Column

成功する朝練を考える

2013.12.15

朝練成功の秘訣は「早寝早起き」

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

寒い日が続きますが、体調など崩さず元気にがんばっていますか? オフシーズンは日が暮れるのも早いため、明るい時間帯の練習は貴重な時間です。こうしたことから練習不足を補うために朝練を行うというチームもあるでしょう。先月、中学生の部活動に対し、朝練をやめるべきではという意見書をまとめた長野県教育委員会のニュースが話題となりました。朝練はどのように生活習慣や身体に影響を及ぼすのでしょうか。今回は朝練とその取り組み方などについて考えてみたいと思います。

【睡眠不足をどう解消するか】
朝練を継続的に行うにあたって、まず考えなければならないことは「睡眠不足をどう解消するか」です。たとえば朝7時から1時間程度の朝練を行う場合、7時前にはグランドについて準備をしなければならないし、通学時間も人によってバラバラです。朝6時に出発、5時半に出発と普段以上に早起きをして出かけなければなりません。いつもと同じ時間に就寝していると、睡眠が不足してしまうのは明らかです。

こうした場合は、夕方の練習時間を短くして早めに帰宅するなどの対策をとることが理想的です。暗くなってからの練習時間をどのように活かすか(たとえば室内でトレーニングを行う等)ということと、生活習慣を考慮した上で、夕方以降で行う部活動の時間を一部朝練に置き換えるようにすると、大きな負担にはならないのではないでしょうか。

【朝食をどのタイミングでとるのか】
朝練を始める前に朝食をとるのが一番ですが、あまりにも朝が早いとお昼までお腹がもたない…といった問題もあります。かといって身体を動かす前に何も食べず、空腹の状態で練習に臨むのは、エネルギー源が切れている状態ですので、思考力不足、集中力不足を招き、ケガのリスクも高まります。食べるタイミングとしては身体を動かす前におにぎり、パンなどの軽食を取り、朝練が終わってから朝食をとるのがベストです。ただ環境面や金銭面でむずかしいという問題もありますので、チーム全体でこうした取り組みについて、考えてみるのもいいかもしれません。


オフシーズンのランニングは陸上選手並み?

【朝の有酸素運動で脳力アップ?】
一方で、朝から身体を動かすことは脳の活性化を促し、学業成績を向上させるという研究結果があります(参考書籍:「脳を鍛えるには運動しかない」)。この書籍に示されているケースでは、授業1時間目の前に「0時間目」を設け、ジョギングなどの有酸素運動を行ったクラスの学業成績が向上したそうです。睡眠不足で授業中に居眠りしてしまうといったことにならないよう、夜は早めに就寝し、朝から運動を行うと頭も冴えて成績が上がるかも?しれませんね。

【朝練に適した練習とは】
朝の時間を有効活用するために行う練習ですので、短い時間で成果の上がる内容にしたいものです。気温が低いのでしっかりとウォームアップを行った上で、ジョギングやランニングなどで身体を慣らしていくようにしましょう。有酸素運動をメインに取り組むのも一つです。また守備などの基本練習を繰り返し行うということも、たくさん捕球回数を受けることにつながります。練習の量を増やすことで、量から質への転換がはかられ、今まで出来なかったプレーが出来るようになるかもしれません。この時間帯に体力トレーニングを行うこともよいでしょう。どのような練習であれ参加する選手が、それぞれに課題をもって取り組める内容であることが一番いいでしょう。

朝練は身体に悪いのではなく、しっかりとした環境を整えることが大切です。

【朝練を成功させるための環境チェック】
●睡眠不足にならないよう、前日は早めに就寝する
●夕方以降の部活動の時間帯を少し早めに切り上げる
●朝練前に空腹はNG 軽食をとって練習に臨み、朝食は朝練後に
●寒い時期なのでウォームアップの時間は十分にとる
●有酸素運動を行う、もしくは基本動作を繰り返すなど量を重視した練習、トレーニング等

このようなことに配慮すると、より充実した練習になるのではないかと思います。また朝練がストレスにならないようにする配慮も必要です。朝早い試合が組まれていて、体を慣らさなければならないとき、練習時間がどうしても朝しか取れないときなどに、以上のような点に気をつけて行うようにしましょう。

(文=西村 典子

次回、第83回公開は12月30日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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