夏場に注意しておきたい食中毒とその予防
こんにちは、徳島インディゴソックス、ストレングス&コンディショニングトレーナーの殖栗 正登です。
甲子園は終わりましたが、残暑は厳しく、猛暑の疲労が出てくると一番怖いのは、合宿などでの食中毒です。今回は夏場のコンディショニングとして、食中毒の種類とその対策&予防を紹介します。
夏は特に注意しなければならない食中毒
夏は細菌による食中毒が増える時期ですが、その理由は高温多湿です。細菌は20度程度から人間の体温くらいの温度で増殖し、そのうえ湿気を好みます。
また、選手は高温多湿の中、練習しています。前回のコラムで紹介したようにこの時期は、オーバートレーニングになりやすく、抵抗力が落ちています。その上水分量が多く胃酸が薄くなり、殺菌が胃で行われにくくなっているのです。これらの理由から夏場は食中毒になりやすいと言えます。
また、部員同士でのコップの回し飲み、合宿などで感染が拡大する可能性も多いです。
食中毒の種類(1~5)
食中毒の原因
食中毒の原因は、細菌とウイルスです。
細菌型としては主に以下の1~8の8種類のものが多く、ウイルスに関しては9、10の2種類のものが多く感染します。
1)腸炎ビブリオ
潜伏期間:10~24時間
症状:発熱(38度以上)、腹痛、下痢、嘔吐
原因食品:刺身
1~2日で良くなります。
2)病原性大腸菌
潜伏期間:12時間~72時間
症状:発熱(37.5度以下)、嘔吐、下痢
原因食品:家畜の糞便に汚染された食肉、水
毒素を作って出血する下痢で、腸管出血性大腸菌をO-157と呼びます。
加熱処理殺菌が可能です。
3)サルモネラ菌
潜伏期間:8~48時間
症状:急な発熱、嘔吐、腹痛、激しい下痢
腹痛はかなり強く、繰り返し痛みがあり、下痢は、食中毒の中では強い部類で、便は水溶性で緑がかっています。
原因食品:加熱不足の卵、食肉、魚、自家製マヨネーズ、洋菓子
4)ウェルシュ菌
潜伏期間:12時間以内
症状:腹痛、嘔吐、下痢(血が混ざることあり)下痢は割と早く治ります。
原因食品:食肉、魚介類、野菜を利用した加熱食品、特に大量に作ったカレー、弁当、スープ
熱に強く、通常加熱処理ではなかなか殺菌できないので、仕出しの弁当、学校給食などで大量食中毒になりやすいです。
5)リステリア菌
潜伏期間:12時間~90日と広範囲
症状:倦怠感、弱い発熱、インフルエンザの様な症状、ひどい場合は髄膜炎などの神経症状
原因食品:乳製品、食肉、ソフトチーズ
健康な大人であれば無症状で終わることが多いです。
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食中毒の種類(6~10)
6)黄色ブドウ球菌
潜伏期間:1~5時間
症状:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
原因食品:おにぎり、調理パン、弁当、菓子類
特徴:普段は人間、動物の皮膚にいます。しかしこの菌が食品に入ると毒素を出します。
特に傷口、化膿部分に多く注意が必要です。この毒素は熱に強く無毒化できません。
10度以下では毒素を作り出せないので冷凍保存がおすすめです。
7)ボツリヌス菌
潜伏期間:8~36時間
症状:眩暈、頭痛、言葉が出ずうまく話せない、視力低下、呼吸困難
原因食品:食肉、魚肉、瓶詰め、缶詰め、レトルト食品
酸素があると発育できないので、缶詰めなどで繁殖します。
90度以上で温めると、毒素は消滅します。
8)セレウス菌(毒素の違いにより2種類あります)
症状:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
■嘔吐型
潜伏期間:1~5時間
原因食品:炒飯、ピラフなどの米飯類、パスタなどの麺類
■下痢型
潜伏期間:8~15時間
原因食品:食肉原料のスープ、弁当、プリン
特徴:日本は米食なので嘔吐型が多いですが、嘔吐型は加熱処理できません。
1~2日で自然回復することが多いです。
9)ノロウイルス
潜伏期間:24時間~48時間
症状:下痢、嘔吐
原因食品:二枚貝
特徴:冬に流行し、多くは2~3日で回復しますが、2~3週間は糞便から排出され、感染性が高いので集団感染に注意が必要です。
10)A型ウイルス
潜伏期間:平均30日
症状:下痢、発熱、倦怠感、吐き気、嘔吐
原因食品:二枚貝、水
水分補給について
食中毒になった時は下痢、嘔吐で水分が奪われやすく、糖質の多いスポーツドリンクは下痢が悪化するので、電解質の入っている、経口補水液が良いです。
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予防と対策
・清潔に保つ
・生の食品と加熱済みの食品を分ける
・良く加熱する
・安全な温度に保つ
・安全な水と原材料を使う
■基本は石鹸で指先から指の間、手首まで丁寧に洗うこと、手についた菌が食中毒の原因になります
■調理器具の殺菌
食中毒はこの二次感染でよく起きます。焼肉の際は、焼く箸と取る箸は分ける。
生の肉、魚を切った包丁とまな板で、サラダなどの生で食べる野菜を切らない。
止むを得ないときは、洗剤で洗浄して沸騰水か、次亜塩素酸ナトリウムをかける。
保存は冷蔵庫で
■保存は冷蔵庫で
細菌は10度以下で増殖が緩くなり、マイナス15度で増殖が停止しますから、必ず冷蔵庫で保存してください。
■食中毒かなと思ったら
下痢、嘔吐があったら、原因菌を出してしまうことが大切です。市販の薬で止めてはいけません。そしてしっかり水分をとってください。あとは医師の診断に従ってください。
■うつさないように注意すること
夏の合宿などで食中毒は感染が拡大しやすいです。また夏場は大量に水分をとるので胃酸が薄まり解毒作用が落ちています。感染拡大を防ぐには、
・食事前、トイレの後、便や嘔吐に触った後は良く石鹸を使い手洗いする
・感染者(感染の恐れがある人)の使った食器、調理器具は洗剤で洗い、沸騰したお湯をかける
・感染者また感染の恐れがある者の下着、衣類は別洗いする
・感染者、感染の恐れのある者は、お風呂は一番最後に入り、お湯は毎日変える
これらのことを守って、予防と対策をしっかりと行い、もし食中毒になってしまったら感染拡大の防止に努めてください。特に合宿などではひとりひとりの心掛けが大切ですので、意識を高めて残暑を乗り切りましょう!
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