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【第97回愛媛大会展望・後編】松山東、新田、東温など注目校多数!好カードが目白押しの第2、3シードブロック!

2015.07.03

 58校によって争われる激戦の展望と「高校野球ドットコム」ならではの他にはない直前情報を、シード校のブロック別に追っていきたい。前編では、今治西ブロックと松山聖陵ブロックを紹介したが、後編では、松山東ブロックと新田ブロックを中心に展望を占う。

【第3シード・松山東ゾーン】今春センバツ出場の松山東を中心に東温、新居浜高専が続く

亀岡 優樹(松山東)

 21世紀枠で82年ぶり出場。二松学舎大付(東東京)戦では「データ班」が導き出した勝利への道と、それを体現した選手たちとスタッフ、さらに圧倒的な声援で後押ししたスタンドが三位一体となってセンバツ初勝利をマークした松山東試合レポート)。

 次なる目標は昨年はあと一歩届かなかった夢舞台。松山商との併合時代に全国制覇を果たした1950年以来、65年ぶりの夏甲子園出場と82年ぶり春夏連続出場となるが、初戦から一筋縄ではいかぬ相手と激突する。

 というのも、松山東の対戦相手は1回戦・大洲農と愛媛北条の勝者であるからだ。大洲農はセンバツまでチームを副部長としてサポートしていた高橋 健太郎監督が率い、昨秋南予地区予選では宇和島東に敗れはしたが、今春は県大会に進んだ原動力となっている「団結力」に「頭脳」を加えつつある。

 一方、松山商で全国制覇を成し遂げた澤田 勝彦監督就任6年目の愛媛北条も、巧打を誇る主将・平田 伊吹(3年・中堅手・172センチ70キロ・右投左打・愛媛松山ボーイズ出身)、制球力に優れる2年生左腕・渡邉 潤(179センチ66キロ・えひめ西リトルシニア出身)、185センチ97キロの堂々たる体格を有する1年生・西本 祥大(一塁手・右投右打・えひめ港南リトルシニア出身)など、各学年に好選手がそろう。12日(日)[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]9時プレイボールの一線は1回戦屈指の好カードであると同時に松山東データ班にとっても、正念場の一戦になるだろう。

 その松山東は「チームに刺激を与える」堀内 準一監督の意図が現れたメンバーで夏に臨みそう。
常時最速130キロ中盤まで伸びたストレートからの変化球精度を追究する亀岡 優樹(3年・170センチ73キロ・右投右打・東温市立重信中出身)と、最近は「任せる」ことで選手の自主性を引き出す米田 圭佑(3年主将・捕手・183センチ86キロ・右投右打・松前町立岡田中出身)の黄金バッテリーこそ不動ながら、内野陣には大きな変化がありそうだ。

 このブロックには昨夏県ベスト4の東温も控える。「あともうちょっとレベルアップしないと厳しい」と和田 健太郎監督は現状を話すものの、昨夏済美安樂 智大から2安打2打点(試合レポート)した青野 凌太(3年・三塁手・165センチ62キロ・右投右打・愛媛ボーイズ出身)の打撃は上向き傾向。「青野は意外性の塊なので、思いっきりやってくれればいい」とあえて期待を背負わさない構えを見せる指揮官の意図をくみ取れれば、課題の投手陣をカバーする猛打復活も期待できそうだ。

 さらに昨秋県ベスト8の新居浜高専や、腕振りのよさが光る2年生エース・長島 知輝(180センチ65キロ・右投右打・今治市立近見中出身)が君臨する今治南。今治市・越智郡高校親善野球交歓試合で今治西と接戦を演じた今治工。そして4月25日の練習試合では松山東の2番手以下をことごとく打ち込み初回15得点の爆発力を発揮した川之江も、上位進出を虎視眈々と狙っている。

愛媛県の高校のコラムを一挙紹介!
(小松、松山東、松山聖陵、今治西、松山商、東温、済美、松山北)
愛媛県のチームに、この夏にかける熱い思いを聞きました!
県立三島高等学校(2015年06月27日公開)

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第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!
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【第2シード・新田ゾーン】好カード目白押しの激戦ブロック

田中 蓮(新田)

 もはや絶句するしかない。初戦だけでも「松山商新居浜南」、「西条帝京第五」、「愛媛小松対南宇和」など好カードが続出。7月11日(土)[stadium]坊っちゃんスタジアム[/stadium]での開幕カードにするにはもったいない「新居浜西宇和島東」の勝者が、いきなり新田と対戦することになった。

 昨秋は県大会初戦松山聖陵に壮絶な打ち合いの末敗退。今春は中予地区代表決定戦で愛媛北条・渡邉に屈した松山商。以後は自主練習の時間を設け、2月より定期的にトレーナー資格を持つ女子日本代表監督・大倉 孝一氏が「トレーニングだけでなく、心の持ち方も含めて指導してくれる」(重澤 和史監督)など、より実効性に特化した物事を採り入れた結果、練習試合16連勝など劇的に雰囲気が改善している。

 スプレーヒッター・荒川 幸亮(3年・中堅手・右投左打・171センチ70キロ・新居浜リトルシニア出身)を1番に据える打順も機能し、最速135キロに達した啓田 勇貴(3年・右投右打・176センチ66キロ・愛媛松山ボーイズ出身)もエースとして独り立ちの気配。西条時代に秋山 拓巳(現:阪神タイガース)をエースにバランスのよいチームを仕上げ、2009年に春夏連続甲子園出場を果たした田邉 行雄監督率いる新居浜南との初戦から超えるべき山は多いが、山の頂上「14年ぶり夏将軍復活」は現実的に十分考えられる選択肢だ。

