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腰痛対策のコンディショニング(1)

2014.03.15

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

 いよいよ練習試合が解禁となり、本格的な野球のシーズンが到来しました。実践練習が増えてくるに従って気をつけなければならないのは、プレーによる突発的なケガと疲労からくる慢性的なケガです。今回は疲労が原因と考えられる腰痛について、自分でできるケアやストレッチを中心にお話をしたいと思います。

腰痛を起こす原因

 腰痛はどうして起こるのでしょう。整形外科的な問題から内科的な問題、さらには精神的な問題までその原因はさまざまです。日常生活の積み重ねが腰に大きな負担を及ぼすこともあります。練習での疲労がたまった状態の「筋筋膜性腰痛」(いわゆる腰痛症)などであれば、下肢のストレッチなどを入念に行うことで改善することがあります。

 スポーツ選手によく見られる腰痛の種類としては、「腰椎分離症・すべり症」「腰椎椎間板ヘルニア」「急性腰痛症(ぎっくり腰)」「筋筋膜性腰痛(腰痛症)」などがあげられます。その多くは手術療法ではなく、運動指導を中心とした保存療法です。腰が痛いと感じてからプレーに支障が出る状態、痛みが長引く状態であれば早めに整形外科を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。疲労が原因となる腰痛であれば、ほんの少しの心がけで腰の痛みが軽くなることがあります。

寝る姿勢を一工夫

寝る姿勢によって反り腰状態をやわらげることが可能

 私は、腰痛に悩んでいる選手にはまず「どのように寝ているか」を尋ねるようにしています。ほとんどの選手が寝る姿勢について特に意識せず、そのまま布団に入っているようですので、仰向けのまま寝るときは「膝を少し曲げた状態」で寝るようにアドバイスをしています。

 仰向けの状態は腰が反ったいわゆる反り腰の状態になりやすく、睡眠中に筋緊張がより強まって、翌朝さらに腰が痛くなるということも少なくありません。こうしたことを防ぐために、膝下にクッションや座布団、バスタオルなどを置き、その上に膝を乗せて寝るようにするのです。

 こうすると自然と股関節が曲がり、反り腰が緩和されます。膝はほんの少し曲げるだけでもOKです。どうしても仰向けに眠ることができないという選手には、横向きでエビのように丸まる姿勢を勧めています。このような姿勢をつくるために抱き枕などを利用するのもよいでしょう。

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[page_break:痛みの原因は腰にあらず?腰痛対策のストレッチを紹介!]

痛みの原因は腰にあらず?

 腰が痛いとき、その原因が(1)腰背部そのものにある場合(器質的な問題・・・腰椎の疲労骨折や椎間板ヘルニアの突出による神経性の痛みなど)と、(2)腰ではなく下肢を中心とした別のところにある場合があります。疲労からくる腰痛症(レントゲンやMRIをとっても異常がなく、コンディショニングレベルを改善させるよう指導された場合)については、足首の硬さや下肢の柔軟性低下が原因であることが考えられます。

 また体幹(腹筋や背筋など)の筋力レベルが低い場合にも、姿勢が崩れて腰に大きな負担がかかって痛みを発症させることがあります。コンディショニングレベルを上げるということは、柔軟性や筋力について、左右差がないか、極端に低下していないかといったことを確認することが肝心です。

下肢の柔軟性低下を改善する

 医師から「ストレッチをよく行いなさい」という指導を受けたとき、どのようなストレッチを行えばよいでしょうか。たくさんあるストレッチの中からオススメのモノを2つご紹介します。

●ジャックナイフストレッチ

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動きがジャックナイフのようなストレッチ

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 座った状態でかかとを抱え、そのまま足を伸ばします。このとき太ももの裏側(ハムストリングス)が伸ばされます。膝は伸びきらなくても構いません。これを10回程度繰り返して行うと(びっくりするほど)ハムストリングスの柔軟性が改善されます。動きがジャックナイフに似ているのでこう呼ばれています。

●梨状筋ストレッチ

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梨状筋ストレッチは臀部の柔軟性を改善させる

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 臀部(でんぶ)の奥にある梨状筋を伸ばすためのストレッチ方法です。片膝立ちをした状態から前足を横側に倒し、手をついてバランスをとります。身体が前のめりにならないように注意して、前足側の臀部をゆっくり伸ばします。左右両方とも行うようにしましょう。

 どちらも手軽にできるので、練習後やお風呂上がりなど身体が温まった状態で入念に行うようにしましょう。腰痛対策のコンディショニングについて、次回も引き続きお話をしたいと思います。

腰痛対策のコンディショニング(1)


●腰痛の原因は整形外科・内科・メンタル面など多岐にわたる
●痛みによってプレーに支障が出る場合は早めに整形外科を受診する
●膝下にクッションなどを置くと反り腰をやわらげることができる
●下肢の柔軟性を改善させるため、入念にストレッチを行おう
●ジャックナイフストレッチ、梨状筋ストレッチで腰の負担を軽減させよう

 (文=西村 典子

次回、第89回公開は3月31日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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