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第95回全国高等学校野球選手権沖縄県大会ベスト4の力を探る(下)

2013.07.18

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第95回全国高等学校野球選手権沖縄県大会ベスト4の力を探る(下) | 高校野球ドットコム
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第95回全国高等学校野球選手権沖縄県大会ベスト4の力を探る

Cブロック 真和志
Dブロック 沖縄尚学

第95回全国高等学校野球選手権沖縄県大会は、いよいよ今週末にベスト4が激突、その翌日には県代表が決まる。選抜出場校である沖縄尚学を筆頭に、4強のこれまでの戦い振りと、準決勝の展望を見て行こう。

真和志高等学校

 
1970年の全国選抜高等学校野球大会に出場した真和志だが、それ以降は決勝戦進出さえままならない状態が続いた。

その不名誉な記録をストップさせたのが譜久村誠悟ら現メンバー。去った春季県大会で決勝進出を果たし、この夏も順当に勝ち上がり1969年(準決勝 : 真和志2-3小禄)以来となる44年振り2度目のベスト4へ進出した。

春の大会を終えて目標である甲子園出場へさらに前進する!そんな彼らに手を差し伸べたのが、2007年の夏準決勝で甲子園出場を果たすこととなる興南を相手に0-1(サヨナラ)で善戦、2010年春季県大会では準優勝、チャレンジマッチでその年の選抜優勝の興南を下して第一シードを勝ち得るなど、その手腕に定評ある前小禄監督の高良雅秀氏だ。

新監督とともに突き進むナインが、秋の九州王者へ真っ向から挑む!

BIG3の筆頭格!ミスターゼロ譜久村誠悟

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▲譜久村誠悟(真和志)

中学ボーイズリーグで九州を制した多くの仲間たちと共に真和志へ進学した譜久村誠悟。入学直後の1年生夏からレギュラーとして試合経験を踏み、いきなりベスト8進出。直後の新人中央大会でも4位に入り、2年生となった新人中央大会でもチームを4位に導くなど、この年代の旗手として常に光を浴びてきた。それを周囲に強烈に知らしめたのが去った春季県大会だ。

決勝までの6試合に登板し、51回1/3イニングを投げ防御率は圧巻の0.53。3試合連続完封を記録したミスターゼロは、この夏も健在。準々決勝の南風原戦で初回に失点し連続イニング無失点こそ21で途切れたが、3回戦からの連投となり疲れが出てくる終盤5回〜8回全てを三者凡退に斬るなど、2回以降をゼロに抑えて44年振りの4強へコマを進めた。

ここまで全てのイニングに登板し防御率は春と殆ど変わらない0.50。さらに被打率(春.152→夏.141)、奪三振率(5.09→5.50)、与四死球率(0.70→1.00)の部門でもほぼ同じ数値を残している。暑さやプレッシャーなど全く違う夏ということを考えれば考えるほど、譜久村の凄味が伝わるだろう。

打率.389、6打点と孤軍奮闘の呉屋正之助

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▲攻撃陣はだれがキーマンになるか!?

その潜在力は誰もが認める強力打線の真和志。だがこの夏は全く歯車が合わないままでもある。チーム打率は4強中一番下の.266。レギュラー9人中、3割以上を記録しているのは僅か3人のみ。

その中でも存在感を見せているのが3番に座る呉屋正之助(3年生)だ。4試合連続安打を続け、二回戦からの3試合全てで2安打をマークするなど打率.389、打点は6を数え、チームの全得点の約35%を一人で叩き出している。

4番砂邊大州は打率.273だが、続く譜久村が.214、かつて4番を務めた古謝佑弥に至っては11打数ノーヒットと打線が途切れてしまいがちだ。とはいえ譜久村は南風原戦で1-1の同点から2点タイムリーを放っているし、古謝にしてもこれ以上は悪くならないだろう。沖縄尚学戦へ向けて気持ちを切り替えて望めば良い結果が出る場合もある。

どうしてもマークされる呉屋の後に続くこの3人が試合のキーマンとなるだろう。

真和志
1回戦 真和志 4-1 久米島
2回戦 真和志 3-0 普天間
3回戦 真和志 7-0 沖縄水産
準々決勝 真和志 3-1 南風原
4試合17得点2失点
平均得点4.25平均失点0.50
チーム打率.266
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沖縄尚学高等学校

