北海道日本ハムファイターズ 大谷 翔平投手(花巻東高出身)【後編】「世界トップレベルの選手へ、一歩ずつ近づきたい」
後編では、大谷 翔平選手の代名詞である「二刀流」についてどんな考えを持っているかを聞き出し、そして自身が使うグラブ、バットに深いこだわりを持ったコメント、そして2015年の目標を語っていただきました。
投打の二刀流は自分にとっては当たり前
大谷 翔平投手(北海道日本ハムファイターズ)
スピードボールとともに大谷の代名詞になっているのが、投げて打っての二刀流だ。
傍からするとよくぞ両方も…となるが、大谷からすると「それが自分にとっては当たり前と思っています」とのことだ。
「野球を始めてから、どちらか1つに絞ったことはないですし、僕にとっては両方やるのが普通なんです。高校時代も、単純に野手と投手の練習をやっていて、野手が振り込みならそちらに入り、終わったらブルペンへというのが、日常の練習スタイルでした。どちらかに重きを置いたとか、そういうのもなかったですね」
それにしても…である。昨シーズンは外野手として先発し、試合の終盤からマウンドへ、ということもあった。そうした中、頭の切り替えはどのようにしているのだろう?そう訊ねると、大谷はあっさりとこう言った。
「特にしないですね」
そして「マウンドに立てば投手の気持ちになりますし、打席に立てば打者の気持ちになります」と続けた。
「投げるのも打つのも仕事というよりは、単純に両方とも面白いと思ってやっているだけで、どちらがどうというのは全然ない」という。
「そもそも野球を仕事という意識でやってないですしね」
どうやら深く考えているのは、周囲だけのようだ。
もっとも投手の経験が野手に、野手の経験が投手に生きている部分はあるという。
「野手の方が戦術面をより理解しているところがあるので、それが投手で生かされていますし、投手をしているので、打者になった時に配球を読めたりもします。もっとも、両方やっている大きなアドバンテージは、それぞれの気持ちがわかることでしょうか。精神的な部分ですね」
また、投手として出場しても、野手として出場しても、その日の試合の課題は「その日のうちに消化するようにしている」という。
「今日はこれが良かった、あれが悪かったと書きながら、頭の中を整理しています。僕はシーズン中でも投球フォームを変えるので、その日の感覚も書いて残しておきたいと。僕は高校時代も野球日誌をつけていて、迷った時は過去の日誌を振り返ることもありました」
グラブでもバットでもギアにはバランスを求める
大谷が使用しているグラブは、アシックス製だ。「自分のイメージ通りのグラブを作ってもらっています」とアシックスの技術に全幅の信頼を置いている。
グラブに求めるのは「投げる時にしっくりくるバランスとサイズです」とのこと。そしてこだわっているのは「ウェブと革質」だというが、指カバーにもこだわりをみせる。
「練習では指カバーのないグラブを使っていますが、試合用は指カバーがあるグラブを使っています。打席からは投手のグラブから出した人差し指の動きがよくわかるので」
ところで、現在使用しているグラブは、特にどこが気に入っているのだろう?
「スエード生地の革質でしょうか。軽いし、手入れもしやすいですからね」
大谷は青色が好きで、入団以来、青系のグラブを使っている。しかし、来る15年シーズンは「違うカラーにしようかと。そんなことも考えています」
もしかしたら、他の色のグラブを付けた大谷が見られるかもしれない。
また、バットもアシックス製を使用している。昨年限りで引退した稲葉 篤紀(元北海道日本ハム)(2013年インタビュー【前編】【後編】)と巨人の坂本 勇人(2013年インタビュー)のモデルをベースに作った“大谷オリジナル”だ。
「重さは908グラム。プロでは軽い方だと思います。(大谷がバットを持つと短く見えるが)長さは普通で、ミドルバランスです。僕はバンバン飛ばす長距離砲ではないので。あとグリップエンドは少し薄くして、指がかかるようにしています。そのため、他の人が握るとトップバランスに感じるかもしれません」
バットを選ぶ際もグラブ同様に、バランスがしっくりくるかどうかをポイントにしているのだ。
大谷 翔平投手(北海道日本ハムファイターズ)
大谷の非凡さを感じたのは「木製バットにはすぐに対応できましたか?」と質問した時だ。大谷からは、こんな答えが返ってきた。
「僕は金属と木製の違いを感じませんでした。バットはバットだろうと。あまり深く考える必要もないかと。木製でも芯に当たれば、金属と飛距離は変わりませんしね」
そのパフォーマンスを引き出すギアにも注目だ。
インタビューの終わりに、来る3年目のシーズンの目標と、将来の目標を披露してもらった。
「今年の目標は優勝です。みんなそうでしょうが、まずは優勝が目標です。そのために個々に課せられる数字があるのだと思ってます。僕自身は、優勝するためには、10勝から15勝はしなければ。とにかくオフに1年間しっかりやれる体を作って、1年通して1軍で活躍したいです。将来の目標は…これはあくまで1年1年の積み重ねなので。僕は(高校を卒業してすぐに)メジャーに行きたかったので、世界的なレベルの選手になりたい思いは持っていますが、1年1年頑張って、それに近づければと思っています」
インタビューで一番印象に残ったのが、「野球は今も仕事という意識でやっていない」という言葉でした。もしかしたら、野球少年の心のままで取り組んでいるから、高いレベルでの投打の二刀流が実現できるのかもしれません。大谷選手、多忙なオフの中、ありがとうございました。次のページでは、大谷選手の「こだわり」をたっぷりと紹介します!
(インタビュー・上原 伸一)
[page_break: 大谷 翔平のこだわり]【大谷翔平のこだわり】
大谷 翔平選手のインタビュー、いかがでしたでしょうか。高卒3年目の選手とは思えないほどの自覚、意識の高さを感じられたと思います。最後に、大谷選手がこだわりとするポイントをまとめました。大谷ファンの皆様、必見です!