第1回WBC胴上げ投手・大塚晶文氏と埼玉西武3位の伊藤翔の知られざる関係性。そして伊藤へ熱いエール!
大塚晶文氏は伊藤の成長をどう見たのか?
伊藤-翔(徳島インディゴソックス・投手)と大塚晶文氏のツーショット
12月3日、埼玉西武ライオンズ3位の横芝敬愛 伊藤翔(徳島インディゴソックス)が成田市内で開催された埼玉西武ライオンズの入団激励会に参加した。この激励会は伊藤の母校である横芝敬愛野球部創立50周年式典と兼ねて開催され、プロ入りした高木晃次氏(元千葉ロッテ、千葉ロッテスコアラー)、小林茂生氏(元千葉ロッテ、千葉ロッテスコアラー)、大塚晶文氏(中日ドラゴンズなど日米通算176セーブ、現・中日ドラゴンズ派遣コーチ兼スカウト)の3人も出席。大塚氏はアメリカ・サンディエゴから駆けつけ、この激励会に参加した。
式中では、OB会長、横芝光町の佐藤晴彦町長、徳島インディゴソックスの球団代表の南啓介氏がそれぞれ伊藤へエール。そして伊藤は参加者へ感謝の言葉とこれからの決意を述べた。
「横芝敬愛を卒業した後、徳島インディゴソックスで1年間プレーしました。高校時代はチームに迷惑をかけてばかりでした。その中で、もう1回プロを目指す希望を与えてくれた伊藤匠監督、糸賀部長には感謝しています。また、徳島にいくとき、両親、学校の先生、OBの方々、チームメイト、後輩から頑張れの声援が、今回のドラフトの結果につながったと思っています。やっとプロというスタートラインに立ちました。満足することなく、まずは開幕一軍。3年後の東京五輪、そしてWBCの代表選手になれるよう頑張っていきたいとと思います。応援よろしくお願いします」
と挨拶を終えると、場内から温かい拍手が送られた。
この姿を見て、大塚氏は伊藤の高校時代を思い返しながら、「本当に立派に成長しましたね」とここまでの成長を称えた。大塚氏にとって、伊藤はただの高校の後輩ではない。伊藤の父(篤志さん)は横芝敬愛出身で、1学年下で、大塚氏からすれば、後輩の息子という目で伊藤を見ていた。だからこそ特別な思いがある。伊藤の高校時代について大塚氏は、
「翔の高校時代はネット裏越しから見ていたのですが、当時から素晴らしく、直すところがほとんどないという印象を持っていました。そして西武入りが決まって映像を見たら、速球、コントロール、変化球の切れも見違えるほど成長をしていて、完成されている印象を受けました。
私もBC信濃と独立で監督をやっていましたから、その厳しさは分かっています。そういう厳しさに揉まれながらやってきたからこそ、技術的にも、人間的にも成長したのでしょう」と伊藤の成長に目を細める大塚氏。そしてプロの先輩として伊藤へこうエールを送った。
「感じることですね。人によってプロの世界で感じることは様々。彼もいろいろ何かを感じることあると思います。その感じたことを大事にして、自分のレベルアップにつなげてほしい。直近の課題になれば、キャンプへ向けてしっかりと体を作って万全の状態でキャンプインしてほしいと思います」
伊藤は2日後の5日に新人選手の顔合わせを行う。伊藤は1年目の抱負として、「開幕一軍。役割は先発をずっとやってきましたので、先発に入ることが理想ですが、与えられたポジションを全力にこなしていきたい」と今後の意気込みを語った。
これまで全力でバックアップしてきた横芝敬愛硬式野球部、OB会、学校、そして横芝光町。そして自分の夢であるプロ野球選手を実現した徳島球団の想いを胸に1年目から飛躍を誓う。
伊藤の姿を見て刺激を受けた2人の男たち
違う舞台でも、ともに活躍を誓った鎌田未津希投手と伊藤翔投手
式中、横芝敬愛 伊藤翔の姿を目の当たりにして、刺激を受けたのが、今年、徳島インディゴソックス入りする鎌田 光津希(2014年卒)だ。鎌田は2013年、横芝敬愛のエースとして活躍後、敬愛大へ進み、今年のリーグ戦で最速149キロを計測。また、関東開催トライアウトでは140キロ後半の速球を投げ込み、トライアウト参加者、IBLJ関係者を驚かせた逸材である。鎌田は伊藤にとって3学年上先輩にあたり、「光津希さんの夏のピッチングを見て、横芝敬愛に決めました」と憧れの先輩でもある。
伊藤翔ら49期生で集合写真
その後、鎌田が母校の練習に参加する時も伊藤にアドバイスしながら、切磋琢磨してきた。鎌田は「今までは教える立場でしたが、今ではすっかりと教えられる立場になってしましたね(笑)ぜひ西武では、テレビで翔のピッチングがみられることを期待しています」とエールを送れば、伊藤も「光津希さんは高校からでもいける凄い先輩だったと思いますし、もっとすごくなってくれると思います。ぜひ将来は味方でも、敵でも光津希さんと一緒にプロの世界で戦えればと思います」と将来、プロの世界で戦うことを期待した。鎌田は来年へ向けてフォーム修正中。高校時代のフォームに戻し、ストレートのボリュームアップを図っている。
鎌田だけではなく、伊藤の高校時代の同期である後遠田 駿弥(日大国際関係学部)も刺激を受けた1人。伊藤とは仲が良く、「去年秋では、翔と進路の相談の話し合いをしていました。今、翔はあんなにすごくなって憧れますよね…。自分も翔と同じ舞台に立てるよう頑張っていきたい」と決意を新たにした。サイドスローの後遠田のモデルは岐阜経済大から伊藤と同じく埼玉西武入りした與座海人投手。與座のような打ちにくい投手を目指している。
こうして50年という節目で開催された横芝敬愛野球部の記念式典。現役でプレーを続けるOBにとっては、自分のモチベーションを高め、目標を再確認する場所となっていた。
(文・河嶋 宗一)
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