 高校通算25本塁打(6月23日現在)の大型スラッガー・堀 優斗(3年・三塁手・右投右打・185センチ81キロ・西条市立西条東中出身)をはじめ、投打に能力の高いタレントを備える西条も、初戦は高知商部長・高知中央監督として数多くの激戦を経験してきた髙谷 学監督率いる帝京第五と対戦。昨秋には選手主導による「ドラフト会議」で4チームを分ける部内対抗戦を行うなど、常にチーム内の底上げを図ってきた集大成を西条がいかに示せるかが、1年前の投手転向以来、コツコツと努力を重ねてきた坂田 颯(3年・182センチ71キロ・右投右打・堺ボーイズ<大阪>出身)がエースナンバーを背負う帝京第五との勝敗を決める分岐点となる。

 昨年甲子園初出場の愛媛小松は、4番の大上 拓真(3年・捕手・177センチ80キロ・右投右打・新居浜ボーイズ出身)を中心にどこからでもホームランが打てる強打線に加え、春に悩まされた腰痛も癒え急ピッチで調整を続ける速球派・早柏 佑至(3年・177センチ72キロ・右投右打・佐用スターズ<ヤングリーグ・兵庫>出身)と、落ちるボールにいっそう磨きをかける軟投サイド・松井 智也(3年・168センチ72キロ・右投右打・西条市立小松中出身)の2枚看板も健在。春の県大会準決勝で露呈した精神面の脆ささえ解消できれば、2年連続甲子園出場も決して夢ではない。

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[page_break:【第2シード・新田ゾーン】話題性のあるタレントが揃う]

【第2シード・新田ゾーン】話題性のあるタレントが揃う

 ただ、初戦の南宇和昨夏ベスト8。「2年生双子バッテリー」として話題を集めた嶋野ブラザーズの兄・優樹(3年主将・168センチ62キロ・右投右打・愛南町立御荘中出身)が捕手から右翼手となり、新たに弟・来樹(3年・176センチ72キロ・右投右打・愛南町立御荘中出身)とバッテリーを組む河野 倫(2年・172センチ74キロ・右投左打・愛南町立御荘中出身)が強肩強打の4番である。一年前の大上を思わせる勢いを受けて立ってしまった場合には、難しい試合展開が待っていそうだ。

 春県大会準優勝の宇和島東清水 陽介(3年・183センチ72キロ・右投右打・宇和ボーイズ出身)、伊勢田 健太(3年・173センチ66キロ・右投右打・宇和島市立津島中出身)の2枚看板が軸。春は悩みの種だった打線も入学後すぐに4番を張っている加藤 大輝(1年・右翼手・177センチ71キロ・宇和島市立広見中出身)の出現により、芯が入りつつある。下級生に体格のよい選手が多い新居浜西を下し、まずは春県大会決勝戦の再現を狙いたい。

 そして第2シード・新田である。春季県大会優勝四国大会準優勝試合レポート)の原動力となった田中 蓮(2年・177センチ68キロ・右投右打・松山市立小野中出身)がエースナンバーを背負うことになった夏は、彼を物心両面でカバーしたいところ。リードでは主将の乘松 幹太(3年・174センチ68キロ・右投右打・松山市立内宮中出身)。守備では牛若丸・三上 幹太(2年・遊撃手・164センチ63キロ・右投両打・愛媛ボーイズ出身)を中心とするセンターラインでサポートしたい。

 一方、打撃では1番・三上から、3番・眞田 康弘(2年・中堅手・右投左打・174センチ68キロ・松山ボーイズ出身)、4番・泉 政斗(2年・一塁手・178センチ75キロ・右投左打・松山中央ボーイズ出身)、5番・河野 隼人(3年・左翼手・左投左打・174センチ77キロ・松山ボーイズ出身)、6番・髙見 祐樹(3年・右翼手・左投左打・175センチ76キロ・宇和島市立城南中出身)と続く重量打線が機能するか。そして何よりも河野がいかに田中を思いやり、リリーフでサポートできる態勢を整えるかが、初の夏甲子園出場を決する最後のパスワードとなる。

 最後に1人、超逸材を紹介しよう。伯方の2年生左翼手・山岡 昂平(178センチ73キロ・右投右打・今治市立伯方中出身)である。昨秋は1年生大会・今治工戦で3本本塁打。[stadium]阪神甲子園球場[/stadium]と同規格の[stadium]しまなみ球場[/stadium](広島)でも左中間に叩き込んだ「しまなみバレンティン」は、すでに高校通算10本塁打を数える。まずは今大会でのブレイクなるか、その後の動向も含め注目していきたい。

 高校野球関係者のみならず、愛媛県民にとって話題の中心となる球児の7月。彼らにはその注目下にあることを認識した上で、悔いが少しでも残らないように体調を整え、気持ちを整え、技術を整えてほしい。グラウンドに立てなかった仲間、そして過ちの代償として、舞台に立つことすら許されなかった者たちのためにも……。背番号を背負った君たちには、全力を尽くす義務がある。

(文=寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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