はマドンナスタジアムから愛媛県高校野球の殿堂である[stadium]坊ちゃんスタジアム[/stadium]に場所を移し、「3年間高校野球でやったことは人生の中で糧になる。今日は補欠であろうと選手であろうと一丸となってやれた」と上甲監督も語ったように、3年生主力選手と1・2年生によるスタンドから送る声援の中、両校の選手たちは公式戦さながらのハッスルプレーを見せていた。

岩城慎也(3年)を出迎える松山北・井上伸二監督

また試合の中ではこんな感動的なシーンも。3回表・松山北の攻撃。平凡なファーストゴロにも果敢にヘッドスライディングする執念を示した先頭バッターの岩城慎也(3年)に、ベンチで出迎えた井上伸二監督は声をかけ、ヘルメットを優しく撫でる。そして岩城は監督のユニフォームを支えに肩を震わせて泣いていた…。

井上監督は試合後、声をかけた理由をこう語ってくれた。「岩城は野球が決してうまくないが、勉強をしっかりやりながら続けて野球をやってきてくれた子です。そしてやってきたものを今日表現してくれた。あれはおじいちゃんになっても孫に語れるヘッドスライディングになります」。

そう、ここも「僕らが輝く舞台」。夏の大会ではそれぞれの場所で闘うことになる彼らであるが、この日は間違いなく一人ひとりが一番の主役であった。

【結果】
済美 10-3 松山北

【バッテリー】
松山北:森田康平‐大北雅史
済美:石井裕介、泉井康佑-廣瀬翔人、福泉誠人

【関連記事】
もう一つの甲子園」(人間力×高校野球)

このページのトップへ


この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.15

獨協大の新入生に専大松戸の強打の捕手、常総学院のサード、市立船橋のトップバッターが加入! 早くもリーグ戦で活躍中!

2024.05.15

【島根】出雲商-三刀屋、大田-益田東など初戦から好カード<地区大会組み合わせ>

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?