1999年に沖縄県初めてとなる甲子園での優勝をもたらした名門沖縄尚学。2008年の選抜でも頂点を極め、選手と監督で全国制覇を成し遂げた比嘉公也監督が、全幅の信頼を寄せる諸見里匠を中心とした現チームは、昨年秋の九州大会で同校初の優勝を成し遂げ5年振りの聖地帰還を果たした。f
だがその1回戦で敦賀気比の前に惨敗を喫したばかりでなく、夏の第一シードを決定するチャレンジマッチでも北山に敗れてしまったことで、どこが勝つか分からないという言葉が交わされるようになった。

九州王者に輝いた状態に戻りつつある比嘉健一朗

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▲比嘉健一朗(沖縄尚学)

決して速くはない。試合中でも130kmを越えてくるのは稀で、ストレートは常時125km後半だ。それでも球持ちの良さとノビのある球で打者のバットを詰まらせてしまう。それが秋の比嘉健一朗だった。
ところが、ひと冬越して球速はやや伸びたかも知れないが、生命線だった打者の膝頭にコントロールされていた抜群の制球力が影を潜め、ベルト付近に浮いてきた結果打たれる姿が目につくようになってしまう。だが夏の直前、腐らずフォームチェックを繰り返していた健一朗は、秋の良いときの状態を取り戻した。

4試合26回を投げて被打率は譜久村誠悟を上回る.138。巧打者揃いの糸満打線を向こうに回しても、7回で7安打に抑えて得点を許さなかった。防御率は1.04、奪三振率は6.23、与四死球率も1.38と譜久村と比べても遜色無い成績を収めている。右の宇良淳(3年生)も北中城で先発し6回1失点。安定感のある左右両輪で、糸満のときのように真和志打線を飲み込みたいところだ。

勝負強いマシンガン打線を引っ張る諸見里匠

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▲諸見里匠(沖縄尚学)

沖縄県BIG3のもう一人であるのが主将諸見里匠(3年生)だ。大会前に手首をケガをし、今も大事をとってのテーピング姿は一見痛々しいが、グランドに立てばそれを微塵も感じさせない。
二回戦以降の3試合で全出場し2試合で2安打をマークするなど打率.385でチームを鼓舞し牽引する。

続く知念佑哉は4試合連続安打、初戦に本塁打を放った名嘉昇司が.385、柴引佑真糸満戦で2安打1打点と存在感を示した。

選抜組でありながら春にケガした西平大樹に変わる赤嶺謙も7打数4安打をマークすれば恐怖の6番、163cmの小兵平良勇貴はチームトップの7打点と大活躍中。9番の具志堅秀樹も毎試合安打で5割と、どこからもヒットが生まれどこからも得点出来るマシンガン打線へと変貌している。

チーム打率も4強中トップの.331であり、防御率0.50の譜久村vs沖縄尚学打線という図式になるだろう。
選抜で大敗したからこそ、リベンジを誓う沖縄尚学。甲子園に戻りたい=行きたい気持ちは何処よりも強いと公言する諸見里はこう答えた。
「僕が入学した当時の沖縄尚学はベスト4(準決勝 : 沖縄尚学4-6糸満)、そして昨年準優勝(沖縄尚学5-8浦添商)でした。今年優勝して頂点へ続く階段を上りきります!」

沖縄尚学
1回戦 沖縄尚学 9-0 美来工科(7)
2回戦 沖縄尚学 8-4 中部商
3回戦 沖縄尚学 2x-1 北中城
準々決勝 沖縄尚学 7-0 糸満(7)
4試合26得点5失点
平均得点5.32平均失点1.41
チーム打率.331

(文=當山 雅通

第95回沖縄大会

組み合わせはこちら(沖縄高野連HP PDF)
6月22日~7月21日 参加校数:63
決勝球場:[stadium]沖縄セルラースタジアム那覇[/stadium]
その他の球場:[stadium]北谷公園野球場[/stadium]、[stadium]宜野湾市立野球場[/stadium]、[stadium]浦添市民球場[/stadium]

昨夏代表:浦添商(第94回沖縄大会結果)
昨秋優勝:宜野座(秋季沖縄県大会結果)
昨秋九州大会優勝:沖縄尚学 (秋季九州地区大会結果)
今春優勝:北山(春季沖縄県大会結果) (春季九州地区大会結果)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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